避難訓練付きコンサート開く こもれびホールで震度6強の想定
災害は時と場所を選ばない。そのときどうするか-。西東京市の保谷こもれびホールで10月15日(土)、いざというときに備える「避難訓練付きコンサート」が開かれた。開演直後に地震が起きたという想定で、ホールの職員らが家族連れの多い聴衆を誘導して館外へ。西東京消防署員らの救助活動が終わった後ホールに引き返し、約160人の聴衆が名曲の調べに耳を傾けた。
コンサートは午前10時30分に開演した。東京ニューシティ管弦楽団の弦楽メンバー10人がモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」を演奏してすぐ、場内にビープ音が響いた。「緊急地震速報です。強い揺れにご注意ください」とアナウンスが流れる。ホールの明かりが点滅する。身構えたところに説明が入った。
「震度6強の地震がありました。落下物があるかもしれません。頭部を防いで席を外してしゃがんでください」「怪我をした人、気分の悪い人は近くの係員に申し出てください」「コンサートを中止します。エレベーターには乗らないでください。係員の指示に従って館外に避難してください」…。
連続するアナウンスで周りの状況を知り、聴衆はスタッフの指示で避難。待機していた消防署員らが保谷庁舎の中庭へ誘導した。
屋上に取り残された人がはしご車で救助され、負傷者が担架で降ろされる。20分ほどの訓練が一段落。ホールに戻った聴衆は、もう一度最初から「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」を聞き、ビバルディやバッハらの有名な曲の演奏に耳を傾けた。
コンサートが終わった後、こもれびホール館長の田中大介さんは「天候にも恵まれ、よい訓練ができたと思います。今日の結果を点検し、いざというときに備えたい」と話していた。
避難訓練付きコンサートは今回が4回目。副館長の有川由夏さんは「毎年ホールの利用状況をみながら日取りを決めてきました。入場無料です。この日は年齢制限せず、小さな子どもたちも来てもらえるようにしています」という。防火管理者の恒松大介さんは「職員やスタッフがこういう訓練を通じて、いざというとき何が必要かどう動くか、イメージを持ってもらうことが大事です」と話していた。
(北嶋孝)
【関連リンク】
・避難訓練つきコンサート~東京ニューシティ管弦楽団メンバーによる弦楽合奏~(保谷こもれびホール)