いま、屋敷林を見て、考える 地域の自然と歴史を訪ねて

投稿者: カテゴリー: 暮らし環境・災害 オン 2015年6月8日

 都市化が進む西東京市で、貴重な「緑地」資源として、「屋敷林」が注目されている。かつての農家が造営した屋敷林は、今では地域の環境保全にも役立っている。そこで、数少ない市内の「屋敷林」を訪ね、「みどり」の今後を考えようという試みが、始まった。

 

高橋敬一家の竹林

高橋敬一家の竹林(筆者撮影)

 

 西東京市は、かつての武蔵野台地の一角。江戸期から農家が散在し、生活のために敷地内に多くの木々を植えた。それが「屋敷林」だ。屋敷林巡りの企画を実現したのは、屋敷林の会(代表:萩原恵子さん)。萩原さんは「武蔵野のみどりの原点は、農家の人たちと共生した屋敷林です。それを見ることで、地域の歴史と自然をもっと知ってほしい」と言う。

 市内には、大小20~30カ所の屋敷林がある。ツアーでは、下保谷地区と向台町~新町の2地区の約10か所の屋敷林を見学する。6月6日の下保谷めぐり(参加者34人)では、保谷駅北にある「下保谷4丁目特別緑地保全地区」(高橋敬一家)を見学。母屋の周りに植えられたケヤキ、スギ、シラカシ、クヌギ、タケなど40種類以上の木々のいぶきに触れ、自然を堪能した。

 同じ下保谷地区の高橋孝さんの屋敷では、門を入ったところにある樹齢350年のケヤキが目を引く。昭和17年竣工の母屋やかつての馬小屋も残っている。江戸期に下保谷の名主を務めた蓮見元彦家には、当時の高札場(村人にお触れを出す所)跡や、長屋門(役人の常駐場所)の一部が今もある。

 

高橋孝家の母屋

柏木家の屋敷林の全景

高橋孝家の母屋(上)柏木家の屋敷林の全景(下) 筆者撮影 禁無断転載

 

 ツアーに参加した市民は、「屋敷林は、市民にとって貴重な財産。実際に中に入ってみて、みどりだけでなく、地域の歴史もよくわかる」と話す。

 この「屋敷林めぐり」は、6月20日に第2回(向台町、新町)、第3回は6月28日、高田賢さん(民俗研究家)による講演会「武蔵野の屋敷林」(保谷駅前公民館)を予定している。
(萩原慎一郎)

 

 

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