今年の爆発事故3件続く 柳泉園組合のごみ破砕処理施設

投稿者: カテゴリー: 環境・災害 オン 2016年8月3日
爆発が起きた破砕処理施設(施設模型の中央赤丸)

爆発が起きた破砕処理施設(施設模型の中央赤丸)

 西東京、東久留米、清瀬の3市のごみを処理している「柳泉園組合」(東久留米市下里4丁目)で、今年になって3件の爆発事故が相次ぎ、扉や屋根などが壊れた。付近の住民団体が8月1日、組合に事故防止などの要望書を提出した。

 要望書を提出した「地域の安心・安全を守る会」(川崎泰王代表)らによると、今年2月12日、3月29日、7月26日に爆発事故が起きた。3月の事故の際は、住民の通報で消防車が多数出動し、騒然となったという。爆発事故は以前から度々あるため、消防や警察への通報、近隣自治会や住民、関係自治体などへの連絡を求め、被害状況や再発防止を申し入れた。

 柳泉園組合総務課によると、爆発事故はいずれも不燃ごみ粗大ごみを選別したあとの破砕処理中に起きた。スプレー缶やガスボンベなどが混入したまま破砕機に取りこまれ、漏れたガスが火花で爆発したのではないかと推定している。

 2月の事故では、爆風を逃がすように波板を張った屋根が外れ、扉も変形した。3月の事故でも扉が壊れ、消防隊がカッターを使って中に入った。「爆発事故は昨年も何件かあった。人身事故はないが、波板が外れたり壊れたりしたこともある」。7年前の爆発事故でも破砕施設の扉が破損。「数百万円から1000万円近い修理費用がかかった」という。

 再発防止のため、手作業でスプレー缶などを取り除く選別作業を週3回から週4回に増やして爆発物が混入しないように努め、ごみを搬入する3市に、あらためて分別収集を徹底してもらうよう依頼したという。3月と7月の事故後に、消防署や労働基準監督署などに報告。7月の事故の際は近隣自治会や構成3市、各市選出の議会議員にも知らせた、という。

(柳泉園組合HPから)

(柳泉園組合HPから)

 

 同組合が爆発事故を東久留米消防署に知らせたのは7月だけ。3月は住民が通報し、「2月は事業所からも住民からも通報がなかったので分からない。昨年2015年も(柳泉園で)爆発事故があったとは把握していない」(同署予防課)という。

 「火災の発見者」には通報する義務がある(消防法第24条)。そのうえ「人の意図に反して発生もしくは拡大した爆発現象」も「火災」と定義される(総務省消防庁「火災報告取扱要領」)。しかし「ごみ処理施設に通報義務を課しているわけではなく、火災が分からなければ調査、指導などに乗り出せない」のが実態だ。

 各地のごみ処理施設の事故は珍しくない。環境省が財団法人日本環境衛生センターに委託して全国の市町村と事務組合を調べ、2009年に公表した報告書では、爆発事故は年間52件、火災は40件起きている。
(北嶋孝)

 

【関連リンク】
・柳泉園組合 >>
・平成20年度 一般廃棄物処理施設等事故事例調査報告書(環境省

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