幼稚園児の送迎バスに置き去り防止装置 清瀬市がいち早く独自補助事業
清瀬市は10月6日、市内の幼稚園送迎バス内に、置き去り防止装置を設置する独自の補助事業を実施すると発表した。同時に手作りの啓発マグネットシートを各園に配布する。「国や都に先駆けて実施する送迎バスの安全確保緊急対策」としている。
清瀬市が補助するのは、愛知県の車部品メーカー、加藤電機株式会社(本社・愛知県半田市)が開発した車内安全装置システム。同社の資料によると、この装置を取り付けると車両のエンジン停止後にブザーが鳴り、車両後部のスイッチを操作して初めて鳴り止む仕組み。運転手や添乗スタッフらが後部座席まで必ず行くように仕向け、見逃しがちな後部座席部分も目視確認できるようにした。
もうひとつ、超音波センサーや振動センサーを設置して、人の動きや振動があればアラームが鳴って知らせてくれる。同社は「二重の安心機能を搭載」と謳っている。
装置の本体は103×68×34ミリ、重さ約110グラムの小型サイズ。さらにスピーカーやスイッチ類で構成され、メーカーの希望小売価格は5万8850 円(税込)となっている。
問い合わせに対して同社はメールで「ヒューマンエラー防止とセンサーおよび通信機能などを備えた製品は現時点では弊社システムのみと認識」「弊社システムは自社独自開発品」とした上で、「全国からすでに数百台を超えるご予約を賜っております」と回答した。同製品の発売日は10月7日。しかし9月末には東京都台東区の幼稚園で2台の送迎バスに設置し、試験運用しているという。
清瀬市は取り付け料を含め、この装置1台につき上限10万円まで補助する。市内の幼稚園7園のうち、送迎バスを運行している6園の計24台が対象となる。事前のヒアリングを踏まえ、事業費は計190万円を計上し、市の予備費から支出予定。市内の保育園計24園は市立・私立とも送迎バスを運行していないという。
市内の幼稚園に配布するマグネットシートは職員が作成。バス外側のドアノブ付近に貼り、運転手や添乗員らが乗降のたびに目に付くようにしてもらう。
置き去り事故後、国から関係機関や自治体に安全確認の徹底が通知され、緊急対策が検討された。東京都も事故後に緊急点検を開始し「実効性の高い方策」(小池知事)を検討中。特に置き去り防止を支援する安全装置仕様の検討は、国土交通省が10月4日、第1回のワーキンググループをオンラインで開催した。ワーキンググループの8人の委員のなかに、全国自動車用品工業会副理事長で、加藤電機社長の加藤学氏も名を連ねている。
清瀬市子育て支援課は国や都の動きを踏まえつつ、報道資料の中で「送迎バスを利用する園児の安全をいち早く守るため、国や都に先駆けて、市内で使用する送迎バスの安全確保緊急対策を実施します」と述べている。
西東京市も置き去り事件後に、安全対策確認のため市内幼稚園の実態調査を実施。「危険な状態は確認していない」(幼児教育・保育課)という。今後は国や東京都が検討中の緊急対策を見守り具体策を検討する方針だ。
(北嶋孝)
【関連情報】
・幼稚園送迎バス安全確保緊急対策について(2022年10月6日発表)(清瀬市)
・ホーネット車内置き去り防止システム(加藤電機)
・送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置の仕様を検討します~ヒューマンエラーを補完する置き去り防止を支援する安全装置の仕様を検討します~(国土交通省)
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車内置き去り防止システムのイメージ図と機器類の写真を追加しました。ともに開発元の加藤電機提供です。(北嶋)