切り絵作品「平家物語絵巻」展示始まる 田無神社おみくじ処で来夏まで
西東京市在住の切り絵作家小出蒐さんの作品展「平家物語絵巻」が10月9日から、市内の田無神社(賀陽智之宮司)のおみくじ処で始まった。平家一門の栄枯盛衰を描いた軍記を70余点の切り絵で構成、刊行した「平家物語絵巻」(217年)からほぼ半数の30余点を選び、壁面に展示している。来年8月31日まで。(写真は、作品の前で話す小出蒐さん)
保元・平治の乱を前後して貴族社会の没落が始まり、武士らが権勢を握り始める平安時代。幾多の戦乱を経て、平家と源氏の入り乱れた歴史が「平家物語」に綴られる。切り絵作家の小出さんは4年余り制作を続け、2017年に「小出蒐 切り絵の世界 平家物語絵巻」を出版した。
小出さんは「平家が栄華を極めたのはおよそ20年です。時代の変わり目では、人びとの生き様やものの見方が様変わりします。そこにひかれました。「絵巻」の世界は、現代と変わらないのではないかという問い掛けでもあります」と言う。
宇治橋を舞台に両軍がぶつかった「橋合戦」、源義経の鵯越で知られる「坂落とし」など戦の場面はひときわ目立つ。そのほか鬼界ヶ島に残された俊寛、白拍子に代わって清盛の寵愛を受けた祇王、都を落ちのびる白川法皇、平敦盛の最期なども織り込まれ、建礼門院の往生図で締めくくる。
展示場となったおみくじ処に、大小さまざまな切り絵が張り巡らされ、黒く鮮やかな描線が戦乱の世に散った数々の場面と登場人物とを描き上げている。
田無神社の賀陽宮司は、2018年に田無駅前のアスタで「平家物語絵巻」の展示会を見て感銘を受けた。「小出先生には(田無神社に祀られる)龍神や(疫病退散の)アマビエの絵を奉納していただきました。今度は、代表作の平家物語絵巻の世界をじっくりご覧いただきたい」と話している。
(北嶋孝)
【関連情報】
・平家物語絵巻 〜小出蒐 切り絵の世界〜 田無神社展(田無神社)
・切り絵作家小出蒐 kirieshu(Facebook)
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