green drinks

「住人十色」のコミュニティーづくり 新生ひばりが丘団地の試み

投稿者: カテゴリー: 暮らし環境・災害 オン 2015年6月4日

 西東京市と東久留米市にまたがるひばりが丘団地の再生事業が進んでいる。賃貸と分譲、若い家族と高齢世帯、古くからの住民とあらたに引っ越してきた人たち-。今後約2500戸になると予測される大規模団地で、「地域コミュニティーづくりの水先案内人」を目指す団体「まちにわひばりが丘」が活動を始めた。民間デベロッパーと独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)が立ち上げた一般社団法人。多種混在のニュータウンで始まったあらたな試みを探った。(写真は、子育てをテーマに開かれたミニ集会。司会は「まちにわひばりが丘」事務局の田中宏明さん(左端)。自由学園しののめ茶寮)

 

 「私たちの団体『まちにわひばりが丘』は『街に和』、『街に環』を願って名付けられました。多くの方が住むエリアで、暮らしを楽しく、困りごとなど課題を解決できるために活動しています」

 団地から少し離れた地域交流施設「自由学園しののめ茶寮」で[2015年]5月23日(土)夜、「green drinks Hibarigaoka」と呼ばれるミニ集会が開かれた。主催は「まちにわ」。挨拶に立った事務局長の高村和明さんは自分たちの活動をこんな言葉で紹介した。

 「団地にはいろんな方がいて、生活スタイルも趣味も違い、いわば『住人十色』。近所付き合いにも濃淡があります。しがらみに悩むような付き合いはしたくないでしょうし、全く付き合いのない孤独も望んでいない。しがらみと孤独の間の、ほどよい関係を目指して活動したい」

 この後、子育てをテーマに3人のゲストが話した。「ぱぱとままになるまえに」代表の西出博美さんは「妊娠したときにちゃんと喜べるように、分からないこと知りたいことを多くの人に伝えたい」。西東京市の学童クラブや児童センターで活動している「子どもアミーゴ西東京」副代表理事の佐藤文俊さんは「お母さんたちが孤立しないように、子どもの安全な遊び場とママたちのおしゃべりの場を設けている」。3人目の渡辺武俊さんは自由学園出身。「私立学校の子どもたちは、地域から引き剥がされている」と話し、学園が地域と交流する活動を紹介した。

 ゲストトークが一段落した後は、ワインやジュース、つまみの「ソーシャル飲み会」に。新築マンションから来た赤ちゃん連れ、西東京と東久留米の住民など約20人が参加し、和やかな懇談が続いた。

団地再生事業概念図

まちにわひばりが丘提供 クリックで拡大

 ひばりが丘団地は1959年に建設され、旧日本住宅公団が手がけたマンモス団地の先駆けだった。しかし老朽化が進んだため十数年前から団地再生事業が始まった。古い住棟は建て替えられ、中心区域の「ひばりが丘パークヒルズ」(1450戸)に生まれ変わった。囲むように配置された民間の分譲マンション群はまず「ひばりが丘フィールズ1番街」(11階建、144戸)が完成し、今年3月末から入居が始まった。建設中のマンションも年内に2棟お目見え。新マンション群の住居は併せて1070戸と見込まれ、団地は最終的に2500戸を超える街になる。

 「パークヒルズ」には旧団地から続く自治会があるが、分譲マンションの新住民は想定外。新築の「1番街」、年内完成予定の「2番街」は東久留米市にある。しかし西東京市に建築予定のマンションもある。エリア内に建設予定の中学校は西東京市。新・旧、分譲・賃貸のほか自治体も異なるなど環境はさまざま。このため個別マンションの管理組合や、自治体の地区センターなどではカバーしにくい。「まちにわひばりが丘」は、エリア全域のコミュニティーづくりを任されることになる。

 

分譲マンション

団地内のD2街区に建設中のマンション。

 

 今年4月から「まちにわ」事務局員2人が団地内に常駐。マンション住民のおしゃべり会「まちにわリビング」を開いて要望を聞き、新住民を迎えるウェルカムパーティーも計画。団地自治会とも交流する。コミュニティー・ペーパー「A’ERU」(会える)も発行。記事や写真を募り、おすすめ店の情報提供などを呼び掛ける参加型の季刊紙を目指している。

 活動の拠点となるコミュニティーセンター「ひばりテラス118」は11月完成予定。団地の古い住棟を改修し、カフェや会議室を備え、おしゃべりにも打ち合わせにも活用できる。周りに菜園を計画。イベントを一緒に運営するスタッフも募っている。

 

ひばりテラス118

改修中のコミュニティーセンター「ひばりテラス118」。2015年5月20日撮影

 

 高村さんは「『まちにわ』は、エリアの広い自治会のイメージでしょうか。私たちはみなさんの関係をつないでいくハブ(中継・媒介)のような存在です。あくまで住む人が主体。団地再生事業にめどが付く4年後には、拠点施設も含め、団体の運営を住民のみなさんに移管できるようにしたい」と話している。
(北嶋孝)

 

▽6月の予定。
 まちにわリビングは6月13日(土)ひばりが丘団地北集会所ホール。
 green drinks(ソーシャル飲み会)は7月末(予定)。
 ひばりが丘フィールズ1番街の入居者向けのウェルカムパーティーは6月21日(日)、27日(土)スカイタワー西東京大会議室(西東京市芝久保町)。
 詳細、問い合わせは、まちにわひばりが丘(電話042-452-5758)。

 

【関連情報】
・まちにわひばりが丘(HP
・ひばりが丘フィールズ(大和ハウス工業

 

北嶋孝
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