子育ての日々を三十一文字で綴る お母さんに贈る短歌入門講座10月から
子育ての日々を三十一文字で綴ってみませんか-。若いお母さんたちに贈る短歌入門講座「31文字で子育てを奏でよう」が10月3日からスタートする。12月12日まで全11回。毎週木曜日の午前中、田無公民館で開かれる。もちろん保育付き。子育てや子どもとの触れあいの歌も多い気鋭の歌人、花山周子さんが講師を務める。
「子どもを産んだあとは、生命に対する感性が鋭くなるし、子どもと接していると普段の生活の中でいろんなことに気付かされます。お母さんたちのそういう感性を、短歌という形で拾い出せることはとても大事です。生活に流されがちだけれども、私は短歌によってそういう気付きを取って置けてとてもよかった。そう感じているので、私にも何か伝えられることがあるのではないかと思いました」。住まいに近いJR目黒駅前のファミリーレストランで、花山さんは講師を引き受けた理由を、言葉を選びながらこう話した。
花山さんは母も祖父も歌人。武蔵野美術大学在学中に短歌を作り始めた。歌集はすでに3冊。現在は、短歌雑誌に作品を寄稿し、トークショーなどにも登場する。
素の暮らしが、平明な言葉で汲み出される作品によく出会う。小学2年になる娘との触れ合いがときに織り込まれ、字余りも厭わない。生活の手触り、暮らしの感触が三十一文字から立ち上る。例えば、講座のチラシに、花山さんの作品が2首が載っている。
産みし日はあっという間に遠ざかり 育ちゆく入道雲を見上げる
子のためにつくる生活 子のために片付いている部屋は明るい
「この気持ち、分かる」「私にも出来そう」…。そう思ったら応募の資格十分だろう。講座で学び、短歌の世界に踏み入ると、やがてその世界の奥行きが見えてくるかもしれない。ネット上を歩き回っていたら、小倉百人一首を取り上げた短歌ブログの中で、花山さんのこんな作品が見つかった。
夏の夜のからくれないの手花火が 娘の手からはげしく散りぬ
生みし日をふりさけ見ればきさらぎの 冷たき風が鼻づらを刺す
「こうあらねばならない、しなければならないなどと、フィルターをかけて世の中をみると、自分で自分を縛ることになります。そんな束縛を外してみたら世の中は新鮮に見えるし、自分が楽になる。子どもの成長が喜びになり、存在のおもしろさを発見できるのではないでしょうか」。花山さんの言葉が心のどこかに響くなら、短歌入門の扉がすでに開かれているのかもしれない。
花山さんのレクチャーは11回のうち6回。「5音と7音で感性ストレッチ」「小さな秋を見つけよう 季節を詠う」「言葉から楽しく広がる短歌の世界 題詠にチャレンジ」「子どもとの日々から」などがテーマになっている。
ほかに管理栄養士で、キッズキッチンインストラクター・エコクッキングナビゲーターの吉田朋子さんが赤米ごはん、栗と芋の煮物、海藻汁など万葉クッキングを指導。公民館職員と一緒の茶会も予定されている。
定員は18人。申込多数の場合は抽選。西東京市に住んでいる子育て中の女性が対象で、特に公民館の保育付き講座に初めて参加する人を優先する。保育は無料。生後6か月から小学校入学前の子ども15人。9月26日(木)午前10時から保育説明会を開く。
締め切りは9月25日(水)正午(定員になり次第締め切り)。
問い合わせと申し込みは、田無公民館(電話:042-461-1170)まで。
(北嶋孝)
【関連リンク】
・子育て中の女性のための講座(保育付)「31文字で子育てを奏でよう 短歌入門」(西東京市Web)
・夏の夜のからくれないの手花火が 娘の手からはげしく散りぬ(短歌ブログ「主婦と兼業」)
・生みし日をふりさけ見ればきさらぎの 冷たき風が鼻づらを刺す(短歌ブログ「主婦と兼業」)
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