0歳~2歳児世帯の9割は対象外、給食費は実費徴収 幼児教育・保育の無償化は複雑な仕組み

投稿者: カテゴリー: 市政・選挙子育て・教育 オン 2019年6月15日

 西東京市議会文教厚生委員会(藤田美智子委員長)が6月14日開かれ、幼児教育・保育の無償化に伴う市の児童保育費用徴収条例の改正案を挙手全員で可決した。市内の3~5歳児のうち保育所、幼稚園、認証保育施設などの利用料を無償化し、0歳~2歳児の住民税非課税世帯も無償化の対象になる。ところが3~5歳児の保育料免除世帯では給食費が無償化の対象外となるためあらたに実費徴収が生じるほか、0歳~2歳児の9割以上を占める住民税課税世帯は無償化の対象から外れるなど、複雑な仕組みが明らかになった。

 子育て支援部の説明によると、無償化の対象になるのはまず、3~5歳児の保育所の保育料と障害児通園施設の利用料。認可外保育施設や一時預かり事業などは月3万7000円が上限だった。0歳~2歳児の住民税非課税世帯も保育料は無料だが、認可外保育施設などは月4万2000円、幼稚園は月2万5700円が上限などと、無償化には事業ごとの上限があって複雑な制度となっている。(下の図を参照)

子育て支援部保育課提出資料(クリックで拡大)

 

 問題点も浮かんできた。無償化される0歳~2歳児の住民税非課税世帯は市内で120人、対象外の住民税課税世帯は1650人だった。0歳~2歳児世帯の93%が対象から外れていた。森輝雄氏(無所属)や保谷清子氏(共産)の質問で明らかになった。

 保育料には給食費が含まれている。ところが今回の制度では、3~5歳児の給食費は対象外になる。加藤涼子氏(生活者ネット)は「所得が低い世帯は給食費を含めて保育料が免除されていたのに、無償化措置で給食費を逆に払わなければならなくなる」と、給食費の「逆転現象」を指摘した。

 これらは国の制度設計に依り、消費税率引き上げ時点の10月1日からの実施となっている。このため保育課の遠藤さおり課長は「今後の国の動向を注視したい」と述べるに止めた。

 この日の委員会は、ほかに低所得者の介護保険料の軽減措置を拡大する介護条例改正案を挙手全員で可決。「同性パートナーシップの公的承認についての陳情」も全員の挙手で採択した。
(北嶋孝)

 

【関連リンク】
・幼児教育の無償化について(平成31年2月14日)(内閣府・文部科学省・厚生労働省 PDF:67.5KB

 

【筆者略歴】
 北嶋孝(きたじま・たかし)
 1944年秋田市生まれ。早稲田大学文学部を卒業。共同通信社入社。文化部、経営企画室などを経て2004年フリーに。同年に「ワンダーランド(小劇場レビューマガジン)」創刊。編集長、代表。MXテレビの情報番組「モーニングサプリ」コメンテーター、演劇番組「東京舞台通信」ナビゲーターも。旧保谷市時代から西東京市在住50年余り。2015年2月に西東京市+近隣の地域報道サイト「ひばりタイムス」創刊、編集長を務める。

 

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