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子どもたち全員が「樹木博士」初段に 東大演習林でアクティブスクール2019

樹木や地球の歴史を説明する大森拓郎さん

 西東京市の東京大学付属田無演習林で10月20日、小学生3年~5年を対象に「東大農場・田無演習林アクティブスクール2019」が開催され、小学生と保護者ら12人が参加した。夏の東大農場を歩いて学ぶ「サマースクール」に続いて、秋には9.1haに及ぶ演習林を巡ろうと企画された。「樹木博士」の試験やミニ講座を体験しながら、樹木の果たす役割を学ぶ楽しい一日になった。

 主催したのは「東大農場・演習林アクティブスクール2019実行委員会」と東京大学付属田無演習林・東京大学生生態調和農学機構、多摩六都科学館。

 

先生、保護者らと開校式

 

 午前9時前に受け付けが始まり、参加者にはオレンジ色のメモ帳が渡された。9時30分から「切株広場」で開校式が行われた。この日は田無演習林の主催する「樹木博士」の認定試験企画にアクティブスクールも参加。切株広場は子どもたちと保護者で賑わった。

 

演習林を一巡、試験に挑戦

 

演習林は森の道

 

 アクティブスクール参加者はここから、試験の対象になる10種の樹木を中心に、ガイド付きで演習林を一巡する。台風の影響で倒木もあり、通れない場所は回り道しながら落ち葉を踏みしめて巨木をめざす。ガイドの大森拓郎さんが大きな木を指しながら、「これはメタセコイア、生きた化石とも言われている」と説明。あわせて46億年前の地球誕生からの歴史を説明。「地球史を1年とすると、人類は大晦日の除夜の鐘がなるころに生まれた」との話に、「へえ、すごいね」との声も聞こえた。

 クヌギ、ヒノキ、スギ、イチョウなど10種の樹木を見て触って回りながら、子どもたちと遣り取り。「イチョウは水をはじくので、まな板に使われる。防火のためにと、庭にイチョウの木がたくさん植えられたこともあった」「巨木を10位まで挙げると、ほとんどがクスノキ」との説明に大人でも学ぶことが多い。ときおりガイドが質問すると、子どもたちがすらすら答えるのに驚くと、「木が好きな子が参加しているんだと思いますよ」と実行委員の田中敏久さんが話してくれた。

 

葉や枝を見て樹木を当てる

 

 広場に戻って昼食。その後はいよいよ、樹木博士の試験が行われた。机の上に並べられた枝や葉っぱから樹木の名称を類推する。「まだ覚えてないよ」「メタセコイヤではないね。メタセコイアだね」と語尾を確認する声もあった。スタッフの「植物や樹木の名称はカタカナで書くんだよ」との注意を受けて、記入用の紙が配られると全員が集中して記入した。

 

木は持続性のある資源

 

 試験の後で、いつもは鍵が締まっている演習林の秘密の出口から、隣接するいこいの森公園パークセンターに移動した。東京大学の安村直樹先生によるミニ講座「木の得意技を生かそう」が開かれた。

 「日本の国土面積は38万㎡。そのうちの7割は森林。人が育てている森林をなんというかな」の質問に、すかさず「人工林です」。「よく知ってるね。世界では人工林が多くないけど、日本人は木を育てるのが上手なんだね」。

 「じゃあ、森林の働きは?」の質問にも「水をためる」「火を防ぎます」「空気をきれいにします」などの声が次々に上がって、先生も「よく知ってるね」と感心しきりだった。

 「石油はいつか枯渇するが、木は育てることができる持続性のある資源。100年前は生活に必要なものはほとんど木で作られてきた。木を使うことは森をつくること、木を使うことは暮らしの役にも立つ」「木の有用性と持続性を暮らしの中で生かしていこう」と子どもたちに話しかけた。

 

全員に「初段」の認定証

 

先生から認定証をもらう

 

 そのあと、樹木博士の認証式に移った。試験は全員満点。「樹木博士初段」の認定証が子どもたちに手渡され、参加者の拍手で講座を終えた。

 最後に実行委員会を代表して田中敏久さんが「事故もなく、楽しい一日でした」と話し、多摩六都科学館の廣澤公太郎さんも「今日学んだことを大切にしよう」と挨拶した。

 アンケートでは、「試験は緊張したが、楽しかった」「たくさんの木や植物に出合えた。木を見て触って、匂いも嗅いで、詳しく教えてもらえた」「木に興味はなかったが、参加して知ることができた」と好評だった。

 初めて息子と参加した及川秀和さんは「六都科学館のネットで企画を知った。参加することになって、子どもが図鑑で調べたり、いい機会になった。本物の木にふれたのがうれしかった。また参加したい」と話した。
(川地素睿)(写真は筆者提供)

 

【関連情報】
・東大田無演習林アクティブスクール2019~秋の演習林で体験・実感しよう!(多摩六都科学館
・「子ども樹木博士」認定会(東京大学附属田無演習林

 

【筆者略歴】
 川地素睿(かわじ・もとえ)
 高知県出身。東久留米市在住20年。法律事務所、旅行業を経てNPO法人に参加する。もうすぐ地域に帰ってくる団塊世代。高齢者も含めた多世代が関わるまちづくりに関心がある。

 

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One thought on “子どもたち全員が「樹木博士」初段に 東大演習林でアクティブスクール2019

  1. 廣澤公太郎
    1

    川地様 演習林の魅力が津合わってくる素敵なレポートありがとうございます。広葉樹230種、針葉樹60種の多様性を持つ奇跡の森大切にしたいですね。

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