「地域が変わると暮らしが楽しくなる」 「ふるさとまちづくり大賞」の東久留米市 氷川台自治会長が講演

投稿者: カテゴリー: 暮らし オン 2018年3月2日

東久留米市からやって来た氷川台自治会長の殿田俊三さん

 西東京市南部地域協力ネットワークと西東京市は2月24日、田無庁舎会議室で、「暮らしに役立つ講演会 地域でつながろう」を開いた。国のふるさとづくり大賞団体賞を受賞した、東久留米市にある氷川台自治会の会長殿田俊三さんを講師に迎え、各自治会長や民生委員など約50人が熱心に話を聞いた。

 同ネットワークは、西東京市南部の住民組織や関係団体などが連携して地域づくりを進めている。講演会では、形だけの自治会を、全国の見本になる組織に変えたノウハウなどを学び、地域活性化につなげるのが狙い。

 同自治会は1956年、西武鉄道が市の北東部に開発分譲した戸建て住宅地で、会員数327世帯約950人、加入率97%。住民の高齢化などに伴う空き家の活用や高齢者支援などの活動が評価され、総務省が行う「平成28年度ふるさとまちづくり大賞」団体賞を受賞している。

 殿田さんは1983年から氷川台に住む。39年間のサラリーマン生活を経て、2010年から輪番制で自治会長に就任。1年間の活動で地域コミュニティの衰退に危機感を覚え、2011年から地域活性化に向けたさまざまな活動を展開している。一昨年12月には、氷川台自治会から駅や市内大手スーパーを巡回する高齢者対象の自前のバスを走らせた。

 

講演会には市内の自治会長、民生委員らが集まった

 

 講演会は2部構成で、1部は「地域で楽しく暮らし続けるために~氷川台自治会の取り組み~」をテーマに講演。2部は参加者との意見交換会が実施された。

 講演の冒頭、殿田さんは、「地域が変わると暮らしが楽しくなることを知っていただいて、活動をまねしてほしい。これからお話することは机上ではなく、全て実際にやってきたこです。みなさんがやろうと思ったら必ずできます」と言い切った。

 まず、氷川台自治会の活動を紹介する約10分の動画が上映され、本題に入った。現状把握、課題解決に向けた方策・取り組み、地域づくりの手法などを説明した。

 改革へのスタートは、まず人材発掘と確保。日常生活を活動につなげることが重要で、例えば、ゴルフ練習場で知り合った住民と親しくなりゴルフ同好会を作っている。活動を始めるにはきっかけが必要だ、という。

 活動に欠かせない資金の確保については、住民の会費の他、地域活動を支援する東京都や市の補助金などを捻出している。殿田さんは「東京都は申請すれば補助金を出すので市より苦労がないですよ」と語る。

 本格的な活動に向けては、活動内容を明確にして、会員の意思統一を図るためのスローガン「安心・安全で暮らしやすいまち『氷川台』、元気で明るい自治会をみんなでつくろう」を掲げた。会費を払う目的を報せ、納得してもらう。進捗情報を公開し、検証して無駄を省き、健全な会の運営を図っている。

 活動を継続させるポイントは、役員の負担を軽くすること。会員のニーズに応えるうち多くのイベントや教室などができた。運営には役員は関わらず、それぞれ委員会が独自で開催している。

 殿田さんは、「東久留米市内では、形だけの自治会代表者や私から常に厳しい意見を受けている行政にとっては、私は煙たい存在です。西東京市では胸を張って講演できます」と生き生きとした表情を見せ、会場を沸かせた。

 盛りだくさんの取り組みに講演時間は予定を過ぎても足りず、2部の意見交換会に持ち超された。

 

第2部で質問を受け、経験を交えて答える殿田さん

 

 2部で、参加者から現状調査の仕方について質問されると、殿田さんは「年代別の調査なら個人情報保護法に当たらず実施できます。西東京市の市民意識調査を参考に質問項目を選べはいい。回収率を上げるには1回ではだめ。継続して実施するのが大切です」と話した。

 また、会長に役員手当はあるのかと問われると、「以前はなかった役員手当案を自治会総会にかけ、反対されました。その反対した人を役員手当検討委員長に据え、委員会で活動内容を精査してもらったら、提案した年間3万円から10万円へ跳ね上がりました」と答えた。

 都の補助金制度については、「『地域の底力再生事業助成』などを活用しています。人と話していると活動のヒントが出てきますが、市はお金がないのだから、市民にもっと都の情報を伝えなきゃ」と西東京市の職員に意見する場面もあった。

 講演会を終えた参加者の一人は、「これまで聞いた講演会の中で一番よかった。素晴らしい自治会活動をされている方に出会えました。まずは自分の自治会で実践してみます」とはればれとした笑顔を見せた。
(柿本珠枝)(写真は西東京市協働コミュニティ課提供)

 

【関連リンク】
・氷川台自治会が「平成28年度ふるさとづくり大賞」(東久留米市
・地域活動の推進(町会・自治会 地域の底力発展事業助成など)(東京都生活文化局

 

【筆者略歴】
柿本珠枝(かきもと・たまえ)
 旧保谷市で育ち、現在西東京市田無町在住。1998年(株)エフエム西東京開局から携わり、行政や医療番組、防災、選挙特番など担当。地域に根差した記者としても活動している。

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「地域が変わると暮らしが楽しくなる」 「ふるさとまちづくり大賞」の東久留米市 氷川台自治会長が講演」への2件のフィードバック

  1. 富沢木実
    1

    講演会に行きたかったのですが、所用があり、残念に思っていました。詳細が分かりました。有難うございます。

    • 柿本珠枝
      2

      コメントをいただきましてありがとうございます。すべて本音でお話された殿田さんの講演は、来場されたみなさんの心に響いたのではないでしょうか。私も勉強になりました。

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