キャッシュレス促進、プレミアム券販売など7月以降実施 西東京市議会で一般会計補正予算案など可決 若者支援の修正動議を否決、付帯決議を可決

投稿者: カテゴリー: 市政・選挙新型コロナウイルス オン 2021年3月21日

 新型コロナウイルス感染症のワクチン接種事業や市内消費喚起事業など総額4億6280万円を追加する一般会計補正予算案(第12号)が3月17日、西東京市議会第1回定例会の本会議で賛成多数で可決、成立した。先立って開かれた予算特別委員会でコロナ禍で困窮する若者支援に的を絞った修正動議が納田里織(さおり)氏(無所属)らから提案されたが、否決。本会議で自民、公明両会派の議員から提出された若者への行政サービスを検討するよう求める付帯決議が賛成多数で可決された。補正予算案をめぐる論戦で、優先すべき施策の違いが浮き彫りになった。

 

 2020年度一般会計補正予算案(第12号)は、キャッシュレス決済の利用者にポイント還元する事業やプレミアム付きのチケットを販売する事業費などコロナ対策を主に4億6280万円を追加し、今年度の一般会計予算は総額1050億3500万円に上った。

 2月の市長選から間もないため、池澤隆史市長は自らのビジョンを盛り込んだ通年度の予算編成は困難と判断。来年度は4月~6月の3ヵ月間の暫定予算でスタートし、本予算は6月予定の第2回定例会に先送りされた。このため緊急公約となっていた新型コロナウイルス対策が今年度の補正予算に盛り込まれ、夏から年末にかけて実施予定という変則的な形になった。

 

 キャッシュレスキャンペーン事業

 各会派の代表質問や予算特別委員会の審議でコロナ関連3事業の内容が明らかになった。

 キャッシュレスキャンペーン事業は、キャッシュレス決済を利用する消費者に25%のポイントを還元する。事業費は8980万円を予定した。

 質疑の中で、対象者について「市内約5000事業者のうち、現在キャッシュレス対応可能なのは約1000事業者と見込み、このキャンペーンで約300事業者の増加を期待している」(産業振興課)とのことだった。

 

 消費喚起事業

 市内の消費喚起事業は9月~12月に予定。チケットは1セット5000円。プレミアム率は40%で、1セット7000円分になる。チケットは2種類あり、食事券は3万5000セット、買い物券は4万セットを用意する。プレミアム経費は1億5000万円、発行総額は5億2500万円。事業費は2億992万1000円だった。地元商店のほか、大手チェーン店でも使える。

 昨年末から年始にかけて実施されたプレミアム券による前回の消費喚起事業は、食事できる店が指定されたクラウドファンディング方式が2000セット、直接販売が3000セットだった。今回はセット数で15倍、事業費は前回が2550万円なので8.2倍に上った。

 

 エッセンシャルワーカー応援事業

 コロナ対策の最前線で活躍する「エッセンシャルワーカー」応援事業は、プレミアム付きチケットの食事券(3500円)と買い物券(3500円)を合わせた1セット7000円分を8月以降、医療施設や福祉施設、子育て関連施設、清掃事業などに従事するエッセンシャルワーカーに無料配布する。チケット利用期間は9月~12月の予定。発行総額は9800万円、対策事業費は1億889万9000円だった。

 池澤市長は「コロナ対策で日ごろ献身的に取り組んでいる方々に感謝と応援の気持ちを示したい」と述べ、「対象は常用雇用者とし、正社員、パート、アルバイト、契約社員も含む」と説明した。しかし「訪問介護など対象者は関係各課と調整して最終的に決めたい」(産業振興課)と含みを残していた。

 3事業とも西東京商工会に委託する。キャッシュレスキャンペーン事業は7月~8月に実施。市内の消費喚起事業は9月~12月に予定。エッセンシャルワーカーには8月以降に7000円分のチケットを無料配布し、利用期間は消費喚起事業と同じく9月~12月を予定している。

 

 修正動議の提案

 市内経済の回復は池澤市長の主要な選挙公約なだけに3事業は「スピーディーな対応」(池澤市長)ではあるけれども、質疑の中で「エッセンシャルワーカーの対象が定まらないなど拙速」「コロナ感染の先行きがまだ見えないこの時期に大規模な消費喚起事業をするべきか疑問が残る」「買い物券は大手チェーン店でも使えるので地元商店の活性化につながらないのではないか」などの懸念や疑問も出された。

 予算特別委員会で出された修正動議は、こういう底流を踏まえつつ、コロナ禍で困窮する若者支援に的を絞った。エッセンシャルワーカーだけでなく、若者にも7000円分のチケットを無料配布する内容。16歳~23歳未満の外国人を含む市内の若者約1万4000人のほか、コロナ禍で生活相談の多い23歳~30歳未満の児童養護施設の退所者100人が対象になる。必要経費約1億円は、消費喚起事業のプレミアムチケットを7万5000セットから2万5000セットに減らして対応した。

 提案理由の中で「若者の生活困窮が深刻な社会問題となっている」「コロナ禍で(学生の)アルバイト収入が激減した」などを指摘。さらに「(市の)住宅確保給付金事業の相談の窓口の3割が20代」なのに、西東京市の「新型コロナウイルス感染症対策関連事業に若者支援のメニューは皆無に等しい」と述べ、市施策の「空白」を埋める内容を目指した。

 

 付帯決議へ

 修正動議は提案者の納田氏のほか、先の市長選で行動を共にした会派議員らが賛同者になった。自民、公明両会派が反対し、予算委で賛成少数で否決されたものの、本会議で自公の「若者支援の付帯決議」を引き出すことにつながった。決議は「コロナ禍における市民の生活状況を鑑み、若者に対する行政サービスにおける支援を検討することを求める」となっていて、賛成多数で可決された。

 このほか駐車場事業特別会計、介護保険特別会計、後期高齢者医療特別会計の補正予算案3本は全会一致で可決した。
(北嶋孝)

 

【関連情報】
・付議案件・結果(令和3年第1回定例会)(西東京市Web
・議案第3号 令和2年度西東京市一般会計補正予算(第12号)に関する附帯決議(西東京市Web、PDF:74KB

 

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