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地域とともに避難所開設訓練 碧山小と柳沢中で実施

By in 災害・防災 on 2017年12月28日

プラカードの下に住民が集まった(碧山小学校校庭)

 西東京市内の小中学校は災害時、地域の人たちが身を寄せる避難所になっている。いざというときに備えた避難所開設訓練を、碧山小学校と柳沢中学校で見ることが出来た。小学生は地震から生命を守る具体的な方法を学び、中学生は避難所開設を身をもって体験する。ともに地域住民らで作る避難所運営協議会と学校の協働作業だった。

 

 防災学習と地域住民への説明-碧山小学校

 

 碧山小学校の訓練は12月9日。午前中はまず3校時に低学年、4校時は高学年が入れ替わりで体育館に集まり、地震から身を守る方法などを学んだ。強い揺れで室内の食器棚や冷蔵庫が倒れ、人形がペシャンコになるビデオ映像が映し出されると、「オーッ」と声が上がる。講師を務めた同校避難所運営協議会事務局長の小野修平さんは「家に帰ったら、家具が倒れないようにしているの? と尋ねてみてください」と呼び掛けた。

 

身を守る方法を教える避難所運営協議会の小野さん

 

 地震の時、特に困る人たちへの対応も組み込まれていた。車いすの人のために、子どもたちはいすとマットレスで簡易ベッドを即席で組み立てる。小野さんが車いすからベッドに移ると拍手する子もいた。

 午後1時半ごろになると、住民らが体育館北門から校庭へ入り、町内別のプラカードの下に集まった。「その他地域」と書かれたプラカードもある。「サポートを必要とする方」のプラカード付近には、車いすの人が集まっていた。

 やがて多目的ホールで受け付け手続きを済ませ、体育館へ。
 避難所運営協議会長の成瀬修さんが挨拶し、「碧山小学校の通学区域に約1万人が住んでいます。しかしこの学校で受け入れられる避難者は約1000人です」と述べた。避難所はだれでも無制限に収容できるとは限らない。自宅で暮らせなくなった住民の仮の居場所が避難所なのだ。あらためて、自宅の備えが必要だとの注意喚起だったのかもしれない。

 集まった保護者、住民から「1000人を超えたら入れてもらえないのか」との質問が出た。市の担当者は「防災無線を活用して他の施設に空きがないか調べ、移動出来るようにします」。「ペットはどうなるの」との質問には、「ペットと同行避難出来るようにと国の指針も出ています。生活スペースには入れませんが、専用エリアを用意します」と答えていた。

 

体育館の後に防災備品が展示された(碧山小学校体育館)

 午前中の防災学習のあと、あらためて午後の部に参加した子どもは約20人。そのうちの1人が手を上げた。「子どもだけで避難所に来ていいですか」。家族不在を想定しての問いかけだった。小野さんは「大丈夫ですよ。ただ近所の人に声をかけて、学校に行くと伝えてから来てください」と答えた。戻った家族に、自分の居場所を伝えるメッセージを残すように、とのアドバイスだった。

 用意した開設訓練のお知らせチラシは約2500枚。避難所運営協議会のメンバーらが地域に戸別配布するなど周知を徹底した。そのせいもあって約150人が集まり、熱心な質疑が続いた。

 

 3年計画で生徒が学ぶ-柳沢中学校

 

 道に迷って到着が遅れた。12月15日。午後1時30分の開始から十数分経っていた。受付で記者も手続きが必須だと念押しされ、「避難者カード」を渡された。受付番号は99番だった。名前、住所のほか、家族構成や障害の有無など心身の状態、ペット同伴などを書き込めるようになっている。

 

受付に人が集まった(柳沢中学校体育館)

生徒は町内ごとに集まった

 

 体育館には2年生80人がすでに町内別に集まっている。避難住民が集まったとの想定で、家族単位、外国人、目が見えない、身体が不自由など、それぞれの役割を持っていた。

 狙いは何だろうか。西嶋剛昭校長は「1年生だった昨年、生徒たちが避難所運営ゲーム(HUG)をしたとき、障害のある人たちを階段で上り下りしなければならないところに配置したことがあった。今回はその教訓を踏まえて、実際に配慮の必要な人たちの立場を理解できるようにと考えた」と言う。

 HUGは静岡県が考案した避難所運営のシミュレーション手法で、集まった被災者を図上の体育館や教室などにカードゲーム形式で配置する。1年生全員が昨年の体験を生かし、今年は「実働版HUG」として身をもって避難住民の立場を理解する試みだった。

 訓練計画を地域住民らと立案した加登谷博之副校長は、3年サイクルで生徒の防災安全教育を考えているという。1年生は防災講話とHUGの実施。2年生は実働版HUGを体験。3年生は突然の心肺停止から生命を救うAED(自動体外式除細動器)講習や心肺蘇生法などを学ぶ。

 この日の実働HUG体験が一段落した後、新町地域包括支援センターのスタッフが認知症の実際を講習。避難してきた認知症の人にどう対応できるか、生徒とのロールプレイを交えて理解を求めた。

 

認知症の人に道を教える遣り取り

 

 生徒たちからは「認知症がどんなものか知らなかった。これからの対応に生かせる」などの感想があったと加登谷副校長。「整然と実施することが目標ではなく、今回の訓練から課題を発見し、改善のために地域、関係者の方々と話し合って具体的にマニュアルなどに反映したい」と話していた。

 学校側と計画を練り、ボランティア団体メンバーとともに受付を担当したのは避難所運営協議会の人たちだった。会長の北澤敏さんは「受付でバタバタした面がありました。折角生徒たちが障害者になったりペットを連れてきたりという役割をしてくれたのに、大人側の対応が不十分だったのではないかと、後で話し合った。反省点をこれから生かし、訓練を積み重ねていざというときに備えたい」と話していた。

 年が明けると同校1年生は防災講話を受けて震災時の行動を学び、2月にはHUGを体験して避難所運営を学ぶ。3月は3年生がAED・心肺蘇生法の研修に臨む…。こうして生徒たちは毎年、防災の心構えを計画的に培っていく。学校と地域の大人たちやボタンティア団体とも協働しながら-。
(北嶋孝)

 

【関連リンク】
・碧山小学校(HP
・避難所運営協議会(柳沢中学校

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