最大の争点はやっぱり「生活」
天災と人災が引っ切り無しに起こりながら、その予防策も修復事業も遅々として進まない。安倍政権は、デフレ克服・経済優先を言いながらその成果は乏しい。本気の目標は新安保体制と憲法改正のようだ。このありさまを見ていて痛感するのは、政治の最大の課題と争点はやっぱり「生活」の安全・安心の確保に絞って議論すべきだということである。
注目された北海道5区の衆院補欠選挙で、勝った自民党の和田義明氏は、勝因について「経済がまず大事だという声が届いたのではないか」(北海道新聞)と語っている。野党統一候補の池田真紀氏は、社会保障の充実という生活問題も訴えたが、なんといっても統一目標は安保関連法廃止だった。
マスコミの「出口調査」によると、投票者の期待する政策は「景気」や「社会保障」がトップになるのが特徴だったようだ。野党候補が掲げた安保関連法にもかなりの関心は持たれた(NHK)が、やはり争点すり替えの目くらまし作戦を突破できなかったのかもしれない。
与野党のキーワードは、一見すれ違っているように見えるが、実は重要な共通点がある。それは、いずれも国民の「生活」に直結した問題だということだ。デフレ・不況・貧困は今現在の生活を脅かしつつあるが、新安保体制はやや将来の生活・生命に関係する。ではアベノミクス、安保関連法は、それぞれ国民生活の安全・安心確保に役立つのか。どちらも大いに疑問があるのではないか。
今回の補欠選挙で自民党候補は「経済」で勝ったというが、本当にそうなのか。勝てるような経済状況ではないだろう。マスコミ評も「強固な組織票」のおかげだと言うだけだ。多分、自民党自身もそう思っている。経済で勝つには、これからの政策が肝心だと考えているはずだ。
参院選では、野党は、「現在の生活」でアベノミクスと、「将来の生活」で安保関連法・憲法改正と闘うことを目標にしてはどうか。野党連合は、その二つで共通の対抗目標を持てれば、勝つことができるかもしれない。
しかし自民党の経済政策は、相当に手ごわいものになりそうだ。アベノミクスは、成長回復のためには賃金引き上げと消費拡大が必要だと気がついて必死に模索している。社会保障充実が国民の強い願いだとも分かってきた。防災対策の社会資本が不足していることも、熊本地震で改めて分かった。これらの対策はみな、国民生活の改善のために必要であり、経済成長にも役立つ。参院選前に決められる「一億総活躍プラン」には相当な対策が組み込まれるだろう。
ただしアベノミクスの強化のために最大の難関は、財務省の壁である。財政危機論による緊縮財政の壁をまず突破しなければ、なにもできない。それができそうなのは、いまの政治家では多分安倍首相以外にはいないだろう。ブレーンも揃っている。どこまでやれるかが見ものだ。野党でそれができるのは、小沢一郎氏だけかもしれないが、ブレーンが不足していて、財政危機論の呪縛にも弱い。(了)
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