避難施設変更の理由などで中断 避難勧告めぐり市議会建設環境委員会
西東京市議会第3回定例会の建設環境委員会(保谷清子委員長)が9月12日(月)に開かれ、台風9号の豪雨で土砂災害の危険が生じ避難勧告が発令された一連の事態について、所管の危機管理室から報告を受けた。質疑の中で、避難先が地域防災計画で指定された場所ではなく、指定外の市民交流施設になった理由や手続きなどをめぐってしばしば答弁が中断。会期中にあらためて委員会を開いて詳しい再説明を聞くことになった。
台風9号が接近した8月22日(月)午後零時20分、西東京市に土砂災害警戒情報が発表された。大雨・洪水警報も未明に出ていたため、西東京市は、石神井川沿いの市内東伏見3丁目のマンションに住む4世帯5人に避難勧告を発令した。一帯が急傾斜崩落危険箇所に指定されていたための措置だった。
西東京市地域防災計画によると、市内32か所の避難施設のうち、東伏見地区は東伏見小学校(東伏見6丁目)が指定されている。しかし住民の搬送先は、防災計画にない市民交流施設、東伏見コミュニティセンター(東伏見5丁目)だった。
稲垣裕二氏(自民党)はこの点を取り上げ、「避難先変更の理由や、どこでどう決まったのか手続きを教えてほしい」と尋ねた。危機管理室は「東伏見小学校は浸水の恐れがある場合は(避難先に)指定しないことになっている。万全を期して東伏見コミュニティセンターにした」などと説明した。しかし同小付近の浸水危険情報はなく、災害対策本部で行き先変更を決めたかどうかについても「本部の会議は開かれなかった」と述べるにとどまり、詳細は明らかにならなかった。
災害対策本部は同日午後零時30分、避難勧告発令後間もなく設置された。本部長の丸山浩一市長は防災センターで状況報告を受けたが、本部廃止の午後7時20分まで常駐していなかったことも明らかになった。納田さおり氏(無所属)は「防災対策の最高責任者が(途中で)災害対策本部から引き揚げてしまうのは問題」と発言。これに対し危機管理室側は「市長には午後6時過ぎに(雨が小降りになったなどの)状況を説明し、その後も連絡の取れる状態にあった」と述べた。
度重なる中断で議事進行が遅れ、定例会期中に継続審議する方向で委員の話し合いがまとまった後、危機管理室側が「災害対策本部の廃止前に『市長は庁舎にいなかった』と述べたのは間違いだった。発言を訂正したい」と申し出たが、正式の発言訂正は、避難先変更の理由や手続きなどの詳しい説明とともに、再開予定の委員会に持ち越されることになった。
(北嶋孝)
【関連リンク】
・西東京市地域防災計画(西東京Web)