悪疫・疫病退散の神事も中止 小平神明宮の八雲祭
小平神明宮(小平市小川町)が4月25、26日に予定していた「八雲祭」が新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となる。悪疫・疫病の退散を祈願して行われる恒例の祭事。神社側は「流行した病気を鎮めるために始まった八雲祭の由緒を考えると、まことに残念だがご理解いただきたい」としている。
1661年に創建された小平神明宮は地元では「神明さま」の名で親しまれ、八雲祭は毎年4月最後の土・日曜に催される。初日夜の宵宮祭は暗闇の中で宮神輿とともに多くの提灯を掲げた9基の万灯が行列をなして神社に集まり、境内には露店が立ち並ぶ。
2日目の本祭・神幸祭は早朝から1日をかけて、太鼓山車を先祓いとして氏子らが担ぐ宮神輿が14キロに及ぶ氏子区域を練り歩く。氏子の間に病気が流行した際、悪疫・疫病の退散を願って行った祭祀が始まりとされる。
多くの人出で賑わう八雲祭は春の伝統行事として地元に根づいてきたが、感染拡大を受けて3月末に初の中止を決定した。大祭に代わって今年は神主だけでお祓いをして祝詞をあげる神事を執り行う。600人以上いる氏子らには、札所で参拝客に頒布している「悪疫退散・人身救済」の御札を配布する。
感染拡大後も参拝者の数は減っていないものの、他人の手が触れる本坪鈴は鳴らさず、祈祷の申し込みやおみくじを買う人も途絶えているという。
宮﨑和美宮司は「このたびのお祓いでは、例年の悪疫退散・人身救済に加えて、新型コロナウイルスの一日も早い終息を祈願したいと思っています」と話している。
(片岡義博)(写真は小平神明宮提供)
【関連情報】
・令和二年度八雲祭・中止のお知らせ(小平神明宮)
【筆者略歴】
片岡義博(かたおか・よしひろ)
1962年生まれ。共同通信社文化部記者として演劇、論壇などを担当。2007年フリーに。2009年から全国52新聞社と共同通信のウェブサイト「47NEWS」で「新刊レビュー」を連載。著書に『文章のそうじ術』(言視舎)など。小平市在住。