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異議申し立て会見

西東京市長選挙の無効を求める異議申し立て 「選挙の公明と適正を妨害」

投稿者: カテゴリー: 選挙 オン 2021年2月24日

 2月7日に行われた西東京市長選挙に関して、選挙無効の異議申し立てが2月22日、西東京市選挙管理委員会に提出、受理された。申し立てた選挙人は60人。そのうちの一人で申し立てを呼び掛けた山口あずささんらが23日の会見でその理由や内容を明らかにした。(写真は、記者会見で話す山口さん。左から2人目)

 

 申し立てによると、当選した池澤隆史市長陣営が選挙期間の終盤に配布した法定ビラが、僅差で次点となった平井竜一候補を「公然と侮辱」し「事実を歪めて公にし」「名誉を毀損し」て選挙の「公明と適正」を妨害した、としている。

 

 公職選挙法によると、選挙期間中の政治団体の活動は原則として禁止されている。しかし手続きを経て選管から確認書が交付されるいわゆる「確認団体」になると、選挙で演説会の開催や拡声器の使用、ポスターの掲示などのほか、2種類以内のビラを選挙管理委員会に届けた上で頒布できることになっている。今回問題とされたのは、当選した池澤候補の確認団体「明日の西東京を創る会」(指田純会長)が選管に届け出た2枚のビラのうちの1枚だった。

 

法定ビラ2号表

池沢陣営が選挙戦終盤に配布したビラ(表)

 そのビラの表面はダークブルーの地に白抜きで「逗子での失敗のリベンジは逗子でやってください。ここは西東京です。」と大書されていた。裏面は「西東京市のまちづくりは、西東京市民の手で! 共産・左翼に市政を渡すな!!」と太字で強調された。山口さんは「選挙で次点となった前逗子市長の平井竜一候補に対し、『事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する』とした刑法231条に当たる」と説明した。

 

 裏面のほとんどは新聞記事や逗子市のホームページからの抜粋が、ピン止めスタイルで掲載されている。しかし山口さんは「記事などの一部を意図的に抜き出し、事実を歪めて公にした」と指摘した。

 

法定ビラ2号裏

新聞記事を抜粋、引証した裏面。最後に反共・反左翼スローガンが見える(クリックで拡大)

 具体例として、神奈川新聞の2018年9月4日付けの記事を取り上げた。ビラには(逗子)市議会全員協議会で示された2019年度方針を取り上げた記事の一部が抜粋され、「子育て支援や教育関連などを含む113事業は18年度に引き続き、縮小。児童の登下校の安全を見守る交通整理員の配置など、昨年10月に決めた18事業は廃止する」と赤字入りで掲載した。しかし山口さんはこの抜粋の後に、記事ではこう続いていると紹介した。「一方で、重度の心身障害児や障害児、ひとり親家庭に対する手当は減額を見送るとした」。

 

 こうした事例を取り上げ、ビラは「事実を歪めている」と判断。山口さんは「当選を得させない目的を持って公職の候補者(中略)に関し虚偽の事項を公にし、または事実を歪めて公にした者は四年以下の懲役若しくは禁固または百万円以下の罰金に処する(公職選挙法第235条 虚偽事項の公表罪)」に当たるのではないかと話した。

 

 しかも「このビラは、(平井候補の)『失敗』を印象づけるために記事の一部を並べて意図的に引用している。これは『編集著作物』です」と指摘。「編集物で、素材の選択又は配列によって創作性を有するものは、著作物として保護する」(著作権法12条1項)との規定に触れながら、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀(き)損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する」(刑法第230条)名誉毀損になると説明した。

 

 山口さんはさらにこのビラが「選挙期間終盤に組織的に、市内のほぼ全戸に配布されたと考えられ、影響は計り知れない」と述べ、「選挙の結果に異動を及ぼす虞(おそれ)」があると強調。公職選挙法第1条の「日本国憲法の精神に則り、(中略)その選挙が選挙人の自由に表明せる意思によつて公明且つ適正に行われることを確保し、もつて民主政治の健全な発達を期する」という法の精神に真っ向から反する」と訴えた。

 

平井陣営のビラ(表)

平井陣営の法定ビラ(表)(クリックで拡大)

 西東京市長選挙は2月7日に投開票した結果、前副市長の池澤候補(無所属、自民・公明推薦)が3万4299票を獲得して初当選した。次点の平井氏(無所属、立憲・共産・生活者ネット推薦)は3万2785票で1514票、約2%の僅差だった。大手スーパー勤務の保谷美智夫氏は3256票だった。

 

 平井候補の確認団体「西東京市のみらいをひらいていく会」代表でもある音楽家の藤井一男さんはオンラインで会見に参加し「このビラは市民の分断を煽ることになったのは間違いない。二度とあってはならない」と警鐘を鳴らした。雅楽で使われる楽器「笙」(しょう)を制作する傍ら、西東京市の非核・平和運動を進めてきた鈴木治夫さんもオンライン参加し、「市民を分断するようなことが市長選挙であってはならない。今後起こさせてはいけない。そのやり方をみんなで考えよう」と呼び掛けた。

 

平井陣営のビラ(裏)

平井陣営の法定ビラ(裏)(クリックで拡大)

 鈴木さんはさらに言葉を継ぎ、池澤氏の確認団体の指田純代表の祖父は、初代田無市長の指田吾一氏だったと明かした。指田氏は軍医として広島で被爆、現地で治療活動を続けた体験を「原爆の記」にまとめた。著書は絶版になり、鈴木さんらが呼び掛け人になって市民に働きかけ、2007年に38年ぶりに復刊した。鈴木さんは「指田吾一さんの精神を引き継いで、西東京が平和で安全・安心で豊かなまちになってほしい」と話した。

 

 平井さんを説得して逗子から引っ張り出した議員の一人、森輝雄さんは「昨年2月の京都市長選、4月の目黒区長選で、似たような反共宣伝が行われた。西東京市長選は直近では3例目です。これを前例にして成功し味を占めたら、全国に波及します。どこかで歯止めをかけたいと思っていた。今回のビラは集団を特定して差別の対象にする明らかなヘイト。許してはいけない」と述べた。

 

 山口さんは記者らの問いかけを受けて、「フェアプレーで戦って破れたのではなくて、石をぶつけるようなことをされた選挙戦だった。平井さんに失礼だし、逗子市、逗子市民にもこんなに失礼なことはない。ごめんなさいと言いたい気持ちになる。恥ずかしい」と胸の内を明かした。
(北嶋孝)

 

【関連情報】
・池沢たかし公式サイト(HP
・平井竜一公式サイト(HP
・西東京市長選挙候補者別得票数(西東京市Web

 

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