
鳴り止まない拍手、支える情熱と努力 西東京ジュニア・ユースオーケストラ演奏会
西東京ジュニア・ユースオーケストラの第11回定期演奏会が1月19日、保谷こもれびホールで開かれました。演奏の素晴らしさをたたえ、スタッフの活動にも光を当てる、石田裕子さんの真情溢れる報告です。(編集部)(西東京ジュニア・ユースオーケストラの演奏会=同オーケストラ事務局提供)
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拍手が鳴り止まない
開演の15分前。保谷こもれびホールの1階ロビーに、続々と並び始めた老若男女。その中には小学生や中高生らしい若者が混ざる。「並ぼうね」と優しく幼児に声かけるパパもいる。車椅子を使う方も入場を待っていた。第11回西東京ジュニア・ユースオーケストラの定期演奏会の始まりだ。
1月19日に行われた定期演奏会。入場数は373人だった(主催者発表)。
モーツァルトの交響曲29番、ベートーベンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」の第1楽章と交響曲第6番「田園」。演奏は会場を魅了し、拍手が鳴り止まなかった。
小学生から大学生の年頃の子どもたちがこんなに素晴らしい演奏ができる。この演奏会がどんどん知られて、会場が満席になる日も近いだろう。
大学1年生の若き団長
演奏会が無事に終わり感動の渦の中、ロビーに挨拶に出ていた団長の伊藤佳菜子さんに話を聞いた。伊藤さんは18歳になったばかり。団長になって2年経つ大学1年生である。
「今日は、今までの練習の成果を出せてよかったです。団員を増やして活気づけていきたい」
伊藤さんはこう話し、弾けるような笑顔を向けてくれた。その姿には、演奏会成功の喜びが溢れていた。
辞めたいと思ったことは一度もない
ジュニアユースオーケストラの入団は、「楽器は自前で準備すること」が大前提である。しかし、演奏は初心者でも参加が可能だ。子ども達に楽器を丁寧に教え、オーケストラの団員に育てていく。
事務局長を務める裏方の要、青木美紀子さんはクラリネットを演奏する市井の音楽家。出しゃばらず、奢らず、言うべきことを優しく伝え、やるべきことは誰が見ていなくてもキチンと行う、信頼できる女性である。今回も裏方が中心で、当日は最後の一曲にだけ演奏に参加した。
その彼女を中心に16年間、ジュニア・ユースオーケストラは育ってきた。メンバーの団費は経費で消えてしまうので、演奏会を毎年行うために苦労していると言う。助成金などを申請し、やりくりして演奏会に臨んでいるのだ。他の地域からも「どんな風にやっているんですか」と視察に来る。ジュニアオーケストラは、自治体丸抱えや、スポンサーがしっかりついて行っているところがほとんどだからだ。
「そんなに大変で辞めたいと思ったことはない?」の問いには「辞めたいと思ったことは一度もない。子ども相手の活動はとても楽しい」とすぐに答が返ってきた。
西東京ジュニア・ユースオーケストラはこれからも、応援する人々の情熱と努力で続いていくのだろう。
楽しみが増えた
パンフレットには、丸山浩一市長のお祝いのメッセージもあった。「文化・芸術に親しむことは、健康で元気に暮らしていくために欠かすことのできない大切な要素です」とある。大人にも子どもにも人生の上でたくさんの選択肢が必要だ。文化、芸術、音楽、スポーツ…。自分の得意な音楽の分野で、コツコツと子どもを支援する現場に出会えて、とても嬉しかった。楽しみがまた増えた。今度は市長に会えるかな。
次は6月26日(金)、保谷こもれびホール小ホールでサマーコンサートが予定されている。入場無料。第12回の定期演奏会は12月19日(土)、保谷こもれびホールで開かれる。入場料は一般1000円、高校生以下無料。
(石田裕子)
【関連情報】
・西東京ジュニア・ユースオーケストラ(HP)
・西東京ジュニア・ユースオーケストラ第11回定期演奏会(保谷こもれびホール)
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2枚目の写真の説明で、ピアノを演奏した「鎌田大翔さん」の名前が違っていました。ご迷惑をお掛けしました。お詫びして訂正します。(編集部)