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「文房具」の不思議と魅力を楽しく 多摩六都科学館で特別企画展

By in 芸術・文化, 学ぶ on 2019年6月8日

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 「紙と筆記具」を取り上げた特別企画「ぶんぶん文房具展」が西東京市市芝久保町5丁目の多摩六都科学館(髙柳雄一館長)で開かれました。期間は3月21日から5月6日までの長丁場。科学と技術の視点から文房具の不思議と魅力を解き明かし、「書く」「描く」「画く」イベントが数多く開かれました。文房具好きの渡邉篤子さんの報告です。(編集部)

 多摩六都科学館(西東京市芝久保町)で開催された「ぶんぶん文房具展」に出掛けた。

 「おしゃれな文房具」「ハイテクな文房具」「便利な文房具」など文房具に関する記事や番組をみると心がそわそわして、文房具店に出かける。店内をウロウロするうちに、何時間も滞在してしまう筆者は、科学館でどんな展示があるのか、どんな体験ができるか、期待に胸を膨らませて入館した。

 

大きな鉛筆の周りで


親子で楽しむ「文房具ラボ」

 

 5月6日、10連休の最終日は「ぶんぶん文具展」の最終日でもあった。
 「比較的ゆっくりした出足です」とスタッフが言うように、会場は混雑した様子ではないが、親子連れが各コーナーで文房具を手に取り遊んでいた。

 入り口で「ぶんぶん文房具ずかん」というワークシートを貰って入場。文房具ラボのコーナーでどんな体験ができるかが詳しく書かれていた。張り切って見学をスタートした。

 

文房具の妖精「ぶんぶん」が表紙

 

 初めは「紙」についての展示。紙の見本帳や、用途に対応して作られたノート、水引を使ったアクセサリーなどが展示されていた。学生時代に使っていたお馴染みのノートにも多くのバリエーションがあり、また使ってみたくなった。

 「水習字に挑戦!」のコーナーでは、水を含ませた筆で文字を書いた。墨で書いたような黒い文字が、数分置いておくと消えていく。不思議!「この紙、また使えるね」と可愛い声が聞こえた。

 

水習字の秘密は紙にあった

 

 「インク」のコーナーは大人気。「フリクションボールペンは、なぜ擦ると消えるのか?」を実験で確かめる装置があった。フリクションボールペンで「ぶんぶん文房具ずかん」に文字や絵を書き、装置に差し込みスイッチを押し、温風を当てると見る間に書いたものが消える。「おー!」と声をあげるのは大人が多い。子どもは、あまりボールペンに馴染みがないせいか、反応が小さいが、何度も列に並び、消えることを楽しんでいる小学生もいた。

 

温風が当たると次第に絵が薄くなる

 

 「筆記具」はさらに細かく「筆」「フェルトペン」「鉛筆」「ボールペン」「シャープペンシル」「万年筆」のコーナーに分かれていた。各コーナーにはその筆記具の歴史や特長がイラスト入りで描かれた解説が展示されていた。大人は立ち止まっていた。

 「10Hから10Bまでの硬さの異なる鉛筆で線をかく」「油性インク、ゲルインク、水性インクのボールペンのかき比べ」「ペン先の素材によって万年筆のかきごごちは変わるか?」などのコーナーは人気があり、席が空くのを待っている子どもが大勢いた。

 

めったにお目にかかれない10Hの鉛筆

 

 会場の奥のは「文房具スタジアム」のスペース。幅6910mm(!)の模造紙が貼られ、「6910(ロクト)キャンパス」と名付けられていた。テーマは「好きな文房具をかこう」とあったが、子どもたちは目を輝かせて自由に絵を描いていた。大きな落書き帳に向かって、好きなだけ線を伸ばし、紙をはみ出し、果ては寝転んで描いている子どももいた。「書くところが少なくなると新しい紙をセットします。今日はまだ2枚目です」とスタッフが説明した。

 もう一つ、ガラスの壁も格好の落書き帳であった。透ける壁の向こう側に立っているお父さんの顔に髭を付け足して写真に撮ったり、子どもの人型をなぞったり。ここでも思いっ切り描く楽しさを満喫している様子が見て取れた。

 

落書きは最高!

描いては消し、描いては消し

 

文房具の歴史

 

楽しい年表に見入る

 

 紀元前5000年から現代までの「歴史的な出来事」「世界初の出来事・商品」「日本初の出来事・商品」「会場に展示しているもの」が年表に書き表されていた。

 この文具展の企画を担当したスタッフの説明を聞いた。
 「メソポタミアでは葦の棒で粘土板に楔形文字描いた」という出発点から、常に「何に書くか」「何で書くか」は密接に関わり合いながら発展してきた。「何を発信したいのか」「何を残したいのか」も、その発達に大きな関わりがある。気候、風土の異なる地域でそれぞれの発達を遂げてきた筆記具、紙、インクが、新たな発見や科学の発達により、大量生産され世界中で使われる様になる。文房具の歴史は世界史の証明、とも言える、と話した。

 「羽ペン」の記述のところには「ラテン語で羽を意味するpennnaがペン、という言葉の起源となった」と書き添えられている。「徳川家康も鉛筆を使っていた」など、文房具好きがニヤッとする薀蓄が散りばめられた、情報豊富な年表だった。

 世界史の教科書で見た「パピルス」や「羊皮紙」の展示は貴重な物を見た満足感があった一方、両親が使っていたインク瓶などは懐かしく、その匂いまで蘇ってきた。

 

昭和時代の机の上を思い出す

 

 年表を熱心に見ていた大人の来館者に話を聞いた。「インクにはこだわりがあって」という。「昔の黒は本当の黒ではないよね」とスタッフに説明を求めていた。ここにもインクの発達の歴史がありそうだった。

 

見事な「ベガロク」

 

 多摩六都科学館のキャラクター「ベガロク」をささっとフェルトペンで描いている人がいた。この「ぶんぶん文具展」のチラシをデザインした中村晋也さんだった。「ようやく最終日になって来ることができました」と話した。ご家族で楽しそうにガラスの壁にいたずら書きをしている。プロの原点はこんな遊びにあるのかもしれない。今日、思いっきりペンや紙で遊んでいる子どもたちの中にも未来のデザイナーがいるかもしれない、と思った。
(渡邉篤子)(写真:筆者提供)

 

【関連リンク】
・春の特別企画展「ぶんぶん文房具展」(多摩六都科学館

 

【筆者略歴】
 渡邉篤子(わたなべ・あつこ)
 ひばりが丘在住約30年。音楽教室講師の傍ら公民館などで音楽講座の講師を務める。ひばりが丘でエリアマネジメントをする民間団体「まちにわひばりが丘」のボランティアチーム「まちにわ師」2期生。コミュニティーメディア「AERU」担当。

 

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