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西東京市の「フードドライブ」に期待 事例を持ち寄ったキックオフ講演会

By in 交流・共生, 食・調理 on 2018年3月30日

チラシ(表)

 西東京市社会福祉法人連絡会主催の講演会「食が地域をつなげる~フードドライブから始まる可能性~」が3月25日、市民会館で開かれました。自立支援や就労支援、子ども食堂や生活相談の窓口から、「食と地域」の課題が明らかになってきました。西東京わいわいネット代表で、特定非営利活動法人猫の足あと代表理事の岸田久惠さんの報告です。(編集部)

 西東京市でももうすぐフードドライブがスタートする、そんな期待にあふれた講演会となった。

 

会場となった西東京市民会館大会議室

 

 3月25日、市民会館で行われた講演会である。主催の社会福祉法人連絡会は2016年12月に発足した。「地域公益活動分科会」を設け、精力的に地域づくりをすすめていて、フードドライブを次の活動にと考えていることが開会のあいさつで述べられた。

 講演は、日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会センター事業団北関東事業本部の稲葉健太本部長と藤谷英樹事務局長、古沢淳事務局次長によって行われた。ワーカーズコープの方には以前インタビューを受けたり学習会で発表の機会をいただいたりしたことがあったが、稲葉さんのお話により、ワーカーズコープそのものの歴史や事業内容について初めて知ることができ、その設立から自立支援や就労支援を手掛けるのは必然であろうと納得した。

 

 生活相談窓口から見える課題

 古沢さんは、川越市の生活困窮者自立支援の窓口を担当している。窓口に訪れる人たちから感じることは、家族との関係が断ち切られている事例が多いということだという。

 

ワーカーズコープの(左から)稲葉、藤谷、古沢の3氏

 

 ある20代の男性は、生後10カ月になる長男と身重の妻をかかえ、粉ミルクを買うお金もないと相談に来た。働く意思はあるものの、所持金が少ないため遠くには通えない。家賃や光熱費も滞納している。親からの支援は受けられないという状況の中、あんしんセーフティーネットを利用して住まいを確保。マイナンバーカードの再発行手続きを済ませ、近くの仕事を紹介し、フードバンク品を提供した。

 入院中、長男にお金を使われてしまった70代の女性の場合には、銀行へ同行し、通帳の再発行手続きを行い、病院にも同行。見守り支援とフードバンク品を提供している。古沢さんは、見えてきた課題として、制度の狭間でギリギリの生活をしている人や外からは見えない家族内の亀裂で苦しんでいる人が多いことを挙げている。

 

 フードドライブとは

 支援に出てきたフードバンクは、食品が余った企業や人から提供されるものを食料に困っている人に提供するシステムであるが、今回注目の的であるフードドライブとは、「食品一品持ち寄り運動」と説明された。家庭で余っている食品を持ってきてほしいと呼びかける、それはすぐにでもできると強調する。川越市では実際に、民生委員や自治会を通じて、アースデイなどのイベントや市役所の会議など、さまざまな場で呼びかけ、これまでに150キログラムもの食品を集めることができたという。これらの食品を、今後は市内に4つできた子ども食堂にも提供していきたいと話していた。

 講演に引き続いて、西東京市内の報告をしたのは、緑町で子ども食堂「放課後キッチンごろごろ」の代表をしている石田裕子さんと生活困窮者自立相談支援事業の西東京市生活サポート相談窓口主任相談支援員の中澤一郎氏である。なんとぴったりの報告であろうか。

 

石田裕子さん

 石田さんは私たち西東京わいわいネットのお仲間で、公民館の講座からスタートした子ども食堂の経過や行政の支援について話してくれた。

 西東京市では子ども食堂は8か所になろうとしている。石田さんは、子育て支援課が窓口になり、連絡会を開いたり寄付をつないでくれたりしていることも紹介した。「放課後キッチンごろごろ」のエピソードに、参加者は笑ったり頷いたりしながら共感して聞いた。次第に支援の必要な子が来るようになり、親の思いにも寄り添った活動を進めているが、さまざまな課題を抱える子にどう接したらいいか悩むこともあるという。でも、かわいがると元気になっていく子に活動の確信を得ているようだ。提供された食材を市内の子ども食堂に配るのも大変なので、フードドライブへの期待にも言及した。

 

 実施に期待膨らむ

中澤一郎さん

 中澤さんが最初に述べたこと、「生活困窮者の相談窓口とは言いません。それだけでハードルが上がってしまいますから」に強く共感した。人が人を支える支援であり、相談者の目線に立って一緒に解決に向けたとりくみを考えることが大切なのだと再認識した。困りごとを整理し、関係機関と連携して支援を展開している。その中でも、食に困っている人がたくさんいるという。若いころはキャリアウーマンだった方も、年金生活で病気になった時に薬代のために食費を削ってしまう。そうした方にフードバンクを利用してきたが、困ったときに誰もが利用できる食糧支援の仕組みがあれば、困っている人の生活を支える大きなツールになると語っていた。

 意見交換の中でも、フードドライブの効果や子ども食堂の広がりが具体的に紹介され、市民の意識が変わるきっかけとなること、川越ではお寺へのアプローチが有効であったことなどが語られた。フードドライブのキックオフイベントとなった講演会であった。実施の日は近い。期待が膨らむ会となった。
(写真は筆者提供)

 

【関連リンク】
・日本労働者協同組合(ワーカーズコープ
・NPO法人 猫の足あと(HP
・ 西東京わいわいネット(ゆめこらぼ

 

【筆者略歴】
岸田久惠(きしだ・ひさえ)
 2015年3月まで、都内で小学校教諭を務める。2011年2月、任意団体学び塾「猫の足あと」を設立、無料の食と学習支援を展開してきた。2018年1月、特定非営利活動法人猫の足あととして認証され、代表理事となる。2015年3月、西東京わいわいネットが発足、代表を務める。

 

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One thought on “西東京市の「フードドライブ」に期待 事例を持ち寄ったキックオフ講演会

  1. 1

    ワーカーズコープの正式名称は「日本労働者協同組合」です。「協同」が抜けていました。確認が不十分でした。おわびします。関係箇所はすでに訂正済みです。(編集部)

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