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校外学習は「リアル救出ゲーム」 謎を解いて楽しく市内巡り 西東京市立明保中学校の全校参加行事

投稿者: カテゴリー: 新型コロナウイルス子育て・教育 オン 2020年11月9日

「発見」された宮本校長(左)と笑顔の班メンバー

 コロナ禍の下でも安全に、みんなが楽しめる学校行事を-。この秋、西東京市立明保中学校(宮本尚登校長)が実施した校外学習は、全学年参加の「リアル救出ゲーム」だった。クラスの生活班メンバー数人が力を合わせて「謎解き」に挑み、難題をクリアしながら西東京市の名所を知り、最後に「誘拐」された校長先生を「救出」するシナリオ。記者はある班に密着して、好天に恵まれた10月22日の朝から夕方まで市内を回った。

 

 午前8時半過ぎ学校に到着。間もなく、この日行動を共にする2年のクラスに案内された。生徒は全員マスク姿。担任の先生がこの日の注意事項を手短に伝えた後、校内放送が始まった。

 

誘拐されたのは校長先生!

 

 部活動で表彰された生徒の紹介が終わり、宮本尚登校長の話が始まった。ところが直後に何者かが侵入したらしい。「何するんだ! わぁ、さらわれる。助けてくれ!」。マイクを奪った男のダミ声が割って入る。「中学生は勉強が本分だ。授業だけしていればいい。楽しい学校生活を送りたければ、校長先生を助け出すんだな!」。古色蒼然とした教育観が、とんでもない行動を引き起こしたらしい-。こんな想定で「リアル救出ゲーム」の幕が上がった。

 

教室で最初の謎解き

 

 男の指示は放送を通じて次々に。まず、街の地図に店を配置していく謎を解く。校内の水飲み場に行くと先生たちが解答をチェック。正解だとまた謎が。解くと行き先は「こもれびホールだ」。班のメンバーは足早に校門を出る。早い! 着いていくのがやっとだ。徒歩密着をすぐ断念した。「先に行ってくれ」と言い残して学校に引き返し、自転車に乗り換えた。別の班は、西武新宿線の東伏見駅が次の行き先だった。

 

次々に謎を解いて市内巡回

 

 保谷こもれびホールの駐輪場に行くと、班のメンバーが待ちかねていた。謎解きは早かったらしい。ここでも行き先は班ごとに分かれる。田無庁舎、田無神社、東伏見稲荷神社の3箇所。「次は?」と尋ねると「田無神社です。知ってますか?」。もちろん知っているけれど、ホール前を通る保谷新道を行けば近い、とは言いかねた。

 

 一行は広い伏見通りを進み、市内地図を見ながらズンズン歩く。心配になって声をかけると「大丈夫」「分かります」と心強い声が返ってきた。それではと、田無神社に先乗りして待つことにした。

 

他の班も次々にやって来た(田無神社境内)

 

 やがて神社境内でメンバーと再会した。ほどなく先生も到着。封筒に入った問題を受け取る。ここでもメンバーが話し合い、協力して謎を解いた。次の行く先は、縄文時代の住居跡地として知られる下野谷遺跡公園だった。またまた歩いて公園を探し当てる。謎を解く。昼食場所は「明保中」となっていた。

 

公園で生徒の到着を待つ先生たち(下野谷遺跡公園)

 

 まだ戻っていない班もあるなか、教室で食事を済ませ、「街をつくろう」ゲームに挑戦。午後一番の行き先は、隣接する文理台公園だった。近いせいか「やったあ」「よし」などの声も上がった。ところが、ここで謎解きに苦戦。先生のヒントを参考に何度もトライしたが、結局30分余りかかった。午前中は「トップだよ」と言われていたのに、ここで時間がかかったのが順位に響いた。

 

みんなで考えても四苦八苦(文理台公園)

込み入った問題を解く生徒たち(いこいの森公園)

 

 その後、住吉会館前の公園、いこいの森公園と市内の有名ポイントを回り、学校に戻ったのは午後3時半を過ぎていた。順位は全体で3番目。最終問題を解いて、誘拐場所が校庭の倉庫とわかる。閉じ込められた宮本校長を「救出」して、出発から6時間余りの全行程を終えた。

 

楽しく、みんなで、達成感

 

 行動を共にしたのはクラスの当番活動を担当する数人単位の生活班だった。学校側の説明によると、全校生徒は371人。コロナ感染防止で「密」を避けるために、3学年計58班が市内12ヵ所を歩いた。午前中はこもれびホール、東伏見駅に始まり、東伏見稲荷神社、下野谷遺跡公園、田無庁舎を回る6パターン。午後は文理台公園、保谷駅から住吉会館前公園、下保谷森林公園、健康広場、いこいの森公園を組み合わせる4パターンだった。

 

 今回の「救出ゲーム」は校内学習なので、もちろん狙いがある。企画を進めた2学年担当の先生は「班行動を通じて仲間との友情を深め、責任ある行動を習得する」を挙げた。もう一つは「謎解きを楽しみながら、西東京市を知る」だった。1年生は3年時の修学旅行の事前学習の一環として、市内の戦争遺跡も回るコースが追加された。

 

最後に学校に戻った。全体の3番目

 

 救出ゲームの概要は事前に知らされたが、誘拐される人物は伏せられた。謎解きのテストは事前に何度か繰り返した。しかし実際の問題はオリジナル。生徒らはぶっつけ本番で取り組んだ。

 

 校長先生を救出した直後に、行動を共にした2年生の班メンバーに感想を聞いた。「ちゃんと問題に取り組めて、すごく楽しかった」「おもしろかった」「他の班に抜かれて悔しかったけど、いい思い出になりました」「結構難しい問題を、班で協力して解けてよかった」「足も疲れて大変だったけど、最後まで出来た」。笑顔で元気。しかもたくましい言葉が返ってきた。

 

 学校が生徒の感想を集約したら、「班で謎を解いたときに達成感が味わえて楽しかった」「今まで知らなかったところにも行けて、市内で、何がどこにあるのかが分かった」などの声もあったという。

 

校外学習中はいたって静かな明保中学校

 

 

 来年1月に都内巡りを予定した2年生の校外学習の検討から今回の試みが始まったという。コロナ感染状況が続けば実施は危ぶまれる。だったら今秋なら実施できないか、市内巡りなら、全校参加なら…と膨らんだアイデアが先生たちの話し合いでまとまり、オリジナルのシナリオに仕上がった。

 

 宮本校長は「救出」後、「今回のリアル救出ゲームは、コロナ渦の中、3密を避けながら楽しく、安全に実施できる取り組みはないか、教員が考え、試行錯誤しながら実施した手作りの学校行事です。大きなトラブルもなく終えることができました。この取り組を通して、生徒は、友達と協力し合うことの楽しさや大切さを味わうことができたと思います」と振り返っている。
(北嶋孝)

 

【関連情報】
・本校オリジナルの全校校外学習(明保中学校
・明保通信10月号(明保中学校

 

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校外学習は「リアル救出ゲーム」 謎を解いて楽しく市内巡り 西東京市立明保中学校の全校参加行事」への3件のフィードバック

  1. 1

    読んだだけで、わくわくしました。
    コロナ禍だけどできること、工夫して楽しむ姿を、まず教師が示したというのが最高です。
    公共の乗り物を使わずに、ねらいも達成し、何より楽しめた。きっと、心に残る行事になったと思います!

  2. さんさんまま
    2

    娘がとても楽しかったそうです。
    脱出ゲーム注意事項の説明方法もユーモアたっぷりで子ども達も喜んでいたそうです。
    修学旅行が中止になったけれどとても良い思い出になったようです。先生方のアイディアと努力に驚きました。ありがとうございました

  3. 数学教師 松永
    3

    さすが宮本校長先生
    素敵な取り組みをされていますね!
    本当に感動しました……

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