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「顔の見える関係に風評被害なし!」 福島県の農業生産者が東久留米市で講演会

投稿者: カテゴリー: 新型コロナウイルスみどり-環境原発・エネルギー食・調理 オン 2020年8月3日

会場のいすの間隔はコロナ対応(東久留米市市民プラザホール)

 東京電力福島第一原子力発電所の事故から9年余り。地元福島の農業生産者が7月28日、東久留米市の市民プラザホールで「福島の農業の今」を語った。主催したのは「福島県の復興を支援する東久留米在住外国人の会」。昨年来の交流が実を結んで開かれた講演会に、近在の福島県出身者や復興に関心を寄せる市民ら40人余りが集まって耳を傾けた。

 

主催は復興支援の「東久留米在住外国人の会」

 

 「外国人の会」代表のソービ・トーマス・アブラハムさん(58)は在日37年のインド人。東久留米駅前にあるインド料理レストランのオーナーだ。磐梯山の麓に別荘を構え時期があり、福島の子どもたちを群馬県で開いた外国人キャンプに招待したこともあった。そんな縁で昨年夏、復興支援の「東久留米在住外国人の会」を結成し、10月にバスツアーを企画して、福島県の農業生産者を訪ねた。その時交流したのが、この日講演した農業生産法人・株式会社二本松農園社長の齊藤登さんだった。

 

講演する齊藤登さん

 

 齊藤さんは福島県の中央、中通り地区にある二本松市で野菜やコメ、果樹を生産している。原発事故で一帯も汚染された。しかし地元の取り組みで「お米は全量検査して2015年度から基準超えはゼロ。今年4月から抽出検査になりました」。「キュウリやトマト、桃や梨も基準以下」なのに、市場や消費者はそう見てくれない。「風評被害」を払拭し、「おいしくて、安全・安心の福島産農産物を食べていただきたい」。各地を回り、齊藤さんは現地の声を届けている。

 

安全のカギは「吸収抑制」

 

 では本当に田畑は汚染されていないのか。齊藤さんは講演で、ちょっと意外な事実を語った。「生活の場所は除染対象ですが、農地は除染されていません」。では、どうして農産物は安全なのか。農地の除染対策として、表層土と深い部分の土を入れ替える「反転耕」があり、放射性物質のセシウムを吸収する薬品ゼオライトの投入も有力な対策のひとつだ。ところが齊藤さんは、カギは「吸収抑制」だという。

 米などの農産物はカリウムを吸収して育つ性質があるため、塩化カリをたっぷり投入する。先にカリウムを吸収させてセシウムの吸収を抑制し、事実上ブロックしてしまうのだ。安全・安心の基は、実地の農業技術だった。

 

「顔の見える関係に風評被害はなし!」

 

 福島県産米を店頭で見かけることはまれ。主に業務用に出荷されることが多いという。齊藤さんらは風評被害を乗り切るため、県内の農家とNPO法人「頑張ろう福島、農業者等の会」を立ち上げ、自力で販路開拓を図った。現在50以上の生産者が集まり、二本松農園が始めたネットショップ「里山ガーデンファーム」で生産者と消費者が直接つながる関係づくりを進めている。齊藤さんは最後に「顔の見える関係に風評被害はなし! 遠回りのようですが、これが大事だと思います」と述べて講演を終えた。

 

交流のネットワーク

 

 「外国人の会」代表のソービさんは昨年のバスツアーで福島の農産物のおいしさを実感した。「現地に行って交流して、そうか、おいしくて安全なんだとわかった。うちの店でも福島のお米を使ってますよ」という。会津出身で東久留米市福島県人会の鈴木信幸さんは「外国人の会」のバスツアーを手助け。国会議員秘書の経験を生かして昨年4月末から始まった「里山ガーデンファーム国会議事堂店」開店に尽力し、今回の講演会開催にも協力した。

 

講演が終わったあと話し合う「外国人の会」代表ソービさん(左)と齊藤さん(右)

 

 西東京市福島県人会の管敏二さんも会津生まれ。「安全な農産物が『吸収抑制』の方法で生産されていると初めて知りました」と講演会の話を噛みしめていた。西東京市からやってきた県人会の佐藤朋子さんは昨秋のバス旅行に参加した。「孫4人と一緒に行きました。桃がおいしかったですね。こういう催しを開いて、これからも福島県の農産物が安心だと伝えてほしい」と話していた。

 

お土産の桃とジュースとお米

 

 福島県も風評被害払拭の活動を後押ししている。このイベントも福島県の「ふくしまの今を語る人 県外派遣事業」の一環。2014年から昨年まで212回開催し、約2万人が参加した。今年度はコロナ禍のためにスタートが遅れ、今回が2回目。計25回を予定しているという。同行した県消費生活課の佐藤みゆき課長は講演前にあいさつし、「福島県産の購入にためらう人がまだいらっしゃるようです。風評被害払拭のため、これからも生産者の生の声を伝えていきたい」と話した。
(北嶋孝)

 

【関連情報】
・インド料理レストラン・ルチラ(HP
・二本松農園(facebook
・里山ガーデンファーム(HP

 

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