契約内訳の説明を求める陳情採択 長期包括契約で柳泉園組合議会
西東京市、東久留米市、清瀬市のごみを共同処理する一部事務組合「柳泉園」議会の2018年第1回定例会が2月23日に開かれ、総額約26億4500万円の一般会計予算案などを可決した。昨年4月、15年間で総額133億8600万円で民間企業と契約した長期包括運営管理契約の新年度分は約10億2200万円が計上された。この長期契約の内訳が不明だとして説明を求める陳情は賛成多数で採択された。
陳情によると、柳泉園組合が2016年8月に作成した長期包括運営管理事業の「実施方針」で総費用は144億円、そのうち大規模補修は71億円だった。ところが本契約間近の2017年4月20日の臨時議会で議決されたのは、総額133億円、うち大規模補修は39億円の契約だった。大規模補修費用は32億円下がったのに、その他の費用が22億円増額され、結局トータルで11億円しか下がっていない。その理由が示されていないので説明を求める、との内容だった。
組合事務局は、大規模補修費用が下がった理由について、クリーンポート(焼却施設)の補修に別工法を採用したほか、使用するソフトウェアも他施設で使ったものを手直しして経費削減になったなどと説明した。
大規模補修の削減費用が契約総額に反映されなかった理由については、定期点検の費用が高くなったためと説明。専門のコンサルティング会社が積算、作成した実施方針では定期検査人員は11人を想定していたが、契約は18人。点検要員を増やせばトラブルの予防になる、などと述べた。
議員からは「そういう説明は初めて聞いた。そもそも昨年の臨時議会でそういう説明をするべきでだったのではないか」「陳情がなければ、われわれは事実を知らないままだった」「資料が分かりにくい。議員や市民にもっと分かりやすく説明する責任がある。市民に説明するのか」などの意見が出た。
事務局は「企業の知的財産の問題などから答えられない部分があるかもしれないけれども、答えられることは答えたい」などと述べた。
採決前の討論で「事務局の説明を聞いてから判断しようと思っていた。しかしこれまでの説明を聞くと、隠蔽体質というか、隠そうとするスタンスが伝わってきた」(瀧島喜重西東京市議)「差額の詳細を初めて聞いた。一般会計予算の審議でも、長期包括契約の工事が当初予定より前倒し実施されたことも明らかになった。議会にも市民にも、事実をきちんと伝える必要があるのではないか」(深沢まさ子清瀬市議)「委託した範囲を明確にして、管理できる体制を整えてほしい」(小西みか清瀬市議)などの厳しい発言が相次いだ。
陳情は廃棄物等処理問題特別委員会に付託され、賛成多数で採択。本会議でも採択された。
このほか、長期包括運営管理事業契約のやり直しを求める陳情も出されたが、不採択となった。
この長期運営管理事業の契約をめぐっては、住民訴訟が東京地裁で審理中。今年2月13日にも契約取り消しを求める住民監査請求が提出されている。
柳泉園は、近隣自治体がごみやし尿などを共同処理するため1960年に東久留米市下里4丁目に設立された。地方自治法284条の規定による「一部事務組合」で、現在は3市を構成団体とする地方公共団体。組合の管理者は、並木克巳東久留米市長。2000年11月に焼却炉「柳泉園クリーンポート」(焼却能力1日当り105トンの炉3基) が本格稼動した。
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陳情の審議に先立って、事務方トップの助役に、東久留米市市民部長の鹿島宗男氏を選任する議案が提出され、全会一致で可決した。
(北嶋孝)
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