特別展「渋沢栄一が生きた時代 田無・保谷 歴史のあゆみ」開催中
東京都の文化事業「東京文化財ウィーク2021」の一環として、西東京市郷土資料室の特別展「渋沢栄一が生きた時代 田無・保谷 歴史のあゆみ~西東京にのこる渋沢栄一 縁の人々の志を追う~」が10月30日(土)から11月28日(日)まで、市内西原町4丁目の西東京市郷土資料室で開かれている。(写真は、郷土資料室)
「東京文化財ウィーク2021」は、文化の日を中心に、都内全域の文化財の公開や特別展、講座・講演会、現地鑑賞会などを、都をはじめ市区町村やNPOなどが実施するイベント。文化の日に会場をのぞいてみた。展示内容は
「渋沢家“縁の人たちと田無・保谷”」
1 渋沢栄一の生涯をたどる
2 渋沢成一郎・振武軍頭取、田無に現れる
3 渋沢敬三と保谷にあった民族学博物館
「渋沢栄一が生きた時代の田無・保谷」
4 武州世直し一揆
5 振武軍、田無屯集
6 神奈川県/埼玉県から東京府へ
となっていて、関連する写真類、年表、説明文等の資料で構成されている。
会場の郷土資料室は旧西原小学校の校舎を利用したものだが、教室1つ分がこのパネル展示に充てられていた。
「振武軍」は田無で結成
NHKの大河ドラマ『青天を衝け』が佳境を迎えていることもあり、その主人公である渋沢栄一をキーワードに、明治初頭の西東京市周辺の歴史を描こうというのが展示意図だろう。
2, 5 の「振武軍」は幕末、新政府に恭順せず上野で戦った「彰義隊」の分派。渋沢栄一のいとこにあたる成一郎は「彰義隊」の頭取でもあったが、隊内の意見の対立から上野を去り、田無で「振武軍」を結成した。青梅街道沿いの西光寺(現・総持寺)を本営としている。400名ほどが集まったという。展示ではその軍旗の写真を見ることができる。
その後、振武軍は新政府軍と「飯能戦争」を戦うも、彰義隊と同様あっという間に敗北する。だが成一郎は逃げのび、榎本武揚、土方歳三らと合流、箱館まで転戦し、最終的には新政府に捕らえられた。
ドラマでも描かれていたように、この間、渋沢栄一はフランスに派遣されていて日本にいない。それがなければ、彼の人生はまったく違ったものになっていたことは、想像に難くない。
ともあれ、振武軍の拠点が田無に置かれたということが、当時の交通の要衝だった田無という街の特徴をあらわしている。これは田無の奥深さといえないだろうか。
民族学博物館や御訴門事件も
特別展示は他に、3 栄一の孫である敬三がつくった「民族学博物館」について、4 自由民権運動のさきがけともいえ、田無が舞台となった明治3(1870)年の「御訴門事件」についてなどがある。
せっかくの特別展示なので、説明文等をホームページで公開していただけないだろうか。
会場は西東京市郷土資料室・企画展示室(西東京市西原4-5-6)。開催時間は午前10時から午後5時まで。休館日は月・火曜。
(杉山尚次)
【関連情報】
・東京文化財ウィーク2021 西東京市郷土資料室特別展 「渋沢栄一が生きた時代 田無・保谷 歴史のあゆみ」(西東京市Web)
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