コーヒー

芳醇な味と香りのコーヒーに 家庭焙煎の楽しみ

投稿者: カテゴリー: 暮らし オン 2020年3月26日

 コーヒー愛好者に、ちょっと耳寄りな話。家庭で焙煎ばいせんに挑戦した体験報告です。自宅で過ごす時間が多くなるこの時期、新型コロナウイルス対応の思いがけない産物、収穫になるかもしれません。卯野右子さんの奮戦記をご一読ください。(編集部)

 

炒った香りが家じゅうに広がる

 

 家庭用のコーヒー豆焙煎器をゲットし、生豆を初めて焙煎してみた。

 焙煎器をガスコンロの上で振り、豆がカラカラと音を立てるのを聞きながら気長にる。しばらくするとパチッパチッと豆がはぜる音がする。これが1ハゼ。その後パチパチと連続音が聞こえてくる。これが2ハゼと習った。2ハゼから5秒〜10秒さらに炒って焙煎完了。

 豆の粗熱がとれたらいてドリップ。お湯を注ぐと豆がどんどん膨れ上がってくる。炒りたて挽きたての豆は炭酸を多く含むため、大きく膨らむのだと説明を受けた。いったんここでお湯を注ぐのを止めて少し蒸らしドリップ再開。

 

湿り気のある香りとともに膨れ上がる豆

 

 コーヒーにうるさい夫が絶賛した。こんなに香り高くおいしいコーヒーが家で飲めるとは私とて想像以上だった。一杯で大満足。飲み終わったあとも豆を炒った香りが家じゅうに広がる。

 

思わず「やらせてください!」

 

 優れものの焙煎器は耐熱・遠赤外線セラミックで、その名も「いりたて名人」。生豆の焙煎のポイントは豆の中までしっかり熱を通すことで、熱の通りが悪いと半生・半焼の焙煎になってしまう。伝導率に優れ遠赤効果のある焙煎器を使えばだれでも簡単に焙煎が出来るという。

 焙煎器入手後に説明書を読んで焙煎のキモを理解したが、手のひらに収まる小ぶりな焙煎器との出会いは、たまたま焙煎している現場に居合わせたことだった。参加した講座で振るまわれたコーヒーがその場で焙煎された一杯だったのだ。

 ガスコンロの上でカラカラ炒っているのを見て、やらせてください! と思わず頼み込んでいた。名人どころかド素人が炒るわけだ。頼まれた方もちょっとビビっていただろうが、丁寧に炒り方を教えてくれた。

 

バーナーで豆を炒る 意外に強火

「いりたて名人」についてきた生豆と器具一揃い

 

 調理器具フェチの私はこの焙煎器を連れて帰らずして研修場を離れられなかったのである。ありがたいことに焙煎器に加えて、計量スプーン、炒りたての豆を冷ます金属製のザル、そしてコロンビアの生豆が付いてきた。家に帰って早速焙煎したという次第。

 私よりもコーヒー好きの夫にはそれなりのコーヒー遍歴がある。まずはドリップから入り、イタリア製のエスプレッソマシーンを購入。デミタスでよく楽しんだが、5年間程使って調子が悪くなった。その後サイフォン式を使ったり、水出しでれたり、ベトナム式のコーヒーメーカーを試したりしてきた。

 近年は一巡してドリップ式に戻り、器具よりも豆に凝るようになっていた。私自身は豆の特徴や産地の違い、酸味や苦みについても詳しくないのだが、なるべく有機で農薬・化学肥料を使っていない豆を手に入れることにこだわっている。

 

変化や失敗にも楽しみが

 

 新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が始まり、不要不急の外出はなんとなくはばかられる日々が続いている。これまでとは違った生活や楽しみ方を模索することにもなった。そんな折、家庭で数杯のコーヒーを淹れるに手ごろな大きさの焙煎器を手にいれた。

 炒っている間の少し焦げたような香ばしさ、挽いた瞬間に鼻孔に届く芳醇な香り、お湯を注ぐと立ち上がる湿り気を含んだ湯気の香り、淹れたての豊かな香りと味。一つ一つの工程が楽しい。

 

焙煎8段階 1ハゼ2ハゼでこんなに変わる

 

 焙煎の度合い、お湯の量もまだまだ試行錯誤。焙煎したての豆の挽き方も、細挽き・中挽き・粗挽きとあり、組み合わせも自由だ。二度目は苦すぎた。

 生豆を売ってくれるお店やネット販売も検索してみた。様々な豆がある。まずは最初に炒った豆、コロンビアを何度も試してみよう。日によってかなり違う味になるのは致し方ない。出来上がりがその都度バラバラでも、変化や失敗にも楽しみがあるはず。ビギナーズラックではなく、コツをつかんで「うまい!」とまた夫をうならせる一杯を淹れられる日が来るかもしれない。

 将来 ”Uno Coffee☕” という店を開くのも夢ではない!?

(卯野右子)(写真は筆者撮影)

 

【筆者略歴】
 卯野右子(うの・ゆうこ)
 西東京市新町在住。金融会社勤務。仕事の傍ら「アートみーる」(対話型美術鑑賞ファシリテーター)「みんなの西東京」「放課後カフェ」の活動に参加。東京藝術大学で「アート X 福祉」を履修し、2019年4月より東京都美術館のアート・コミュニケータとして人と美術館を繋ぐ活動を開始する。

 

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