「パワハラ疑惑」調査特別委設置の動議を否決 西東京市議会12月議会閉会
西東京市議会(稲垣裕二議長)の第4回定例会(12月議会)最終日の12月21日、本会議の終盤になって、前日退任した前田哲前教育長の「パワハラ疑惑」問題を調査する特別委員会(地方自治法第100条)設置の動議が提出された。討論、採決の結果、賛成少数で否決された。一般質問で指摘された「疑惑」の事実関係は議会で明らかにされることなく閉会した。今後は市の内部調査に委ねられる。
開会の冒頭で、丸山浩一市長が教育長の退任を報告した。各会派の議員からはその理由、事実関係、市長の任命責任、教育委員会の対応などの質問が続いた。
丸山市長は、教育長の辞任理由が「一身上の都合」だったと明らかにした上で、「(『疑惑』が指摘された)8日の議会が終わった後、本人と会って事情を聞いた。(多少きつい言葉を使ったことがあるかもしれないが、パワハラとは認識していないとの)議会答弁と同じ説明を受けた。任期中の辞職はまことに残念だし、責任を感じている」と述べた。
事実関係の調査と対応について、池澤隆史副市長は「教育長は特別職で、特にパワーハラスメント対応の規定はないが、一般職員用の対応マニュアルに準じて関係職員らから事情を聴き、実態把握に努めたい。この対応は、指摘がもし事実なら行為者に是正勧告を出すなど、職場環境の改善につなげていくのが目的。重大な事態と受け止め、しっかり検討したい」などと説明したが、公表は明言しなかった。
手塚光利教育部長は「校長会などを通じて今回の事態を説明し、学校現場、特に子どもたちに影響が出ないようにします」と話した。
市側の答弁に納得しない議員から「『疑惑』の指摘だけで、調査の公表もなければ、議員として市民に説明出来ない」「うわさを基にした質問で、都のエリート職員だった教育長の将来を変えてしまった。真相をを明らかにする必要がある」「内部調査で疑惑がなかったとなったら、どうするのか。それこそ問題だ」「パワハラはいじめだ。教育のトップがパワハラ疑惑を指摘され、真相が明らかされないままの辞任で、学校のいじめをどう指導できるのか」などの意見が続いた。
保育人材確保対策などを盛り込んだ一般会計補正予算案や条例改正案、請願、陳情などの採決が一段落した後、山崎英昭氏(統一会派みらい)から、地方自治法第100条の規定による「保谷なおみ議員の一般質問における教育委員会のパワーハラスメント疑惑問題調査特別委員会」設置の動議が提出された。
約3時間の休憩を挟んで再開された本会議で、動議に賛成の討論が4議員からあった。反対討論はなかった。藤岡智明氏(共産)は「今回の問題は、教育行政をめぐる重大問題であることは事実だが、100条委員会は通常、贈収賄や公金支出の不正などを取り上げる。今回は疑惑といっても、あまりにも材料が少なくて、動議(の賛否)を判断しかねる」と述べ、同議員団4人はともに退席した。
採決で賛成したのは統一会派みらい(山崎英昭、小峰和美、桐山ひとみ、瀧島喜重)、生活者ネット(後藤優子、加藤涼子)、無所属(森輝雄、納田さおり)の計8人。反対は自民(7人)、公明(5人)、民主改革フォーラム(3人)の計15人だった。
(北嶋孝)
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・西東京市議会本会議の録画映像(西東京市議会)