街に活気をもたらす 清瀬市の女性起業家応援「ミニフェスタ」

投稿者: カテゴリー: 暮らし オン 2017年12月14日

 「女性起業応援」をテーマにした「ミニフェスタ」が11月23日、清瀬市の男女共同参画センター(アイレック)で開かれた。西武池袋線の沿線3市(西東京市、東久留米市、清瀬市)の男女共同参画連携事業は昨年「ワークライフバランス」を掲げ、3市は「女性起業応援フェスタ」を開いた。この流れを広げようと、今年の連携事業テーマ「防災」とともに、清瀬市は「女性起業応援ミニフェスタ」を同時開催した。3市から参加した21店の「起業家」はどんな人たちか。どんな交流が広がったか。昨年の企画から関わった松本円香さんの報告です。(編集部)

 

 

ミニフェスタのチラシ

 「同じようなイベントがあったら、また声をかけてほしいな」
 沿線の商店街にカフェを開いて2年目。昨年、沿線3市男女平等参画連携事業「女性起業応援フェスタ」に出展した女性の言葉だ。企画に携わった私は、この言葉を聞いてとてもうれしかった。彼女はこのフェスタで近隣の女性起業家さんたちと知り合えた。来場した大勢の方々に店を知ってもらうこともできた。出展して得るものが多かった、というのだ。彼女の言葉が励みになって、私は今年のミニフェスタも手伝うことにした。

 

 交流はお客とも、出展者同士も

 出展者を募集すると、予想を上回る21店舗のフェスタとなった。清瀬からは12店舗、東久留米から5店舗が参加した。西東京からの出店は4店舗。東京ピクルスさん、手づくりジャムのヴァリエさん、よもぎ蒸しサロンのほっかさん、パーソナルカラー診断のアトリエ花日和さんの顔ぶれだった。

 

ミニフェスタでアイレックの交流スペースはにぎやか

ミニフェスタのワークショップの一場面~リラックスヨガ~

 

 出展内容もさまざまだった。手作りパン、焼き菓子、無農薬野菜、ランチボックス、ピクルスなどの食品類が並んだ。手作り布小物、アクセサリー、ポストカードなどの雑貨類のお店も多かった。 ヨガ、親子英会話、アロマクラフトづくりなどのワークショップもある。それぞれが個性を生かしたブースを作り、会場となったアイレックの一室はとても賑やかだった。

 出展者はお客との交流も楽しんだ。出展者同士でも情報交換が盛んだった。子育てしながらの活動はどうしてる? どんな販売方法? 自宅がお店だが、外に良いスペースはないか? などなど。情報交換しながら悩みの相談もしていたようだ。時間があるとお互いのブースを見て回り、買い物をしたりワークショップに参加してみたり。

 

 堂々と輝いて

 今回初めてワークショップで出展された方は、「何より参加した方々の笑顔が嬉しかった」「まだ起業していないが既に起業している方たちと話ができてとても参考になった」などの感想を寄せてくれた。

 実は事前説明会で、自己紹介を兼ねて日頃大切にしていること、ご自身の事業(商品)への思い、悩みなどが語られていた。皆さんの熱い思いはあふれて予定時間オーバー。その中で、昨年起業しフェスタにも出展した方がこんなことを話してくれた。

 「起業することを義父に猛反対され、今もいろいろと言われて苦しいが、夫の協力がありやってこられている。反対されたことが逆に頑張ろうという気持ちになっている」と。諦めないパワー、起業によって深まった家族との絆を感じた。「昔よりはいいのだろうが、まだまだ母親が仕事をすることへの風当たりは強いと感じている。そんな女性たちの励みになればと、しっかり活動していきたい」。そう言う彼女は、昨年参加した時よりも堂々として輝いて見えた。

 

 フォトボイス展も同時開催

フォトボイス展のチラシ(クリックで拡大)

 ミニフェスタの前後、東日本大震災のフォトボイス展も同時開催された。被災地の女性たちが自分で撮った身近な「写真と思いを記した言葉(声)」を作品として展示し、理解と共有を図る試みだった。ミニフェスタの当日は、フォトボイス展のトークイベントも予定されていた。お互いに刺激し合えるイベントになることを望みながらのスタートとなった。

 出展した人たちはフォトボイス展にも興味を示し、店番の合間を縫って展示を見たりトークイベントに参加したりしていた。目的の催しだけでなく、両方へ足を向けた来場者も多かった。

 フェスタの参加者からは、フェスタがなければフォトボイス展を知ることも見ることもなかったと思う、見ることができて本当によかった、などの感想を聞いた。フォトボイスを開いた主催者の人たちは、日ごろ関心を持ってくださるのは高齢の方が多いので、若い方々に見てもらうことができてよかった、と話していた。同時開催は功を奏したようだ。

 

フォトボイスのトークイベントでは、多くの方が参加し震災6年の現状を聞いた

 

 商店街のある街で

 私は数年前に西武池袋線沿線の清瀬市に越してきた。家探しをしているときのひそかな願いは、‟商店街のある街で暮らしたい”ということだった。探し回った末、少し寂れてはいるけれど、商店街のある街に決めた。細い道を右へ左へ歩きながら靴下を買い、太巻きを注文し、小さなカフェでおいしいケーキを食べ一息。袋からはねぎがニョキッと顔を出している。そこで落ち着いたら、歩いて帰る。

 この街を何も知らず、知人もいなかった私だったが、個性的な店主さんたちのおかげで、今は友人もできて楽しく過ごしている。大手スーパーやチェーン店にはできないことではないだろうか。

 そんな友人たちとのつながりから、昨年のフェスタ企画に携わることになったのだった。

 

 新たなつながりの予感

 今回、ミニフェスタに出展したのは、個性を生かし、街の人々とのつながりを大切に、この沿線で活躍していきたいと願っている女性たちだった。

 有名店に負けないケーキやパンを作る、ゆっくりじっくりオーダーを聞いてお客の望むアクセサリーやカバンを作る、小さなお子さんと一緒でも気兼ねなく食事を楽しんでもらいたいとカフェを開く、楽しくかわいいものを地元でも買えるようにと小さな雑貨店を開く、地元の農家さんと協力し合って東京の伝統野菜を加工する…。そんな女性たちが、商店街の閉じたシャッターをぐっと押し上げ、街に活気をもたらしてくれるのだ。チェーン店ばかりのどこにでもある街にならないよう、小さくても思いのこもった店を応援したいと思いう。

 皆さんとのおしゃべりはとても楽しく、手伝いながら(買い物しながら!)私もとても楽しんでいた。

 昨年のフェスタ出展者のつながりは今も続いている。新たなつながりが生まれる予感がしたミニフェスタだった。
(松本円香)(写真はアイレック提供)

 

【筆者略歴】
 松本円香(まつもと・まどか)
 東京墨田区下町生まれ・下町育ち。清瀬在住7年。モンテッソーリ教師として幼稚園・保育園で小さい子供たちに携わる。現在は保育園の職員指導員。近隣の小さなカフェの手伝いもしている。自分の住む街が楽しくなることを願っている。

 

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