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大学のオンライン授業、課題山積 ネット環境、留学生、情報倫理…

投稿者: カテゴリー: 新型コロナウイルス子育て・教育 オン 2020年5月12日

長く使われていない教室(嘉悦大学)

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため各大学が導入するオンライン授業が、5月11日から順次始まった。しかしほとんどが初の試みのため試行錯誤が続いている。小平市内の大学でもさまざまな課題が浮上している。

 オンライン授業はデータ通信容量が膨大になるため、学生側の通信環境や端末のスペックなどが課題となる。既に各地の大学ではシステム障害や音声・映像の中断などのトラブルが相次いでいる。大学によってはネット環境整備に向けて通信機器を無償貸与したり、技術的な相談窓口を設けたりするなど学生に便宜を図る試みがなされている。

 5月11日からオンライン授業を始めた白梅学園大学。学生は講義系授業では、基本的にネットを介して教員が配信するテキストや動画資料を視聴する。決まった時間に授業に参加するのが原則だが、開始時に多くの学生が一斉にアクセスすると、システムに障害が生じる可能性があるとして、アクセスする時間帯を分散させるなどの措置を取っている。

 インターネットを使った教材に使い方や授業の進め方は教員、学生ともに手探り状態だ。絵画や彫刻などの実技が伴う授業はどんな授業となるのだろうか。武蔵野美術大学ではZoomなどのウェブ会議システムを用いた場合の授業スタイル例を紹介している。

 例えば受講生は課題の説明を受けた後、自宅でスケッチなどをする。声掛けやチャット画面で教員のアドバイスを受け、次回授業までにネットを介して作品をアップし、さらに助言を受ける。完成した作品はクラウドに上げて受講者全員で閲覧しながら講評を受ける―。デザインや映像を扱う場合は高性能の端末が求められるため、学科ごとに具体的に推奨する機種やスペックを挙げている。

 

学内施設の閉鎖が続く嘉悦大学

 

 嘉悦大学は春学期(5月18日〜7月31日)の授業すべてをオンラインで実施する。難しいのは、学生数の3割近くを占めていたアジア各国からの留学生の扱いだ。すべて入国拒否の対象国となっているため、新入生や本国に帰国した留学生たちは日本に入国できない状態にある。休学しない場合、本国からインターネット経由でオンライン授業を履修して単位を取得することになる。

 しかし留学生の出身国の多くを占める中国では基本的にGoogle系のサービスにアクセスできないため、ネット環境によってはGoogle ClassroomやGoogle Meetなどを利用する授業を受講できない。同大は「第1回の授業を必ず受講して、その授業を履修するかどうかを慎重に決めてください」と呼びかけている。

 遠隔授業特有の倫理的問題にも配慮する必要がある。5月14日からオンライン授業を本格導入する津田塾大学は、受講に際して「オンライン授業における情報倫理の遵守」と題して禁止事項を告知した。

▽大学側から伝えられた授業のURL、ミーティング ID やパスワードを他人と共有したりSNS などに公開したりすること▽本人のID以外で授業に参加したり他人になりすまして参加したりすること▽授業を録画、録音、公開、同時放映すること▽授業の様子を撮影、録画、公開すること▽配付資料を公開したり再配付すること。これらを許可なく行った場合は、規程に基づいて「懲戒対象になる可能性がある」としている。

 4月に新入生を迎えた私立大学の教員は「学生の顔も学習レベルもわからない状態で、初めてのオンライン教材をつくらなければならない。大学にITの専門家がいるわけではないため技術的にも不安でいっぱいだ」と話している。
(片岡義博)

 

【関連情報】
・5月11日よりオンライン授業実施のお知らせ (白梅学園大学
・オンライン授業について(武蔵野美術大学
・上陸拒否対象地域の拡大に対する本学の対応について(嘉悦大学
・オンライン授業の実施(津田塾大学

 

【筆者略歴】
 片岡義博(かたおか・よしひろ)
 1962年生まれ。共同通信社文化部記者として演劇、論壇などを担当。2007年フリーに。2009年から全国52新聞社と共同通信のウェブサイト「47NEWS」で「新刊レビュー」を連載。著書に『文章のそうじ術』(言視舎)など。小平市在住。

 

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