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虚弱状態に気付いて自分から行動 東大の飯島教授がフレイル予防講演

By in 健康・医療, シニアライフ on 2017年1月22日

 

フレイルチェックシートの説明をする飯島教授(筆者提供)

 高齢者の虚弱状態(フレイル)を早期に発見して健康寿命を延ばそうと、西東京市は1月14日、フレイル予防講演会「元気に暮らせる時間をのばそう」を同市民会館公会堂で開いた。提唱者の東京大学高齢者総合研究機構、飯島勝矢教授が講演した。笑いを誘う分かりやすい語り口で、会場を埋めた約500人の観衆の興味を惹きつけた。

 飯島教授らは数年前から、千葉県柏市と協力して高齢者の健康増進に関する調査研究を行い、心身機能の「元気度」を手軽に調べるフレイルチェック方式を開発した。「フレイル」は、健康から要介護までの中間の時期で、筋肉・認知機能、社会性が低下した状態。こうした兆候に自ら気付き、寝たきりなどの要介護に至るのを防ぐ。

 講演に先だって西東京市の丸山浩一市長が挨拶し、「健康まちづくりは市が置かれている環境、経済、子どもの教育などの水準が上がることに繋がっています。東大の高齢者総合研究機構とは昨年12月、東京都内では初めて、フレイル予防を始めとする連携協定を結び、29年度から事業を始めます。よい動機付けになれば」と述べた。

 続いて飯島教授は、「市民の方々がプレーヤー。みなさんがフレイル予防対策を生き生きと盛り上げることで、市のまちづくりに反映するだけでなく、日本のモデルにもなってほしい」と力強く語り解説に入った。

 第1部では、90代でもここ5年前間、歩く速度が変わらないなどのアクティブシニアと呼ばれる人たちと寝たきり高齢者の写真を見せた。飯島教授は「誰もがPPK(ピンピンコロリ、病まずに死ぬ)を望んでいるけど、消防庁によると残念ながら急死は4.8%と稀。今はNNK(認知症、寝たきり、孤独死)が急増しているそうですよ」と言う。

 そこで4つの質問をした。➀2~3キロ体重を減らしたい②4~5年前に比べ衰えたと思う➂食べているのに痩せてきた④体、心、社会性の面から自負できる。

 その結果、全国平均同様、痩せたい人は6割以上、痩せてきている人は1割弱。9割以上が衰えを感じているが、7割がほぼ健康だと自信をもっていた。

 介護を受けない状態「健康寿命」は、厚生労働省の資料によると2013年、男性で71.2歳、女性で74.2歳。長寿に与える要因の25%は遺伝、75%は自分で管理可能な食事や口腔ケア、運動、メンタル、社会性など。要は"自分次第"ということだ。

 長寿の要因について、高齢者のBMI(体格の指数)は20~23が理想。痩せすぎると総死亡率がグンと高くなる。3食食べているのに栄養失調に陥る高齢者の「新型栄養失調」は、70歳以上の6人に1人が該当するらしい、と既存のデータを引用し説明した。

 フレイルの要因については、要介護の最大のリスクは、高齢になるにつれ筋肉が減少するサルコペニア(筋肉減少症)。外出回数の減少による認知症、噛めない・飲み込めないなどの口腔機能の低下、タンパク質の接種不足などを例にあげた。

 自分はどこが衰えているのか。柏市で行なったフレイル大規模長期横断追跡調査を基に、同市や茅ヶ崎市などと協定を結びフレイルチェックを実施している。「大事なのは、虚弱状態になる前の自分の多面的なほころびに少しでも早く気づき、自分事として、行動に移すことです」と飯島教授は訴えた。

 

フレイルチェックシートにシール貼って回答する参加者

市民フレイルサポーターが「指輪っか」テストの見本を見せる(ともに筆者提供)

 第2部では、現在茅ケ崎市でフレイルチェックを行う「市民フレイルサポーター」3人も協力して、来場者に見本を見せながら、実際にフレイルチェックを行った。まず、筋肉量を簡単に自分でチェックできる「指輪っかテスト」では、両手の親指と人差し指で輪を作り、ふくらはぎの一番太い部分を囲む。隙間ができると、筋肉量が減少している危険性が高いという。会場では一人ひとり、座席で背を屈め試してみた。

 フレイルの兆候が分かる「イレブン・チェック」では、栄養、口腔、運動、社会性の項目ごとに、例えば「たくあん」くらいの固さの食品を噛みきれるか、同じ年齢の人と比べ歩く速度が速いか、など11の質問に「はい」「いいえ」で答えた。70代の女性は「みんなでワイワイチェックできて楽しかった。いいお話が聞けてよかった」と話していた。

 フレイルチェックは、市民サポーターが中心となり、初回の結果を基に半年後に効果を検証する。最後に西東京市はフレイルチェックやサポーターへの参加を呼び掛けた。
(柿本珠枝)

 

【関連リンク】
・フレイル予防講演会アンケート集計結果(西東京市Web PDF:168KB
・東京都内初! フレイル予防事業実施のため東京大学と連携協定を締結しました(西東京市Web
・東京大学高齢者総合研究機構 >>

 

【筆者略歴】
柿本珠枝(かきもと・たまえ)
 旧保谷市で育ち、現在西東京市田無町在住。1998年(株)エフエム西東京開局から携わり、行政や医療番組、防災、選挙特番など担当。地域に根差した記者としても活動している。

 

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