教員のたばこで床焦げる 保谷中の火災で教育長が陳謝

投稿者: カテゴリー: 市政・選挙子育て・教育 オン 2016年6月4日
答弁する前田哲教育長

陳謝する前田哲教育長(西東京市議会本会議)

 西東京市議会第2回定例会が6月3日(金)から開かれた。この日の本会議で、教員の喫煙によって保谷中学校(大橋亮介校長)で起きた「ぼや火災」に関して、前田哲教育長が経過と対応を報告。「市民や議会に多大なご心配をかけた」などと陳謝した。

 報告によると、火災が起きたのは1ヵ月あまり前の4月26日。男性の非常勤教員が午前8時35分ごろ、「5階の教員休憩室」で喫煙、吸い殻をごみ用のビニール袋に捨てた。しかし「十分に火が消えていなかったため」2時間近く経った10時20分ごろ火災報知器が鳴り、教職員が現場に駆けつけて消火した。床にタテヨコ20センチ×50センチの焦げ跡が残ったが、建物への延焼はなかった。
 当時、校長は校外の会議で不在。対応した副校長は火災発生後、警察の119番通報も消防署への連絡もしなかった。生徒の避難誘導もしていない。

 連絡を受けた市教育委員会は対応を協議。同日午後4時15分に西東京消防署に報告。間もなく現場検証が実施された。翌27日朝、校内放送を通じて校長が火災の件を生徒に説明して謝罪。28日夜に臨時保護者会を開き、状況を伝えた。

 報告はさらに学校側の初期対応に触れ、警察と消防署に通報しなかったうえ、隣接する本町小学校に来ていた消防署職員が火災警報を聞きつけて来校したのに、「消火処理が終わっていたため、生徒が落ち着いて授業を続けられなくなることなどを懸念して、異常がないと報告した」などと説明。前田教育長は「対応した副校長が動転して判断ミスをした」と述べた。

 

保谷中

伏見通り沿いにある保谷中学校(西東京市保谷町1-17-4)

 

 2004年以降、市内の公立小中学校は「建物内禁煙」となり、「喫煙は建物の外に設けた指定喫煙場所」に限っていたのに、同中では「その時まで慣習として(校舎内の)休憩室が喫煙場所になっていた」などと指摘。歴代管理職によって「建物内禁煙」が周知徹底していなかったことも明らかにした。

 前田教育長は報告の冒頭で「教員のたばこの火の不始末を原因とする保谷中学校のぼや火災の件で、市民のみなさま、議会のみなさまに多大なご心配をかけたことを心からお詫びします。生徒や教職員の生命に危険を及ぼす恐れのある重大な事故だった」と陳謝。議会に対してはさらに「詳細な報告が遅れ、説明が不十分だった」などと頭を下げた。

 市教委によると、火災の翌日、議会事務局を通じて事実経過などの「一報」を全議員にメールで報告したが、その後の詳報が遅れたという。

 報告によると、4月26日現在、市内の公立小学校18校、中学校9校のうち、ベランダや屋上などで喫煙を許可していた小学校が4校、中学校が7校あった。ほかの小中学校は校内全面禁煙だった。事態を踏まえて市教委は直ちに市内の公立小中学校の全校で敷地内の全面禁煙を実施し、防火管理に危機意識を持って取り組むよう各校長に通知した。
 ぼやの件に関して火災の概要や関係者の関わりなどを東京都人事委員会に報告した。

 議員からは厳しい質問や指摘が相次いだ。「ぼやと言っても、一歩間違えると重大事故になりかねなかった。議会に報告が遅れたのはなぜか。119番通報や生徒の避難誘導はしたのか」「学校の隠蔽体質を懸念している。学校側による報告が事実かどうか調べてほしい」「授業より生命が大事。これでは、子どもを安心して学校に預けられないではないか」「部屋の中で喫煙していた保谷中は、明らかにルール違反」などの声が続いた。

 「重大な事故」との認識を共有しながら、少し違った視点からの発言もあった。納田さおり議員(無所属)は「私はたばこを吸わないけれど」と断った上で、「たった1件のぼやで、市内の小中学校すべてに全面禁煙を押しつけるのは果たして妥当か。学校の管理体制を強め、職場の労働環境に影響を及ぼすことになるのではないか。それよりも禁煙教育や安全管理の徹底が重要ではないか」と問題提起した。

 西東京市教育委員会と保谷中学校のホームページには6月3日現在、火災の報告は見当たらない。
(北嶋孝)

【関連リンク】
・西東京市教育委員会(西東京市Web
・西東京市立保谷中学校(HP

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