「教育長にパワハラ疑惑」と質問 西東京市議会本会議で

投稿者: カテゴリー: 市政・選挙 オン 2016年12月12日

第4回定例会初日(12月2日、本会議場)

 西東京市議会第4回定例会の一般質問で12月8日、保谷七緒美なおみ氏(自民党)が前田とおる教育長を相手に「パワハラ疑惑がある」などと20分余り集中的に質し、「今後どうされるかはご自身で判断していただきたい」と述べた。しかし具体的な事実は提示されかったため、他の議員から「事実関係の調査を求める」議事進行の発言が出たが、その場では取り上げられなかった。

 保谷氏はまず、健康に最も影響が大きいのは教育だとの説を紹介した後、西東京市が掲げる「健康応援都市の実現」に果たす教育の役割と、職場のパワーハラスメント防止策などを取り上げた。

 前田教育長は教育基本法を引用しながら、教育は「心身とも健康な国民の育成」を目的とするなどと説明。パワハラ防止策については「職務上の地位や職場内における優位性を背景に、他の職員らに、本来業務の適正な範囲を超えて、人格、尊厳等を侵害する言動を行ってはならない」との市職員服務規程を紹介。相談窓口を教育指導課に定め、問題があれば相談できるよう同課長の連絡先を校長会を通じて教職員に周知している、などと答弁した。

保谷七緒美氏(2016年6月8日撮影)

 保谷氏は再質問で「教育長の言葉に本気度が感じられない」と述べ、「意見で終わらせようと思っていたが、あらためてストンと落ちる答弁をお願いしたい」と一問一答形式に切り替えて前田教育長に質問を続けた。

 保谷氏は文部科学省の通知で「教育長は資質、能力向上が大事で、強い使命感を持ち、研修会に参加するなど常に自己研鑽に励む必要があると、されている」と前置きした上で、「健康都市実現のため、教育長はこれまでどのような自己研鑽を積んだか、どんな研修会に参加したのか」などと迫り、「資質」や「使命感」をまず質した。

 その上で保谷氏は「部下から相談しにくい上司だと思われていると思う」「部下の発言を遮ったり無視することがある」など7項目の市のパワハラ防止チェックシートを読み上げ、「防止の基本はコミュニケーションにあると思うが、教育長は部下とのコミュニケーションをどう考えているのか。組織のトップとして気を付け大事にしていることは何か」と問いかけた。

 前田教育長が「組織目標を達成するためにコミュニケーションをしっかり取ることが必要。教育部門のトップとして公教育のビジョンや理念を示し、隅々まで理解してもらうためにさまざまなコミュニケーションをとることが大事」と答えると、「考え方はトップダウンですね。部下の話はどのように聞いているのか」と続け、「教育長にパワハラ疑惑が出ている。思い当たる節はないか」と踏み込んだ。

前田哲教育長(2016年6月9日撮影)

 前田教育長は「職員と話す中で多少強い言い方をすることがないとは言わないけれども、ご指摘のようなことがあったとは認識していない」「学校現場で先生たちがしっかり仕事し、教育が充実すれば、結果として子どもたちにプラスになる。学校現場が大事だという視点がずれた場合は多少きつい言い方をするかもしれないが、現場を基本に考え、大事にするのがトップの責務だと思う。そういう視点で仕事をしていると言うことは申し上げておきたい」などと答えた。

 保谷氏は「学校現場が大事なのは当然。いま聞いているのはハラスメントです。受けた側がハラスメントだと認識すればハラスメント。教育長には自覚がないのかなと思う。いずれにしろ疑念が出ている段階ですでに、教育長の資質に問題がある」「答弁を聞くと(パワハラを)認めている、と聞こえる。今後どうされるか責任の取り方はご自身でお考えください」などと述べ、一連の質疑を閉じた。

 保谷氏の質問が終わった後、森輝雄氏(無所属)が稲垣裕二議長に対し議事進行に関して発言。「いまの遣り取りはあくまでうわさ、疑念とされていた。それが事実なら大変な問題だし、うわさならそれも問題なので、事実の確認、調査を求めます」と提起した。これに対し稲垣議長は「保谷議員は疑念の下に質疑された。本会議場で、私の権限では、事実関係を確認する立場にないので、議事進行としては取り上げません」と述べ、次の議員の発言に移った。

 保谷氏の質疑に、議員の反応はさまざま。「発言内容を事前に知らなかったが、あそこまで言うのだから、相当の覚悟と裏付けがあると思う」「(来年2月の)市長選挙を控えたこの時期になぜ、市長を推す立場の人が発言に踏み切ったのか。市長の(教育長)任命責任の問題に波及しかねない」「あまりに個人を取り上げている。あらためての議会調査は馴染まないし難しいのではないか」「議会として事実をきちんと調べるべきだ」…。少なからぬ発言に、驚きと戸惑いの響きが滲んでいた。

 保谷七緒美氏は市議4期目。現在は西東京市自民党市議団の副幹事長を務める。
 前田哲教育長は、東京都都教育庁高校教育課長、地域教育支援部長を経て、2015年7月から西東京市教育長を務めている。任期は2018年6月30日まで。
(北嶋孝)

 

【関連リンク】
・議会インターネット中継(西東京市Web 市議会
保谷なおみオフィシャルサイト
・西東京市立学校職員服務規程(西東京市例規集

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「教育長にパワハラ疑惑」と質問 西東京市議会本会議で」への1件のフィードバック

  1. 1

    見出しに誤りがありました。「パワラハ」ではなく「パワハラ」です。見出しをチェックするのがイロハのイというべきニュースサイトで、お叱りを受けて当然のミスでした。本日午後1時半過ぎに訂正しました。(編集部)

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