西東京市写真発掘隊

市民の写真で地域史を再発見 西東京市写真発掘隊がネットで収集、展示 「自分史を西東京史に」

投稿者: カテゴリー: 文化・娯楽メディア・報道 オン 2022年10月27日

 住民が撮った昔の写真をネットに持ち寄り、様変わりしてきた地域の風景を展示、未来につなげようという市民活動が広がっている。この試みは、市民2人が企画した「西東京市写真発掘隊」。今年6月から活動が始まり、「昭和」時代を中心に約120枚の写真が集まった。高度成長期の開発で消えた商店街、建て替えられた学校や駅舎のほか、笑顔がそろう家族写真なども寄せられた。「自分史を西東京史に」。こんな言葉を掲げ、「古い写真を捨てないで」とネット投稿を呼び掛けている。(写真は左が濱口太さん、右が滝島俊さん)

 

 活動の切っ掛けは、ごみ集積所に捨てられた一冊のアルバムだった。中から古い写真が見える。通りかかった写真家の濱口太さん(東町在住)には忘れられない光景だった。「貴重な写真が消えてしまう。何とかしなければ」。地元の歴史に詳しい滝島すぐるさん(保谷町)に相談した。間もなく2人の手で、SNSのフェイスブック(facebook)上で「写真発掘隊」が起ち上がった。

 

保谷武蔵野

豪華な料理と庭園で知られた中華レストラン「保谷武蔵野」。いまはマンションになった

西友ひばりヶ丘店

西友ひばりヶ丘店の屋上にあったビアガーデン

 

 個人の写真は著作権の問題もあって、収集、展示するのはかなり大変。しかし「公にすることを前提に、当事者に写真を投稿してもらうことで、埋もれた写真をみんなで共有したい、子どもたちにも若い人たちにも見てほしいと考えました」と滝島さんは言う。

 滝島さんは精密機械メーカーでカメラやデジタル機器の開発に携わった技術者。江戸時代前から地元に暮らす一族に生まれ、いまは郷土史の研究会メンバーでもある。濱口さんは滝島さんを、古い写真も新しい映像も、冷静的確に読み解く「物知り教授」と言う。
 「助手」と謙遜する濱口さんは「西東京百姿フォトコンテスト」(西東京市文化芸術振興会主催)を企画したフォトグラファー。市内の自然や人、モノや風景などの写真を市民から募り、入選した100枚は写真集として3年前から毎年刊行されている。市井の写真が蓄積される10年計画の映像アーカイブの試みだ。

 

「記憶の風景」展

「記憶の風景」展が開かれた(ひばりが丘団地の地域センター「ひばりテラス118」)

展示写真

訪れた人と写真を前に話が弾む

 

 市内のひばりが丘団地で10月22日と23日に開かれたイベント「にわジャム」の室内会場で、2人はフォトギャラリー「記憶の風景 西東京デジタルアーカイブ」を開いた。これまで集まった写真12枚をパネル展示したほか、約40枚のスライドを繰り返し投影した。

 昭和30年代、田無小学校の子どもたちには笑顔があふれている。旧中原小学校の運動会風景や旧ひばりが丘中学校の校庭で女子生徒がバスケットボールをする姿もある。

 現在の上皇ご夫妻が若いころ、誕生間もないひばりが丘団地を訪れたモノクロ写真も展示された。
 そのほか昭和40年代の西友ひばりヶ丘店屋上のビアガーデンや保谷駅南口にバスが乗り入れる写真など、記憶を掘り起こす映像が並ぶ。見た人たちからは「懐かしい!」「昔はこうだったのか」などの声も上がっていた。

 

皇太子皇太子妃

若き日の上皇ご夫妻

1960年(昭和35年)ひばりが丘団地を視察した若き日の上皇ご夫妻(「記憶の風景」展)

 

 2人で始めた写真発掘隊の会員は、10月20日過ぎに400人を超えた。投稿写真も増え、フェイスブックに懐かしい写真も次々にアップされている。市内の産婦人科病院前で「母と私」の写真を投稿した人が「といっても、わたしはお腹の中。2日後に出てきます」と誕生日とともにユーモラスなコメントを添えた。見た人がすぐ「わたしはちょうどその2日後にその産院で生まれた」とびっくりしてコメントを付ける。写真を挟んで、懐かしい記憶と当時の暮らしが、あふれる言葉になって行き交っている。

 「カメラが普及したのは昭和の高度成長期からでしょうか。一家に一台。子どもたちの成長、家族史を写しました。その当時の暮らしの記録を、いまの子どもたちが見る、知ることで、未来につながってほしい」「昔の写真を捨てないでください。汚れていても、デジタル化したらきれいになりますよ。もっと写真が集まったら、大がかりな展示もできます。遠慮しないで声を掛けてください」。2人は代わる代わる言葉をつなぎ、映像による記憶のアーカイブを、未来の子どもたちにも残したいと語っていた。
(北嶋孝)

 

【関連情報】
・西東京市写真発掘隊(facebook
・『西東京百姿』フォトコンテスト(西東京市文化芸術振興会

 

北嶋孝
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