植木等の命日に墓参 桜満開の小平霊園
1年前に「小平霊園・著名人の墓巡り」と題して上下2回続きの記事を掲載した。記事の結びに「心残りが一つある。小平霊園に眠るという俳優でコメディアンの植木等(1926〜2007年)の墓が見つけられなかったことだ。他日を期すことにしよう」と書いた。すると読者から墓の場所を伝える情報提供があった。植木等の命日の3月27日、桜が満開の小平霊園に出かけた。(写真は、桜が満開の小平霊園)
「ハナ肇とクレージーキャッツ」のメンバー植木等は、高度成長期という時代を象徴するアイコンだった。喜劇映画「ニッポン無責任時代」が封切られ、大ヒットしたのが1962年。自分が生まれた年なので特別の感慨がある。植木演じる底抜けにお調子者の主人公が大活躍する「無責任シリーズ」は、仕事中毒のサラリーマンを笑い飛ばして大ブームを巻き起こした。
不真面目を絵に描いたような役柄とは裏腹に、本人がもの静かで生真面目だったことはよく知られている。父親は反差別、反戦運動に身を投じた行動派の僧侶だった。植木が「スーダラ節」の享楽的でふざけた歌詞に悩んで父親に相談したところ、激怒するかと思いきや、決めぜりふ「わかっちゃいるけどやめられない」に「これぞ親鸞聖人の教えであり、人類普遍の真理だ。がんばれ!」と背中を押したというエピソードはもはや伝説と化している。
お彼岸が過ぎたとはいえ、園内は墓参者の車が行き交い、愛犬の散歩や花見を楽しむ人々が少なからず見受けられた。教えられた区画を20分ほど歩き回って、やっと目当ての墓を見つけた。
お墓は五輪塔で、親族かファンによるものかきれいなお花が供えられていた。
正面には「植木家先祖各霊位」、横に法名の「宝楽院釋等照」が記されている。墓石の左側面には「平成二年吉月吉祥日建之 植木等」とあった。墓誌などはなく、シンプル極まりない。
世の中が勢いづいていた時代を縦横に駆け巡った稀代の喜劇人は、国力低下とコロナ禍で元気のない今の日本には「お呼びでない」(植木のギャグ)とばかりに静かに眠りに就いているようだった。
(片岡義博)
「注」
当初の記事では、区画などお墓の位置情報を示していましたが、関係者の意向とともに墓参者のマナー違反の恐れもあるため削除しました。(2023年1月20日)
【参考情報】
・小平霊園(TOKYO霊園さんぽ)
・小平霊園・著名人の墓巡り(上)
・小平霊園・著名人の墓巡り(下)
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お墓の区画まで記載するのは、故人ではありますがプラバシー違反なので削除してください。
もし、私があなたのファンだとして、あなたの自宅を探し出して訪ねて、写真と自宅住所をネットにアップされたとしたら、どう思いますか。