自由学園の「パンde わかめ」が「食の学園祭」で好評 石巻市の漁師らとの交流から考案

投稿者: カテゴリー: 暮らし文化・娯楽 オン 2016年12月28日

「大学は美味しい!!」のチラシ(クリックで拡大)

 東京都江東区有明3丁目の東京ビッグサイト(東京国際展示場)で12月14日から16日までの3日間、農林省主催の「アグリビジネス創出フェア2016」が開かれた。このフェアの「大学は美味しい!!」コーナーに、「自由学園」(東久留米市学園町 1丁目)最高学部(大学部)の学生たちが初参加した。この企画は、“論文の代わりに、製品で「食」の研究成果を伝える”をテーマに、全国の大学の「食に関する研究成果」を一同に集め、「食の学園祭」とも呼ばれる。「食と農」を重視する学園の学生たちが、パン工房で焼き上げたパンや学園内でとれたゆずや赤しそのジュースを携えて参加した。中心になった学生4人が共同で、その体験を報告した。(編集部)

* * *

 「これは何が入っているの?」
 「わかめとパン?」
 「面白い組み合わせだねー」
 3日間で「パンde わかめ」(わかめパン)に対して一番多く耳にした感想である。

 私たちは生活経営研究実習の食グループに所属している。生活経営研究実習とは、最高学部の1、2年がいくつかのグループにわかれ、高等科までに学んできた知識を活かしつつ、さらに学びを深め、学園の自治の一翼を担う自由学園独特の講義の一つである。自由学園では創立者の「生徒に温かいお食事を食べさせたい」との願いのもと、今も料理や食器洗いを中学生、高校生自ら行っている。

 

好評だった「パン de わかめ」(自由学園提供)

 

 今回出展した「パンde わかめ」の誕生は、震災後から自由学園が支援を続けている宮城県石巻市十三浜のわかめを使った新しいメニューはないかと考え始めたのがきっかけである。最近よく目にするようになった塩パンとわかめの塩気が合うのではとの発想から、この組み合わせが実現した。

 しかし、完成した「パンde わかめ」にたどりつくまでには幾度も研究、試作を重ねた。考案当初は食感、見た目、風味を出すためにわかめと茎わかめ両方を混ぜ込んで作っていたが、わかめの方が生地に馴染まなかったため、茎わかめのみを使用することにした。茎わかめは千切りではなく角切りにすることによって存在感を出した。塩の加減も何度も調整を加えた。

 生地に入る塩の量もわかめの量に合わせて調節し、茎わかめも何分塩抜きしたものがちょうど良いかを私たちで研究した。結果、15分塩抜きした茎わかめを入れて販売することにした。

 

自由学園のブースは試食の人たちで賑わった(自由学園提供)

 

 試食していただいた際、「パンde わかめ」が出来るまでの試行錯誤を話した。震災後、現地に出かけて支援活動した学生が、わかめの種付け・引き上げ・めとり・加工・パック詰めまで、自身の経験をもとに詳しく説明することもできた。興味深く聞いていた方は、「支援になるから」といくつも買ってくださった。しかし一部、厳しいご指摘も頂戴したので、改善の余地はまだまだあると感じた。

 「パンde わかめ」の他にも、学校内で栽培・収穫されたゆずと赤しそを使い、私たちが作ったシロップを使ったホットドリンクと卒業生が営むジェラート店の「ダ・ルチアーノ」とのコラボとして、学生が考案したジェラード2種(バタービール味・オレンジピールヨーグルト味)を作っていただいて販売した。特に、保存料を一切使わずに素材の味をしっかり出したホットドリンクは好評だった。

 自分たちの生活や学校については自信をもって説明できたが、商品を買ってもらうまでもっていくのは難しかった。周りの大学を見渡すと、企業とコラボしている大学もあり、流暢なキャッチコピーを並べながら人を引きつけていた。

 「お腹が空いたらすき焼きまん!」
 「ババロアのような食感!モチモチ感がやみつき!」

 初出展でキャッチコピーを考えるなんてことまで思いつかなかった私たちは、ただただ圧倒されていた。しかし、皆のお腹が空くお昼時に、あるアイデアが提案された。

 「自由学園のパンと日本大学のスープをセットで売ってみたら」

 日本大学が販売したスープは、ベーコンや野菜がたっぷり入っていて、いつでも食べられるようにレトルトでも売られていた。自由学園の隣のブースが日本大学だったので、パンとスープの組み合わせはランチにぴったりだった。

 

日本大学とのコラボランチ(自由学園提供)

 

 さっそく、日本大学の方々と協力してコラボランチを販売した。組み合わせた結果、スープに興味をもってくださった方には自由学園のパンを紹介できた。パンに興味をもってくださった方には日本大学のスープも紹介できて、一石二鳥だった。事前の準備は完璧とは言えなかったが、販売しながらアイデアを出して改善し、実践した。

 今まで、他大学も集まる大きな催しに参加した経験がなかったので、販売よりもまず、自分たちの学校を知ってもらうことを第一の目的として活動した。自由学園をご存知ない方々に短い時間で学校のことを誤解なく理解していただくことは簡単なことではなかった。しかし、今まで学校紹介で使用していたパンフレットやパネルだけでなく、少しでも分かりやすく学園について知っていただこうと考えて、事前に私たちが制作したパンフレットは大いに役に立った。そのパンフレットは自由学園で行っている料理や食器洗いといった食に関することを、一日の流れに沿ってまとめたものである。

 

イベント前に緊張した面持ちの最高学部1年生。後列左から須山琴美さん、石塚隆雅さん、前列左から松本紗季さん、栗田萌々子さん(自由学園提供)

 

 この3日間、学外へ向けて初めての活動だったこともあって、今まで考えたことがなかった視点で学校の食について考えることができた。今まで当たり前のようにしてきたことが、説明する中で価値ある学びであることを発見できた。また、どのようにして自分たちが売り出すものをアピールするべきかも、実際に販売を経験しなければ学ぶことができなかったことである。

 また、今回のわかめのように、継続的な活動があったからこそパンと組み合わせることができたので、これからも十三浜で引き続き支援を続けると同時に、今後も外部の方との関わりも大切にしていきたいと改めて感じた。

 慣れない販売の中でも、自分たちの経験談を交えながら、パネルやパンフレットではなく、自分たちの言葉で話すことが一番伝わりやすいと感じた。経験を活かしてこれからも活動の幅を広げ、自由学園をもっと色々な方に知っていただきたいと思った。
(自由学園最高学部1年 栗田萌々子、松本紗季、石塚隆雅、須山琴美)

 

【関連リンク】
・自由学園 >>
・女子部高等科の十三浜での活動(自由学園
・アグリビジネス創出フェア2016 >>
・大学は美味しい!!(全国各地の大学発の研究成果を集めた食の学園祭)>>

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