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「いこいーな」問題で共産党市議団に陳謝求める 西東京市議会が賛成多数で陳情採択

By in 市政・議会 on 2019年12月24日
西東京市議会

市議会第4回定例会(12月14日)

 西東京市議会(田中慶明のりあき議長)の第4回定例会が12月14日に開かれ、「西東京市のマスコットキャラクター『いこいーな』の政治活動への利用に反省、陳謝を求める陳情」を賛成多数で採択するなどして閉会した。昨年から自民党議員が折々取り上げてきた問題は具体的な事実判断に進み、議場での陳謝を求める内容に踏み込んだ。

 

「いこいーな」の利用か、「アクションプラン」の表紙使用か

 

 対象となったチラシやポスターは、昨年秋頃から市内に配布、掲示された。年末の市議会議員選挙向けとみられた。チラシは市の第4次行政改革大綱アクションプラン(平成30年度版)に盛り込まれた市民集会所・地区会館使用料や保育料、学童クラブの育成料などを取り上げ、「来年4月以降の有料化・値上げ計画 市民の声でストップを」と呼び掛けていた。その右上に、「いこいーな」をあしらった「アクションプラン」の表紙が嵌め込まれた。

 

問題とされたチラシ(左)とアクションプラン(平成30年度版)の表紙(クリックで拡大)

 

 陳謝を求める今回の陳情は、6月の第2回定例会に提出された。同時に「政党機関紙の購読を求める行為をはじめとした西東京市庁舎内での政治活動に関する調査を求める陳情」も提出された。2件とも同じ提案者だった。付託された議会運営委員会はこれまで継続審議としていた。ほぼ半年経った12月の議会運営委員会で書面審査の結果、賛成多数で採択された。

 本会議で反対討論に立った藤岡智明氏(共産)は「いこいーな」を「守り育てる立場である」と強調した上で、このポスターやチラシは「西東京史上最悪の有料化・値上げ計画を打ち出した行財政改革アクションプランを市民に知らせるのが目的」と主張。「負担増計画の動かぬ証拠に、公文書であるアクションプランの表紙を使用した」と述べた。著作権法第13条では、行政文書は規制の対象外になっているうえ、「行政文書と一体で分離できないものは一体に公開できる」として同法第32条の2(付随対象著作物の利用)を挙げて反論。「正当な政治活動を『いこいーな』使用にすり替えて規制するものだ」と批判した。

 同じく反対の立場で討論に参加した加藤涼子氏(生活者ネット)は「名指しされた特定会派と陳情者の間に見解の相違がある」と指摘。「調査も検討も不十分かつ、議員間の議論も尽くされていない中で、議員が議員に対し『公開の場における陳謝』」をさせるような前例を作るべきではない」と訴えた。市に対しては「受益者負担や施設の統廃合などを含む『行政改革大綱アクションプラン』の表紙に、市のシンボル、子どもたちに愛されるキャラクターである『いこいーな』を掲載するのが適切かどうか。他市でこういう例は見かけたためしはありません」と述べて掲載の実態と基準の精査、見直しを求めた。
 賛成討論に立つ議員はいなかった。

 採決で賛成したのは自民・無所属(9人)公明(5人)立憲フォーラム(3人)。反対は共産(4人)生活者ネット(2人)、無所属の田村広行ひろゆき、納田里織さおり、森輝雄てるおの各氏。小峰和美氏(無所属)は退席した。共産党市議団代表の藤岡氏は「不当だ」として「市の対応を見守りたい」と話した。

 

市は「政党活動の使用は認めない」

 

 採択された陳情は、共産党市議団が2018年秋に作成したポスターやチラシが「いこいーな」を「政治活動および(同年12月の市議会議員)選挙活動に使用した」との見解に立ち、「公開の議場における陳謝」を求めていた。それまで議会で交わされた討論や可決された決議は政党・会派名に触れなかったり、「ある公党」と言ったりするケースが多く、各会派はチラシと「いこいーな」の直接的な関連や、著作権法が絡む具体的な判断にほとんど踏み込まなかった。

 

市内に掲示された共産党市議団のポスター。表紙の周辺はカットされたように見える
(谷戸町、2018年9月16日)

 

 企画政策課の古厩忠嗣課長(当時)は昨年9月の予算特別委員会で、「いこいーな」の著作権は作成したシンエイ動画にあり、西東京市は「登録標章等を含めた商品化の窓口、それから、著作権の使用に係る窓口を独占的に行っている」と述べた。保谷七緒美なおみ氏(自民)の質問に答えて、古厩課長は指摘されたとみられるポスターに関して「恐らくホームページに掲載された画像データの表紙の一部を切り抜かれた印刷と理解をしています。具体的には、作成年月と西東京市という作成者の部分は省略されていますので、表紙そのものではなく、表紙の一部」と説明した。「政党の活動等に関しましては使用を一切認めていない」とも話した。

 

「有料化・値上げ」計画は

 

 「有料化・値上げ」反対のチラシとポスターはこの1年、幾度も議会で取り上げられた。最初は昨年年9月の第3回定例会の一般質問で、浅野高司氏(自民)がポスターに載った値上げ計画は事実か、などと質した。企画部の飯島享部長は「受益者負担の適正な取り組み」として、アクションプランが施設使用料の検討、保育料、学童クラブの育成料の見直し、自転車保管料の定期的な検証、公民館など使用料を徴収していない公共施設の受益者負担の導入などを検討していると述べた。「宣伝がうまい」と、浅野氏が皮肉交じりに指摘した対象は、ほぼ裏書きされたかたちになった。

 予算特別委員会で保谷氏(自民)が「いこいーな」使用の条件などを尋ねたあとの9月19日、稲垣裕二氏(自民)が動議を出し、「『いこいーな』等の使用に関する決議」を提出した。「何人も政治活動に使用しないこと、決してイメージを損なわないこと」を求め、賛成多数で可決した。決議には特定のチラシやポスターを指す言葉はなく、政党・会派名も登場しない。「キャラクターを守り育てる」という趣旨を強調する内容だった。

 年末の市議選が終わり、当選した議員が集まった今年2月の第1回臨時会で、初当選した山田忠良氏(自民)が緊急質問の一つとしてこのポスター問題を取り上げた。

 企画部の飯島享部長は「いこいーな」使用を認めないケースを問われ、「特定の個人、政党、宗教団体等を支援または公認しているような誤解を与え、または与える恐れがあるとき」などを挙げた。再質問には「特定の政党活動等には使用を認めていません」と明言。「特定の政治活動あるいは政党からの申し出があれば、使用を認めるのは現実的な対応ではない」「ご質問のポスターへのいこいーな掲載については、使用申請はない」と答弁した。西東京市の「いこいーな」の商標使用に関する「要綱」に沿った内容だった。

 6月の第2回定例会に、共産党の活動に関する2件の陳情が提出された。その後継続審議となっていた陳情はともに、12月になってから動き始めた。「いこいーな」陳情に先だって、第4回定例会の一般質問で、自民党の浜中義豊のりかた氏が共産党機関紙の勧誘、配布問題を取り上げた。6月に提出されたもう1件の陳情に関連した内容だった。丸山市長らが「改める必要がある」などと述べたあと、その陳情は取り下げられた。

 

「理」が退かない政策論議

 

 共産党市議団のチラシとポスターが、「いこいーな」を利用したのか、「いこいーな」をあしらった「アクションプランの表紙」を引用したのか。著作権法で規定される行政文書(表紙)の引用も、届け出の対象なのか。「要綱」によって届け出を求めるのは政治活動の規制なのか。「いこいーな」に関して、市の使用実態はどうなのか、基準はあるのか…。日の目を見ないことがらはまだまだ続く。「いこいーな」の使用とみるか、「表紙」の引用とみるか。議論の方向はここで分かれる。

 市議選は過ぎ、ポスターはとっくに姿を消した。その段階で陳情審議は、「表紙の使用」か「『いこいーな』の利用」かという議論や検証を跨ぎ越え、「陳謝」を求めて採決された。政党・会派が「利」を争っても、ともに議論を尽くし、「理」が退かないことを年末のささやかな願いにしたい。
(北嶋孝)(写真は筆者撮影)

 

【関連情報】
・「西東京市のマスコットキャラクター『いこいーな』の政治活動への利用に反省、陳謝を求める陳情」(2019年6月)(PDF:244KB
・「いこいーな」を使用するには(西東京市Web
・西東京市マスコットキャラクター「いこいーな」の商標使用に関する要綱(西東京市Web、PDF:123KB
・西東京市第4次行財政改革大綱アクションプラン(平成30年度版)(西東京市Web、PDF: 1.15MB
・『いこいーな』等の使用に関する決議(2018年9月19日、PDF: 634KB

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One thought on “「いこいーな」問題で共産党市議団に陳謝求める 西東京市議会が賛成多数で陳情採択

  1. 1

    チラシと表紙の画像を差し替え、表紙の輪郭が分かるようにしました。「関連情報」の資料に、昨年9月の決議文を追加しました。会派名に誤りがありました。「立憲民主」ではなく「立憲フォーラム」です。お詫びして訂正します。(編集部)

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