西東京市立向台小の6年生が「議会体験」 わがまちの魅力を議場で発信
西東京市議会の本会議場に市内の小学6年生が座っている。先生たちが議員と市長役を分担して一般質問と答弁を繰り広げる。耳を傾けた後は自分たちが演壇に立ち、市の魅力や好きなところを発信する。社会科授業の一環で実施された「議会体験」。議場は元気な子どもたちの声でいっぱいになった。
議場に集まったのは、西東京市立向台小学校の6年生約180人。6月末から7月7日まで3回に分けて議会を訪れた。記者が傍聴したのは7月4日。この日は6年5組の35人が、議員席や市の幹部職員の席に陣取った。
本会議場の議長席には酒井豪一郎議長が就き、隣りに栗田和也議会事務局長がいる。いつも通りだった。酒井議長が今回は「向台小学校市議会第1回定例会」の開会を宣言して、一般質問が始まった。
壇上に向かったのは5組担任の加藤尚宏先生。向台小は53年前の1970年に造られたと述べた上で、「市内に古い学校が多い。いつ建て替えられるのか」などと尋ねた。市長役で答弁したのは、橫瀨敬子副校長。古い校舎の解体に約2億円、新校舎建設に44億円がかかるため、建て替え費用は1校当たり約46億円が必要と前置き。「校舎は最低でも50年間使うため、将来の子ども数を予測したり、地域の公共施設に不足はないかなどを考えながら建て替え計画を立てています」と答えた。子どもたちはメモをとるなど熱心に聞いていた。
次の日程「西東京市への提言」に移ると、子どもたちの発言が相次いだ。堀ノ内小百合さんがまず指名された。「西東京市で好きなのは緑が多いこと」と切り出し、「自然に外で遊びたくなる」「涼しく散歩できる」などと住みやすい環境をアピールした。「西東京限定の(地元情報が掲載された)雑誌がおもしろい」「名物のかりんとうが好き」という友人たちの声も紹介した。
その後に登壇した子どもは「住みやすいまちにするためにどんな取り組みをしているのか」と質問。別の1人が「ボール遊びの出来る公園を増やしてほしい」と要望すると、議場から拍手が起きた。「寿司店を増やしてほしい」と話したり、野球のバッティングやピッチングのフォームを壇上で披露したりする子もいる。こんなときは場内からクスクスやガヤガヤのざわめきが洩れ、ガンバレ! などの声援も飛んでいた。
議事が一段落した後、栗田事務局長が議会の仕組みや役割を話した。議員定数、選挙に立候補できる年齢、現職議員の最低、最高年齢や男女比などをクイズ形式で問い掛けながら解説。ボール遊びの出来る公園の件では「三菱グループの公園(MUFG PARK)が新しく出来たので、そのうち野球大会が出来るかもしれない」と述べると、「やったぁ」の声が上がった。「住みやすいまち」に関しては「市民にさまざまな考え方があり、市はその声を聞き優先順位を考えながら計画を立て、議員のみなさんがここで議論するんですよ」と話した。教室で学んだ知識が、実地演習で身につく社会科授業の一コマだった。
木村俊二教育長も姿を見せた。「今日の体験を家庭で伝えてください」とニッコリ。この日の議会を仕切った酒井議長も「いやあ、みんな元気があるね」と笑顔だった。
学校で「住みやすいまち」をテーマにした宿題が出た。返ってきた内容はさまざま。「田舎でない、新宿(のような都会)でもない。その間にある西東京市が、だから住みやすい」と郊外の利点を指摘した回答があり、「スーパーマーケットが増えると買い物が便利になり住みやすくなる」との期待や「平和だから好き」という書き込みもあった。「図書館が多く、道路は広く、集配サービスが充実したまち」「安全、安心で楽しいまち」などの要望も盛り込まれ、議会体験を切っ掛けに、わがまちの多彩なイメージが期待を込めてあらためて描かれていた。
(北嶋孝)
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