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田無・やおよろずのさんぽ市 境内で人と作品に出会う

投稿者: カテゴリー: 暮らし オン 2015年5月21日

 今年[2015年]も「やおよろずのさんぽ市」の季節がやってきました。
 毎年5月に田無神社で行われている、手しごと作家やアーティストが集まる青空市。こだわりの美味しい飲食店も出店し、境内ではミュージシャンによるライブも行われる、彩りゆたかなお祭りです。(写真は、大勢の人たちで賑わう「さんぽ市」)

 このお祭りは、田無駅前にある「カフェ&ギャラリー 田無なおきち」の店主・佐藤うららさんが中心となって始めたそうです。今年は5月16日(土)に催され、小雨が降る朝にもかかわらず、開会時からたくさんのお客さんが訪れていました。

 販売や飲食、ワークショップやライブも行われる盛りだくさんな内容ながら、お客さん、出店者、主催者など会場に集う人たちが、出会った人とおしゃべりしたり、のんびりとお店を覗いたり、力を抜いて楽しめる雰囲気。それが「やおよろずのさんぽ市」です。

 

 人に“出会う”

 

 田無駅から徒歩6分の場所にある田無神社。鳥居をくぐって石段をあがると、参道の両脇に市内近辺の手しごと作家によるお店が並んでいます。どれも丁寧で素敵、しかもほぼ一点ものの作品です。

 今回出店した手しごと作家は13組。普段、なおきちでワークショップや販売をしている作家さんも、さんぽ市のみの出店になるお店も、すべて日ごろからなおきちと交流・刺激しあう方たち。作風は異なりますが、質はもちろん、真摯な作品づくりと人柄が魅力的です。

 自分用に、プレゼント用に、あれこれ目移りしながらお買い物。作品のこと、さんぽ市のこと、ほかにも思わぬ話題で会話が弾むこともあり、そんな楽しみ方ができるのも、さんぽ市の魅力かもしれません。

 

 遊ぶように“過ごす”

 

 木漏れ日に風がそよぐ境内は、コーヒーやお酒、美味しいフードも出店していて、まさにオープンカフェ。焼き菓子やサンドなど、お腹の空き具合に合わせた食べ物を買って、ベンチで食べると、軒先の木陰で遊んでいるような感覚になり、ついつい長居してしまいます。

 子どもたちが石を並べたり、御神木の周りで遊んだり、パペット人形やアーティストによる紙芝居が登場することも。なんだか懐かしい光景に、自然と力が抜けていきます。

 広場の横では、リラクゼーションや占い、アートなどのワークショップが開かれています。ハンモックリフレでほぐれる男性、占いで一喜一憂する女性、試験管でアイスキャンデーを作る子どもたちなど、様々な形で楽しんでいました。

 私は娘二人を連れて、佐貝ようこさんのワークショップ「布に描く*蜜ろうクレヨン」に参加しました。靴を脱いで座卓に座り、模様をつくり、クレヨンで色を塗っていきます。「すぐ終わる人もいるし、じっくり時間をかけてやる人もいます。自分ができた、と思った時点で仕上がりです」とのこと。その言葉もあってか、長女は考えた通りの模様を作ろうと、じっくり時間をかけて取り組みました。

 「風や木漏れ日を感じながらのワークショップが、気持ち良い!」
 普段、自宅でやっていたら口を出したり手を出したりすることもありますが、私もじっくり見守ることができました。

 

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木立に囲まれたオープンカフェ

さんぽ市

子どもたちが自由に描いた絵

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ハンモックでリラックスタイム

 

 一方、次女はサッと模様をつくり、一気に仕上げまで終わらせてしまいました。姉妹の個性の違いに驚きながら、帰り際には手しごと「plume」のお店へ。

 「クレヨンで塗ったバッグ、綺麗だね」

 そう言われて嬉しそうにバッグを見せる長女と、帰宅したい次女。そんな姉妹についておしゃべりした後、自転車用キーホルダーを購入した長女に「鈴がついているから、失くしにくくていいね」と一言。長女も“作家さんから買った”キーホルダーを、自転車の鍵と一緒に大事にしようと思ったようです。

 

 楽しむことで “つながる”

 

 初めてさんぽ市が開かれた2012年の出店数は、17店舗ほど。すべて仲間と自前で始めたお祭りでした。現在は「やおよろずのさんぽ市実行委員会」を設立し、第1回を模索する段階から一緒だった、渡辺夕妃子さんが実行委員長を務めています。今年は34店まで増え、回を重ねるごとに、お客さんの数も増えています。昨年は西東京市の後援を得たり、地元の他店他業種の方の協力も得て、認知度・共感度ともに増しているようです。

 年に一度のさんぽ市。毎回あたたかくて、質の高い作品が出品されています。「今年も、あの作家さんいるかな」と期待して来るお客さんも多く、出店者も、それに応えるよう時間をかけて準備しています。

 「作家さんやアーティストの魅力を紹介したい。モノを売るだけでなく、このお祭りで目に見えない“良さ”を感じ、また来年も来たいな、と思ってもらえたらうれしいです」と佐藤さん。
 お客さんと心を通わせる、真摯な作品と楽しむ心。
 モノではない“もの”を売っているお祭り。
 来年のさんぽ市は、どんな素敵な作品、どんな出会いがあるか。一年後を待つ楽しみができました。
(廣田亜希子)(写真は@ノースアイランド舎撮影)

 

【筆者略歴】
廣田亜希子(ひろた・あきこ)
 埼玉県入間市出身。結婚と同時に西東京市に住み始めて11年目。二児の母。子どもたちの「ふるさと」になるこの地域の人やまちの魅力を伝えるため、ライターチーム「ままペンシル」を立ち上げ活動中。母ならでは、生活者ならではの目線で企画・制作を行っている。

 

 

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