下野谷遺跡で「火おこし」体験 「縄文の森の秋まつり」

投稿者: カテゴリー: 暮らし文化 オン 2015年10月12日

 西東京市東伏見にある下野谷(したのや)遺跡の跡地で[2015年]10月11日(日)、恒例の「縄文の森の秋まつり」が開かれた。今年は同遺跡が国の史跡指定を受けたこともあって、たくさんの市民、親子連れが訪れた。参加した人たちは、「火おこし」や「勾玉(まがたま)づくり」など、古代縄文人の生活を体験し、楽しい一日を過ごした。

 

出土した縄文土器を展示

出土した縄文土器を展示

 

 下野谷遺跡は、今から4000~5000年前の縄文中期の環状集落遺跡。武蔵野台地の一角の石神井川の隣接地域にあり、1975年ごろまでに調査発掘を終え、現在は遺跡部分を地下に埋蔵して、跡地を公園として活用している。

 会場には、出土した縄文土器や石器などが展示され、専門家が遺跡の概要などを解説。遺跡保護に協力する地域のさまざまな団体が、古代人の生活に即した実体験コーナーを開設。木と木によるキリモミ式の「火おこし」や、装飾品の「勾玉」づくり、古代の食料、「木の実」の食体験など、さまざまなイベントが行われた。この日は、朝から雨模様で、「火おこし」体験は、湿った空気が災いしてか、火がつくまで苦労していた。

 

まつりで紹介された「縄文体操」

まつりで紹介された「縄文体操」

縄文時代の衣服を着てみよう

縄文時代の衣服を着てみよう(写真はいずれも筆者提供)

 

 来場者は、小さな子ども連れの親子が多く、500人以上が来場した。子どもにも遺跡の意義を知ってもらおうと、「縄文物語」のアニメを上映。市内の有志が創作した「縄文体操」も紹介された。まつりに参加したある親子は「こんな住宅地の真ん中に縄文遺跡があるなんて、まったく知らなかった」(親)、「昔の人の生活がよく分かって楽しかった」(子)と語る。

 市は、地域の貴重な文化財として、同遺跡のPRにつとめ、「縄文まつり」は、多くの市民にもっと知ってもらおうと、毎年秋、市が開催。今年で9回目となる。今年3月、同遺跡の西集落部分が国史跡に指定され、今後は、遺跡全体の保全や施設整備をどう進めるかが課題となるが、市では「遺跡のPRとともに、どう見せるかに関連する施設の整備をどうするかが大きな課題」としている。
(萩原慎一郎)(写真は筆者提供)

【筆者略歴】
萩原慎一郎(はぎわら・しんいちろう)
 1947年、神戸市生まれ。京都大学経済学部卒。時事通信社の経済4部長などを歴任。現在、都内の日本語学校で外国人向け日本語教育に携わる。西東京市下保谷在住。

 

【関連情報】
・祝!国史跡指定 下野谷遺跡「第9回 縄文の森の秋まつり」開催!(西東京市Web
・下野谷遺跡(西東京市Web

 

 

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