報告書

再発防止に「西東京方式」 中2生徒虐待自殺の検証委報告書公表

投稿者: カテゴリー: 市政・選挙子育て・教育 オン 2015年6月2日

 西東京市立中学2年の男子生徒が昨年[2014年]7月、継父の虐待を受けた後に自殺した事件で、西東京市は[2015年]6月1日(月)、「父親の暴力による生徒のアザを2回確認しながら、児童相談所や子ども家庭支援センターに連絡せず、生徒の自死を未然に防げなかった」などとする最終報告書を公表した。同市教育委員会は事件を受けて、虐待されていると思われる生徒やその家庭との対応を定めた「西東京ルール」を各校に通知、教員らに対する独自の研修計画「西東京プログラム」を5月から実施している。

 

 報告書によると、学校側は生徒の顔のアザを2013年11月と14年4月の2回確認。ともに父親に殴られたと把握しながら校長への報告はなく、市の子ども家庭支援センターや小平児童相談所に連絡、通告もしなかった。14年6月13日から長期欠席した際、家庭と電話連絡して三者面談を予定していたが「(本人は)祖母の実家のある山形に行った」との虚偽の説明を見抜けずに実現しなかった。その後、父親と校内で面談したが、本人とは会えないまま。生徒は7月30日に自宅で自殺した。

 報告書は「児童虐待を疑って組織的に対応すべき事案」などとして、早期発見・早期対応の再発防止方針を掲げている。

 市教委はこれらの方針を受けて、学校側の対応を独自の「西東京ルール」にまとめた。(1)児童・生徒が3日連続欠席したら担任が管理職に報告(2)5日欠席したら担任が家庭訪問し、本人を確認する(3)7日欠席しても本人を確認できなければ教育委員会とともに家庭訪問。緊急性のある場合は子ども家庭支援センター、犯罪が疑われる場合は警察に連絡する(4)10日目以降は児童相談所や警察に届け出る、などとなっている。

 市教委は同時に、児童虐待を認知、理解し、組織的に対応する独自の教員研修計画「西東京プログラム」を開発。5月8日の第1回は4月採用と転入の教員計148人のうち140人が参加した。今後、生活指導主任など生徒と直接関わる教員を職層別に研修する予定。

 文部科学省は今年3月、川崎市で中学1年生が殺害された事件を受けて、学校の早期対応指針を都道府県教委に通知。その中で、児童生徒が連続欠席した場合、3日を目安に担任らが管理職へ報告し、7日を超える場合は市教委などに通知するよう求めている。西東京市は国の指針を具体化した上で、教員研修プログラムと組み合わせて再発防止の効果を上げる独自方式を打ち出した。

 同検証委は池澤隆史副市長を委員長に、庁内の関係部課長11人のほか、専門委員として東京都児童相談センター職員ら2人が参加。大学教授ら3人をアドバイザーに迎えて、昨年9月から8回の会合を開き、今年4月30日に報告書を市長に提出した。

 2月にまとめた中間報告にそって、2015年度から市教委はスクールカウンセラーの市独自配置( 月40時間の巡回)、スクールソーシャルワーカーを週3日巡回配置するなどを先行実施している。

 報告書によると、自殺した生徒に暴行を加えて怪我をさせたとして継父は2014年8月20日に傷害罪、「24時間以内に自殺しろ」などと言ったとして11月19日に自殺教唆罪で起訴され、現在東京地裁八王子支部で公判中。傷害は認めているが、自殺教唆は認めていないという。
(北嶋孝)

 

【関連情報】
・西東京市立中学校生徒の死亡事案検証委員会報告(全文)(西東京市Web、583KB

・連続して欠席し連絡が取れない児童生徒や学校外の集団との関わりの中で被害に遭うおそれがある児童生徒の安全の確保に向けた取組について(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

 

 

北嶋孝
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