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市長選挙無効の異議申し立て、棄却 西東京市選挙管理委員会が決定

投稿者: カテゴリー: 選挙 オン 2021年4月1日

 西東京市選挙管理委員会は3月30日、2月7日に行われた市長選挙の無効を求める異議申し立てを審理した結果、「選挙地域内の選挙人全般がその自由な判断による投票を妨げられるような特段の事態が生じたとは認められない」なとどして申し立てを棄却した。申出人総代の山口あずささんは、「(確認団体の)法定ビラが事実を歪めている点を判断していない。ほかの申出人の方々と話し合って今後の対応を決めたいが、決定内容はまったく納得できない」と話している。(写真は、選挙管理委員会の決定書)

 

選挙管理委員会は規定に違反したか

 

 選管の決定理由によると、選挙無効を規定する公職選挙法第205条第1項は「選挙の規定に違反する」場合、かつ「選挙の結果に異動を及ぼす虞(おそれ)がある場合」に、選挙の無効を決定しなければならないとしている。

 

 さらに「選挙の規定に違反する」とは、選管など「選挙管理の任にある機関」が「選挙の管理執行の手続きに関する明文の規定違反する」か、違反しないとしても「選挙の管理執行の手続き上、選挙法の基本理念たる選挙の自由公正が著しく阻害される」ことを指す、としている。

 

市長選挙の投票日を知らせる横断幕(谷戸小学校前)

 

 そのうえで、最高裁の1952年12月4日第一小法廷判決など三つの最高裁判例を参照しながら、「選挙人、候補者、選挙運動員等の選挙の取り締まりないし罰則規定違反」は、「選挙の規定違反」には該当しないと解されるとし、ただ例外的にその違反行為によって「選挙地域内の選挙人全般がその自由な判断による投票を妨げられるような特段の事態が生じた場合」は選挙無効としなければならないことも考えられないではない、とする。

 

 ところが確認団体のビラは、「形式的要件を満たしている以上適法であり、このほかに当(選挙管理)委員会の選挙の管理執行について明文の規定に違反した事実または選挙法の基本理念である選挙の自由公正の原則を著しく阻害した事実は認められない」とする。

 

 そのうえ「申出人らの提出した証拠によると、市内の新聞販売店で折り込まれた本件ビラは合計2万8900枚」なので「ほぼ全戸に配布されたと認めるべき根拠となる事実は認められない」「本件ビラのみによって投票行動を決定するとは必ずしも考えられない」と指摘。「よって、本件選挙において、違反行為により、選挙地域の選挙人全般がその自由な判断による投票を妨げられるような特段の事態が生じたとは認められず、他にこのような事態が生じたと認定するに足りる事実は認められない」として、「(公職選挙)法第205条第1項(選挙の無効の決定)の要件を満たさないことは明らか」と結論している。

 

ビラの内容が事実を歪めたか

 

 選挙管理委員会の決定書を受け取った山口さんは「選挙管理委員会の手続きが違反だとか言っているわけではなく、ビラの内容が候補者を当選させないために事実を歪めていることを明らかにして異議を申し立てたのです。決定がこの点の判断を避けたのは残念だし、納得できません。申立人の方々と今後の対応を検討します」と話している。

 

山口あずささん

意見陳述後の記者会見で語る山口あずささん

 

 山口さんは3月26日、異議申し立ての意見陳述で、「法定ビラは届け出制なので、政治団体の名称、選挙の種類、候補者名が記載されていないなど公職選挙法の規定に沿ったビラと確認できれば受理することになるけれども、怪文書まがいの法定ビラの内容は事後的には検証できる」と主張した。

 

 その根拠として公職選挙法第235条(虚偽事実の公表罪)第2項「当選を得させない目的をもつて公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者に関し虚偽の事項を公にし、又は事実をゆがめて公にした者は、四年以下の懲役若しくは禁錮(こ)又は百万円以下の罰金に処する」をあげてビラの中身を逐一批判。「今、ここで何も言わないで済ませてしまえば、西東京に住む一人の市民として恥ずかしいという気持ちです」と選挙の無効を訴えた。

 

 山口さんは申し立ての棄却を受けて、個人の考えだと前置きしながら「東京都選挙管理委員会に異議を申し立て、東京高裁に訴えることもみなで話し合いますが、ビラの内容は虚偽事実の公表に当たるので告発も検討したい」と話した。

 

どんなビラだったのか

 

法定ビラ2号表

池澤陣営が選挙戦終盤に配布したビラ(表)

 西東京市長選挙は2月7日に投開票の結果、前副市長の池澤隆史氏(自民・公明推薦)が3万4299票を獲得し、3万2785票の前逗子市長、平井竜一氏(立憲・共産・生活者ネット推薦)との接戦を制して初当選した。票差は1514票だった。

 

 池澤候補の支援団体「明日の西東京を創る会」(指田純会長)が発行元となった法定ビラ2号は、2月4日に市選管に届出。以後、新聞折り込み、業者によるポステイング、議員や支持者らによる配布などの手段で、市内全域で集中的に撒かれた。

 

法定ビラ2号裏

新聞記事を抜粋、引用した裏面。最後に反共・反左翼スローガンが見える(クリックで拡大)

 それまでグリーンが主色だった池澤陣営のビラと違って、このビラだけは平井陣営が使っていたブルーに変更。表には「逗子での失敗のリベンジは逗子でやってください。ここは西東京市です。」と白抜きで大書し、前逗子市長の平井氏を事実上標的にした。裏面は平井氏が逗子市長在任中の財政問題を取り上げた新聞記事などの抜粋7件を、ピン止めスタイルで掲載。末尾には「西東京市のまちづくりは、西東京市民の手で! 共産・左翼に市政を渡すな!!」と太字で強調していた。

 

 「フェアプレーで戦って破れたのではなくて、石をぶつけるようなことをされた」と感じた山口さんはじめ、市内の60人が2月22日に選挙無効を求めて異議申し立てを提出した。受理したあとに選挙管理委員が改選され、3月9日から任期4年であらたに4人が委員になった。

 

 選挙管理委員会によると、この件は9日から3回の委員会で審理した。鈴木久幸委員長は利害関係者とみられる恐れがあるとして審理から外れ、決定書には佐々木順一委員長職務代理者と中江滋秀委員、二木孝之委員の3人の名が載っている。
(北嶋孝)

 

【関連情報】
・決定書(西東京市選挙管理委員会)(PDF 1.8MB)(最初のページは含まれていない)
・意見陳述書(PDF 151KB

 

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市長選挙無効の異議申し立て、棄却 西東京市選挙管理委員会が決定」への1件のフィードバック

  1. こめやてるみ
    1

    投票日直前に投函されたこのビラを読んで、与党自民はお金を使って姑息なことをするのだなと幻滅。勝つ自信があるなら堂々と闘えばいいのに。投票結果を知って更に失望しました。

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