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市長、副市長、教育長のトップ3人に問責決議 西東京市議会本会議で可決

By in 市政・議会 on 2019年9月19日

西東京市議会の本会議(9月18日午後11時08分)

 西東京市議会(田中慶明議長)の本会議が9月18日開かれ、不適切な事務執行が重なったとして丸山浩一市長、池澤隆史副市長、木村俊二教育長への問責決議案を採決した結果13対13の可否同数となり、田中議長の裁決で可決した。市のトップ3人が問責決議を突きつけられる異例の事態となった。

 しかし動議の取り扱いに問題があったとして長い休憩を挟んで審議は深夜まで延びた。この日予定した一般会計補正予算案などの採決は、本会議を19日に延期して行われることになった。

 決議案は、自民党の稲垣裕二氏が提案し、同党の田中議長を除く他の議員7人が賛成者に名を連ねた。その中で「予算特別委員会で下水道事業会計の当初予算説明書の誤りが明らかになったとともに、不適切な記載のある公文書が教育委員会から発出される」など、丸山市長と木村教育長の「組織統制能力の怠慢が露呈した」「市長・教育委員会と市議会との信頼関係を大いに損なう結果になった」と問責理由を述べている。

 

可決された問責決議(全文)(クリックで拡大)

 

 問題となった下水道事業会計では、所管替えされていた東町と下保谷のポンプ場の用地が、当初予算で土地資産に計上されていたため、今回の補正予算案で削除。説明資料として掲載する貸借対照表で、土地の資産や関連項目の額を計4億6990万円減額した。当初5億3731万円だった土地資産がこのため6741万円となり、87%減となった。

 不適切な事務執行は、決算審査に提出される教育委員会作成の資料が自民、公明の両会派に事前説明、配布されたのに、他会派の議員らにはその後、説明がないまま机上配布されたことが発端。配布資料に添えた説明文は、市教委から市議会議長宛。市議会議員への配布を依頼したあと「なお、自民党、公明党の方々には事前説明の際にお配りしております」と書かれていた。

 

問題となった鏡文。赤線は筆者(クリックで拡大)

 

 「会派による露骨な差別」「7人の決済を通った公文書なのに、誰も気付かなかったのか」など机上配布だった会派の議員らが強く批判。事前説明された自公両会派も「先方から説明したいとお願いされたのに、われわれが事前説明を要求したかのような疑念をもたせる。心外で憤りを感じる」「グルになっていると誤解を与える。はなはだ迷惑」など、予算特別委員会で、厳しい口調で教育委員会に反省を求めたていた。

 採決は自公の13人が賛成、共産4人、立憲3人、生活者ネット2人、無所属の議員4人が反対に回った。

 

 

 市のトップ3人の問責決議が可決される異例の事態となった。各議員の発言を聞いていると、「不公平」「差別的扱い」「強い憤りを感じる」など、決議案が議員の総意となっても不思議ではない流れだった。しかし予算特別委員会での議事運営を含め、会派間の意思疎通が円滑とは言いにくい状況が表面化。採決は割れ、休憩続きの異例の議会運営となった。

 問責決議案に反対し、この日の日程を延長するための本会議に出席しなかった会派、議員はどんな考え、意見を持っていたのか。議場で意見、見解を表明する機会がほとんどなかったため、この日の会議が終わったあと立憲フォーラムの控室を訪ねた。そこに集まった議員の間には、議事進行への強い不満、不信感があふれていた。

 この日の開会冒頭、「動議」の挙手が複数上がり、最初に指名を受けた稲垣浩二氏(自民)の動議が「問責決議案」として提出。用意された印刷文書が間もなく議場配布された。提案理由の説明の後、田中議長は「討論」に言及せず、すぐ採決に入った。採決結果が出たあと、納田里織(さおり)氏(無所属)、森信一氏(立憲)から相次いで討論に触れなかった理由や経過説明を求める議事進行の発言が続いた。

 田中議長は「問責決議はすでに採決が終わった」「複数の議員が同時に発言を求めた場合、誰を指名するかは議長の整理権の範囲内」などと答えたため森氏らは納得せず、午前10時15分ごろ休憩に入った。

 森信一氏(立憲)は、今回の議事進行は西東京市議会の会議規則違反だと指摘する。「冒頭に私も動議を求めて手を挙げた。賛成の声も上がり、その時点で動議は成立です。複数の動議が成立したら、暫時休憩して扱いを調整するのがこれまでのやり方」という。西東京市議会会議規則第18条は「他の事件に先立って表決に付さなければならない動議が競合したときは、議長が表決の順序を決める。ただし、出席議員2人以上から異議があるときは、討論を用いないで会議に諮って決める」とある。「まず、動議と認めて取り上げる。一方だけを取り上げて採決まで突っ走ったやり方は、動議が競合したかどうかも検討しない一方的な議事進行だ」というのが森さんらの主張だった。

 指摘はまだ続く。「挙手したときは『動議』だったのに、いつの間にか『議案提出議案』が配布された。しかも議案番号まで付いている。通常なら議会運営委員会を通してから議案番号が付くのに、今回は動議がいきなり議案番号の付いた決議案になっていた。手順があまりによすぎる」と驚きを隠さない。

 「もっと問題なのは、議案が討論のプロセスを踏むことなく、そのまま採決に入ってしまったことだ。会議規則の43条では『議長は、前条の質疑(委員長報告等に対する質疑)が終わったときは討論に付し、その終結の後、表決に付する」とある。決議は無効ではないか。動議競合の状態から再度議事進行して欲しい」。森氏らの行動を左右した見解だった。

 「議長と議会事務局長が控室に何度も来た。その際議長は(動議採決前の)『討論を失念した』と謝った」「2人には再三、議事進行に関するこういう趣旨のお願いをした。すると『持ち帰って検討する』と席を立ったまま時間が過ぎていく。われわれが感情的になっているとか、審議拒否などのうわさが流れているけれども、実態はそうではない。待たされたのは私たちの方だった」。森氏の一連の説明からは「不本意な展開になった」との響きが伝わってくる。

 控室に集まった議員からは「不意を突かれ、あっという間に事を運ばれた」「数の力で押されたらギスギスした空気になる。不信感と疑念が強まったのではないか」「間に立って調整する人がいなかった。それぞれの会派、議員間にもっとコミュニケーションがあれば、また違った展開になったかもしれない」などの声も聞かれた。

 この日の会議の最後に、森輝雄氏(無所属)が提出した「議事日程の変更を求める動議」が採決された。(1)今回終わらなかった議事を30日の本会議で行う(2)決算特別委員会は明19日から予定通り開催する-との内容。採決の結果、13対13の可否同数となり、議長裁決で否決となった。このあとすぐ、会議を終えた。時計は午後11時20分を過ぎていた。

 19日は午前10時から本会議が開かれ、一般会計補正予算案や組織条例改正案などが採決される予定となっている。
(北嶋孝)

 

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