3館合築よりまちづくりを 市民フォーラム初会合

投稿者: カテゴリー: 市政・選挙環境・災害 オン 2016年1月10日

 西武新宿線田無駅南口近くにある西東京市の中央図書館・田無公民館を、線路をまたいだ同駅北側の市民会館に合築・複合化する計画が打ち出され、今年3月までに結論を出すとの市の計画が進行している。この問題を市民とともに考えようという「まちづくりフォーラム」(鈴木治夫代表)が1月9日(土)午後、市役所田無庁舎の市民会議室で開かれた。約60人の市民が集まって会場は満席。図書館や公民館を遠くへ移転・合築させる計画の問題点や駅南口のまちづくりプランなどを2時間余り語り合った。

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文化施設のあり方やまちづくりを話し合った市民フォーラム


 この問題をめぐって12月市議会に請願と陳情計5件が提出された。いずれも継続審議になったが、前半は陳情を提出した市民や請願賛同団体の人たちが次々に立って、市計画の問題点を指摘した。

 新町に住む土井節子さんは「田無公民館の女性史講座に参加して地域の人たちと知り合えた」と前置きして、「図書館や公民館が線路反対側に移ったらもう行けない、と書いた手紙を高齢の女性からもらった。駅南側に約4万人、両館周辺に約1万の計5万人、西東京市民の4分の1が住んでいる。移転は多くの市民に影響するとあらためて感じた」と述べた。

 「西東京 自然を見つめる会」代表の中村賢司さんは「駅に近くて交通の便がよいから図書館・田無公民館が今の場所に造られた。(今は駅から徒歩5分なのに)市民会館の敷地に移ったら、われわれ高齢者の足だと15分かかる。移ったらもう行けない。高齢者を見放すようなことをしないでほしい」と訴えた。「西東京 風の会」代表の小林力さんは「(計画を出した)市には説明責任がある。市長も出てきて、大々的な市民説明会をやってほしい」と要望した。

 「田無公民館・中央図書館を現在地から移動させないで」との請願に賛同した「公民館をよりよくする会」代表の奥津とし子さんは、旧保谷市時代から公民館活動を続けてきた。「(合併前は)各公民館にそれぞれ運営審議会があり、専門知識のある館長や職員がいたのに、行政の方針でひとまとめにされた」と述べ、「社会教育施設は市民に必要な宝物なのに、ずっと攻撃の的になってきた。一方的に壊さないでほしい」と訴えた。

 

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会場はほぼ満席。熱心な討論が続いた(田無庁舎2階市民会議室)

 

 呼応するように、会場からも意見が相次いだ。
 住吉町から来た女性は「田無公民館の講座によく参加している。最近は子どもの貧困の講座を受講して、貧しい子どもたちに集まってもらえるよう『子ども食堂』を開いた。公民館をよく利用しているのに、今回の移転・合築の話は利用当事者にまったく説明されていない。不安なので今日の会合に来た」と言う。

 緑町に住む男性は「子どもや若い人たちの意見が(合築複合化基本プラン策定)懇談会に届いていないのではないか。小中学校の子どもたちが発表会を開くのに、わざわざ小平や所沢のホールを借りなければならない。市内に1000人規模の文化ホールが必要だ」と話した。そのほか「懇談会を傍聴したけれど、合築ありきで進行するのはおかしい」「私も娘も孫も田無公民館を利用している。生活の一部なのに、突然の移転、合築の話にビックリした」など行政主導の計画に戸惑いが出ていた。

 後半は、専門家らが夢のあるまちづくりや望ましい文化施設のあり方を提言した。
 建築音響設技術計者だった渡辺昇さんは、図書館・田無公民館の建て替えは田無駅南口の総合開発と一緒に考えられる、イングビルと駐車場の敷地も有効活用すればいい、などのプランを仮提出して「考えられる手段はほかにもいろいろある。無理やり急いで3館合築しない方がいい」と言う。市文化芸術振興推進委員会委員長を務める赤澤立三さんは「市役所はIT化が進むので小さくできるけれど、文化施設はそうはいかない。1000人規模のホールを検討するべきだ」と述べた。下野谷遺跡保存協議会会長の近辻喜一さんは同遺跡が国史跡指定されるまでの経緯を述べ、郷土資料室とは別に遺跡資料館建設の必要を語った。

鈴木治夫代表

鈴木治夫代表

 旧田無市時代の公民館運営審議会委員をたびたび務めた酒匂一雄さんは東京都教育委員会で社会教育行政を長らく担当。その後福島大学教授も務めた経験を踏まえて「社会教育は市民の参画と自治が根幹」と述べ、谷戸町のせせらぎ公園が市民参加で出来上がる経緯を話した。庁舎に関して、図書館、ホール、美術ギャラリーを併せた広島県の廿日市市庁舎や、沖縄・名護市の景観を生かした大胆な庁舎建築を紹介した。

 この問題に関心を持つ市議も7人参加。会合の最後にそれぞれあいさつし、市や議会の動きなどを報告した

 このフォーラムを呼び掛けた「『合築複合化案』の再考を求める市民の会」は昨年11月に「(計画の)白紙撤回を求める要望書」を市に提出。12月22日に丸山浩一市長と会って直接(計画の)撤回を求めた。フォーラムの鈴木代表は「これからも市民とともに議論していきたい」と話している。
(北嶋孝)

【関連リンク】
・西東京市合築複合化基本プラン策定懇談会(西東京市Web
・庁舎統合方針(案)を作成しました(西東京市Web

・田無公民館・中央図書館の市民会館への「合築複合化」の再考を求める市民の会(facebook
・3館合築に異議あり! 雅楽から見る「市民フォーラム」の必要性 「合築複合化案」の再考を求める市民の会 代表 鈴木治夫さん(タウン通信

・名護市庁舎概要(名護市HP
・テラスにそよぐ自治の理想「名護市庁舎」(馬渕和香、朝日新聞digital
・廿日市市庁舎及び文化センター(JOYFUL HIROSHIMA ジョイフル広島

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