Print This Post Print This Post

大震災を忘れることなく、いのちをつなぐ 『3.11から10年―東北被災者と西東京市の人びとが紡いだ日々』発刊によせて

投稿者: カテゴリー: 交流・共生災害・防災原発・エネルギー オン 2021年2月10日
「3.11から10年」表紙

新刊『3.11から10年」の表紙(クリックで拡大)

 東日本大震災から10年。間もなくやって来る「あの日」を控えて、新刊『3.11から10年―東北被災者と西東京市の人びとが紡いだ日々』が発行されました。A4判、70ページ。郷里を離れて西東京市に避難した人たちの声、被災者・被災地をこの間支援してきた西東京市の市民、団体、社会福祉協議会、市職員らの交流と足跡が綿密、丁寧に記録されています。企画編集・発行したNPO法人生活企画ジェフリー理事長の渡辺美恵さんが、本書誕生の経緯や交流の記録を紹介します。(編集部)

 

 

 2011年3月11日午後2時46分に発生した三陸沖を震源とする地震は国内観測史上最大のマグニチュード9.0、最大震度7を記録し、沿岸は最大30メートル超の大津波に襲われました。また、東京電力福島第一原子力発電所の事故(放射能の被ばく)から身を守るため、着の身着のまま故郷を離れねばならなかった人たちもたくさんいました。死者・行方不明者・関連死者が2万2000人を超す大惨事となった東日本大震災からもうすぐ10年です。

 

 復興庁によると、震災直後は約47万人が全国各地に避難していたそうですが、2020年12月現在でも4万3000人の人たちが未だ避難生活を余儀なくされています。

 

 今回、ご紹介する冊子『3.11から10年―東北被災者と西東京市の人びとが紡いだ日々』は、避難移住者の今の声と、10年間途切れることなく被災者・被災地を応援し続けてきた西東京市の人びとのお話(活動報告)ですが、行政職員も、NPOも、社会福祉協議会も、市民団体も、企業も、互いの立場を超えてオール西東京市で、助け合い、支え合った豊かな協働の記録でもあります。以下、冊子の内容、出版の経緯とともにインタビューや執筆にまつわるエピソードなどもお伝えしていきたいと思います。(本冊子は西東京市NPO等企画提案事業として市と協働で刊行したものです。)

 

企画に込めた思い

 

 本冊子を企画・編集・発行したNPO法人生活企画ジェフリーは、大震災5か月後から避難移住された方々と関わって10年。その間には、避難体験の聞き書き集『3.11の現実―そして、私たちはこの町にきた』を発刊(2013年1月刊)、また、避難者と支援者の交流会「元気か~い」も19回開催したほか、他団体とのネットワークも丁寧に紡いできました。

 

 しかし、震災当初、大きな関心事だった原発も、放射能も、避難者支援も、絆も、避難所問題も、近頃は話題になることも少なく、3.11の風化を懸念していました。そこで3.11から10年を迎えるのを機に、東日本大震災を忘れず、被災者の現状を知っていただくと同時に、西東京市の人びとの協働の実際を記録し、未来につなげたいとの思いで企画・編集しました。

 

もくじ紹介

・寄稿 ウィズ放射能の時代に―作家 志賀泉
・カラー写真で見る3.11被災地と支援活動
・1章 避難移住から10年―被災者の今の声
・2章 忘れず寄り添い10年―NPO法人生活企画ジェフリー
・3章 避難者の孤立化防止10年―社会福祉協議会
・4章 被災地派遣と支援の10年―西東京市職員
・5章 被災地の町おこし10年―自治労西東京市職員労働組合
・6章 多彩な支援の10年―市内NPO、企業、機関等7団体

 

カラー写真でみる被災地と支援活動のページ(冊子『3.11から10年』から)

 

内容紹介

 

 震災発生から半年後、西東京市には約60世帯140人余りの人が避難していました。あれから10年、途切れることなく被災地・被災者を支援し続けてきた西東京市の人びとの活動は、不思議なくらいどこかで、誰かとつながり、助け合い、応援し合っていたのです。市民も、NPOも、企業も、社協も、市の職員も、お互いに手を取り合い、助け合ってオール西東京で、3.11の被災地・被災者を応援してきました。3.11を自分事として捉え、日常の活動に浸透させてきた10年の歩みは、豊かな協働の町を育みました。

 この冊子を読まれた方はきっと、西東京市の人びとの寛容さ・活動力に魅了されることと思います。そして、これを機に、市民同士が深く広くつながるきっかけになれば嬉しいです。

 

 ここがすごい!(1)―東北被災者の10年と今の声

 西東京市に暮らす避難者16名に10年間の暮らしの変化と今のお気持ちをお聞きしました。ぜひお読みください。以下に過酷な避難体験談より一部紹介します。

・15歳でみた大津波とPTSDの今
・夫の命日3.11は誰にも会いたくない
・防災無線が鬼気迫る声で連呼「避難せよ!西に逃げろ」
・避難所は筆舌に尽くしがたい。人は鬼になると思った
・避難所のトイレは30分待ち。寒かった
・男も泣いていいんだと思うようになった
・原発は安全だと思っていた
・故郷に残らなかったことを未だに引きずっている

 ……避難者の皆さんは「西東京市の人は皆親切でやさしい」とおっしゃってました。中には「近々、西東京市民になります」と宣言された方もいました。

 上記の聞き取りを開始したのは2020年4月。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、3密回避、消毒・換気励行、マスク着用、手作りの飛沫防止板を用意。感染者が出たら大変!…細心の注意を払い無事に終了しました。

 

聞き取り風景

コロナ対策万全に。インタビュー風景(冊子『3.11から10年」から)(クリックで拡大)

 

 ここがすごい!(2)―西東京市の職員、自治労の活動

①3.11直後、要請に応えて震災被災地の支援に出向いた市の職員の赤裸々な感想は今後の震災支援策への知恵が満載。避難所運営支援や災害廃棄物処理など現場の過酷な体験からわが町の防災に思いを巡らす職員の感想から公務員魂を感じることができました。
②市内で被災者支援を続けている職員は、ボランティアとして市民活動に参加。市民との協働を意義あることと考え、被災者を思い続け、気にかけ続ける言葉に、職員の市民性を見た思いです。
③そして自治労西東京市労組の新地町支援の記録は、多様な人びととの連携・協働がより有効な活動を生むことを見せてくれました。懐深く、粘り強く活動できるパワーの源には、公共サービスを担う自治体労働者としての気概がありました。

 

 ここがすごい!(3)―オール西東京市の協働の記録集

 西東京市は世代を超えて、市民が自治力豊かに活発に活動している町です。本冊子に登場した人びと・団体はそれぞれの専門性を活かして真摯に、個性ある活動を続けていますが、ともに認め合い、助け合うネットワークも機能しているとっても心温かい町なのです。

 社会福祉協議会の避難者の孤立化防止事業も生活企画ジェフリーの「元気か~い」も、サポートハウス年輪の復興支援バザーも、旭製菓の新地町応援も、子どもアミーゴ西東京のいわき市学童支援も、タウン通信やエフエム西東京の情報伝達も、ゆめこらぼも、福島県人会も、連携・協働の糸を縦横織り交ぜながら多彩な活動を10年続けてきたのです。すごいですよね。

 

2月1日から無料配布中!

 

 本冊子は、2月1日から西東京市内の図書館・公民館、市民協働推進センターゆめこらぼ、田無総合福祉センター、男女平等推進センターパリテ(住吉会館ルピナス内)で無料配布しています(無くなり次第終了)。

 なお、市外の方や事情により上記施設に行けない方には郵送も可能です(切手310円必要)。まずは生活企画ジェフリー渡辺までお電話ください(042-467-2089)。数に限りがございますので、ご連絡はお早めにお願いします。また、市内図書館、田無庁舎内情報公開コーナー、ゆめこらぼ・パリテなどで閲覧も可能です。ご利用ください。

 

早くも「ひとこと感想」が届いています

 

〇被災した方々、応援した方々の10年がぎっしり詰まった感触。皆さまがつながりを維持し、復興を願い続けた時間と行動の積み重ねが見えます。
〇大災害の非日常になった時、そのどん底を救ってくれるのはやはり人の温かさ、言葉、支援の仲間ということがよくわかります。
〇職員さんの身近な支援、NPOや市民団体の力強い活動、かりんとうやさんの心意気、本当に頭が下がりました。
〇写真も多く立派な冊子ですね。
〇西東京市でも多くの団体、人びとが東北被災者・被災地を支援し、関係を紡いでこられたことを初めて知りました。3.11の風化が心配される昨今、自分なりに3.11を考えたいと思います。
〇温かく、さりげなく、常にオープンに、ともに歩み続けた皆様には敬意という言葉では足りないものを感じます。
〇第1章の避難者のインタビュー。苦労されて西東京市にたどり着き、親切にしてもらって前向きに生きておられて…読み進めていくと止まらなくなりました。私忙しいのに読んでられないよ!と思いながら読んでました。みんなえらいなぁ!
〇どの団体も、あの冊子には収まり切れない数々の活動があったことでしょう。
〇冊子の内容は大変濃く、次の活動を担う若い人たちへと継続していくことを願います。

(2021年2月5日現在、一部紹介)

 

最後―すべての人に感謝

 

 生活企画ジェフリーの「3.11から10年を迎える今だからこそ伝えることに意味がある」との思いに共感し、ご支援・ご協力いただきましたすべての方々に感謝申し上げます。

 3.11から10年は節目であっても終わりではありません。東北被災者・被災地への支援はこれからも続きます。

 

【著者紹介】
 渡辺美恵(わたなべ・みえ)
 1946年生まれ。群馬県出身。編集者。NPO法人生活企画ジェフリー理事長。西東京市在住約30年。

 

【関連情報】
・【新刊案内】『3.11から10年―東北被災者と西東京市の人びとが紡いだ日々』(NPO法人生活企画ジェフリー

 

(Visited 305 times, 1 visits today)

大震災を忘れることなく、いのちをつなぐ 『3.11から10年―東北被災者と西東京市の人びとが紡いだ日々』発刊によせて」への4件のフィードバック

  1. 富沢木實
    1

    素晴らしい活動ですね。歴史は、普通の人たちが紡いでいくものですが、普通の人たちは、いつしか忘れられていきます。偉い人の話しか残りにくいものです、でも、普通の人たちの記録が残されました。素敵なことです。

  2. 渡辺美恵
    2

    コメントいただき有難うございます。西東京市は個性豊かな市民が、多彩に活発に活動している町だと思います。そして、懐深く多様性も容認してきた暮らしやすまちでもあります。
    普通の市民の底力をこれからも育んでいきたいですね。市民との協働もきっと進んでいくことでしょう。

  3. 中川航一
    3

    渡辺さん、凄いですね。さすがです。
    以前の市内女性史も素晴らしかったですが、10年間避難者を支援し続けてきたとは、脱帽です。
    コロナが収まったらまた飲みたいですね?・(>_<)・? まだ不謹慎かな?

  4. 渡辺美恵
    4

    コメントいただきありがとうございます。お久しぶりです。NPO法人のお仲間としてここまで互いに切磋琢磨してきましたね。この新刊冊子もそうですが、尊敬しあえる仲間同士、どこかで、誰かと関わり、助けあいました。またその関係がゆるやかで、楽しく、心地よかったからいろいろな団体と連携して10年が過ぎました。東北被災者の方々にもこの西東京市で居場所と出番と仲間を見つけ、住み続けてほしいですね。ああそうそう…飲み会ですが、もう少し辛抱しましょう(笑)。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA