
たくさんの笑顔がそこに 西東京市で「スポーツのつどい」 動画を「ユーチューブ」に公開
「障がい者(児)とスポーツをたのしむつどい」が10月2日、保谷小学校の校庭で3年ぶりに開かれました。家族や友人ら約250人が晴天のもと、一緒にスポーツを楽しみました。そのハイライトシーンを収めた映像(3分20秒)が完成し、動画サイト「ユーチューブ」で10月10日に公開されました。イベント開催や動画制作に携わった西東京市障がい者福祉をすすめる会の根本尚之さんが報告します。(編集部)
「みなさん、ちからいっぱい楽しみましょう」。こう呼び掛けた実行委員長の開会宣言のなか、3年ぶりに「西東京市障がい者(児)とスポーツを楽しむつどい」(スポーツのつどい)が開催されました。興味深々な様子で慎重にボールを投げるボッチャ、日頃の鬱憤をボールに込めて思いっきり打つティーボール、こんなに難しいのかと実感する車イス体験、勢い余って自分も転がりそうになる大玉転がし、ホイッスルがなってもまだ投げ続ける玉入れ、人差し指と中指をつかってパンをつかむコロナ禍でのパン食い競走などなど、ダイジェスト動画を公開しましたのでぜひ、ご覧ください。障がいがあるとかないという区別なく、たくさんの笑顔がそこにあります。
スポーツのつどいの基本姿勢
スポーツのつどいは、障がいをもった人たちが主役の、参加者全員が心から楽しめるイベントとして1985年から毎年続けてきました。このような障がい者のイベントは他にもありますが、その多くはどうしても障がいをもつ人たちのためにやってあげるというような運営になりがちです。「スポーツのつどい」では障がいをもった人たちが参加し、楽しむことを最優先で考えています。
コロナ禍で疲弊した私たち
新型コロナウイルス感染症の蔓延のため、スポーツのつどいは2年連続で中止となりました。障がいをもった人たちはその間、通っている作業所などの利用制限などがあり、自宅で過ごす時間が多い状況が続きました。生活のリズムは乱されて、仲間とのつながりも希薄となり気分的に落ち込む人が多かったようです。また、自宅での介助など家族の負担も大きく、家族との関係も変化が生じてきた人もいたようです。新型コロナウイルス感染症の蔓延が及ぼす影響は、こうして社会的弱者の生活を蝕んでいるということを強く感じる3年間でした。
地域社会のありよう
スポーツのつどいの参加者は、障がいをもった人、その家族、障がい者の支援団体、障がい者福祉サービスを提供する事業者、少年野球のみなさん、ティーボール連盟のみなさん、保谷高校吹奏楽部、数多くのボランティア、そして市役所の障がい者福祉やまちづくりに関係する部署のみなさん、西東京市社会福祉協議会、都議会議員、市議会議員、教育長、西東京市体育協会、保谷小学校の先生方、ラジオ体操連盟などたくさんの人たちがそれぞれの立場で競技の運営や競技参加、アトラクションなどに参加していただいています。管理とか規律とか計画通りとか忖度といった言葉とは真逆の、自主性を重んじた、自由でゆるく、そして楽しいイベントです。
しかし、それが地域社会で多様性を認め合いながらみんなで一緒に暮らしていくということなのではないでしょうか。
来年も!
閉会式では参加者に感想を述べてもらいましたが、「楽しかった」「また来年も参加したい」と満面の笑みで答えていただいたのがとても印象的でした。自分はたくさんの人たちとつながっていることが実感できる場所、そんな場所がいま地域では必要なのだと思います。
準備から当日、また片付けまで関わった実行委員、ボランティアのみなさんに感謝をしつつ、また来年へ向けての準備が始まります。来年はもっともっと多くのみなさんの笑顔が見られることを願っています。
【関連情報】
・第36回西東京市障がい者(児)とスポーツを楽しむつどい(YouTube)
【筆者略歴】
根本尚之(ねもと・なおゆき)
1959年生まれ。西東京市在住、会社員。1996年に息子が脳性麻痺の障がいをもって生まれたことをきっかけに、民間企業に勤務の傍ら、西東京市で障がい者支援の活動をつづける。西東京市障がい者福祉をすすめる会会長、喫茶コーナーふれあい代表、西東京市地域自立支援協議会委員、西東京市社会福祉協議会評議員、社会福祉法人さくらの園評議員、社会福祉法人田無の会評議員など。