新型の特殊詐欺にご用心! 田無署管内で「怪しい電話」増える

投稿者: カテゴリー: 暮らし オン 2020年7月13日

田無警察署

 見えない脅威は新型コロナウイルスだけではない。電話やメールで偽の話を信じ込ませ、現金やカードをだまし取る「特殊詐欺」の被害が続いている。警視庁によると、今年1月から5月末まで都内の被害は1202件、約24億9500万円に上るという。西東京市と東久留米市を管轄する田無警察署管内はどうだろうか。最近管内の住民が「怪しい電話」を受けたが、なるほど巧妙な手口で誘導してくることがわかった。詐欺にひっかからないためにも、やりとりの一部始終をまとめて報告する。(編集部)

 

 

 6月某日の午後、筆者の自宅電話にそれはかかってきた。筆者は不在、妻が対応した。

男「もしもし、こちらは田無警察ですが、〇〇さんのお宅ですか? ××さん(筆者の名前)はご在宅でしょうか?」
妻「出かけていますが…。どういうご用件ですか?」
男「失礼ですが、奥様でいらっしゃいますか?」
妻「はい」
男「先週の金曜日、オレオレ詐欺グループが逮捕されたのは、ご存じでしょうか」
妻「いいえ」
男「逮捕されたのは18名なんですが、そのなかに元銀行の職員がおりまして、通帳やキャッシュカードなどの157名分のリストが見つかったんです。そのなかにご主人の○○××さんのお名前がありましてね、それでご連絡を差し上げたんです」
妻「ええ?」
男「まず、通帳がお手元にあるか、確認したいのですが、通帳は奥様が管理しておられますか?」
妻「本人が管理していますが、どこの通帳でしょう?」
男「ゆうちょ銀行です」
妻「本人に確認してみますので、そのリストに載っている口座番号を教えてください」
男「押収した証拠は捜査2課のほうにあるので、ここにはないんですよ」

 

 実は最初に、男は筆者の名前を読み間違えていた。そのとき妻の脳裏には「?」が浮かんだようだが、この「捜査2課」で、これはかなり怪しい電話であると感じた。しかし、「警察から」ということには動揺するし、筆者には定期券や携帯の紛失騒ぎを起こした「実績」があったので、「もしや」という危惧もあった。

 

妻「主人が帰りましたら、連絡させますので、ご連絡先を教えてください」
男「わかりました。私は田無警察署生活安全課のTといいます。電話は042-4●●-●110です」

 

 通話はここで終わった。

 妻はまずは筆者に連絡をと思い、電話した。だが、仕事中なのか出ない。
 通帳のありかはわかっているので、その存在は確認したが、釈然としない。さきほどの電話番号が気になる。末尾が「110」で、いかにも警察署の電話らしいが、掛けてみることにした。案の定「お掛けになった番号は…」で、つながらなかった。

 オレオレ詐欺であることを確信した妻は、田無警察署の番号をネットで調べて電話して、いきさつを話した。対応した警察官は次のように語った。

 

 「それは間違いなく、オレオレ詐欺ですね。生活安全課にTという者はいません。最近▲▼町(筆者の居住地区、ひばりヶ丘駅近く)あたりで、増えているんですよ。とにかく、そういう怪しい電話があったら、会話しないことが大切です。すぐに電話を切ってください」

 

 オレオレ詐欺が「▲▼町」あたりで増えているというのは初耳で、気になる情報だが、それ以上のことはわからない。この後、グループがどのような手口で使うのかは不明だが、警察をかたることで、金品や家族関係などの情報を入手しようとしていることは確かだ。

 

警視庁犯罪抑止対策本部のツイートから(7月9日の特殊詐欺被害認知状況とアポ電の状況)

 

 ほとんどの人は、自分は詐欺にひっかかるわけはない、と信じている。しかし、それはありえないと考えたほうがよさそうだ。この例を見ても、後から考えるといくつかの判断ミスがある。

 まず、電話が掛かってきたときディスプレイは「表示圏外」だったのに、受話器を取ってしまったこと。最も有効なオレオレ詐欺対策は、常に留守番電話にしておき、知らない電話には出ないことだと言われている。今回の例をみても、それは確かな対策だと思える。

 次に「警察から」ということで、思わず相手をしてしまったが、警察の言うように会話すべきではなかった。やむをえなかったとも言えるが、出なければ防げたといえる。ただ、通帳が「ある」とも「ない」とも言わなかったのは正解だったと思える。

 そして、田無警察署に電話してTという人物を確認する前に、指定の番号に掛けてしまったこと。電話する順番を間違えてしまったわけで、小さくないミスだろう。電子メール詐欺だったら、大変なことになっていた可能性が高い。

 ということで、オレオレ詐欺は他人ごとではないし、だれでもミスすることを実感した出来事だった。警察を名乗る特殊詐欺があることを知っていただき、本例を参考にしていただければ幸いである。なお、本例は「預貯金詐欺」に分類されるが、会話ではグループも警察も「オレオレ詐欺」を使っていたので、そのままの表記とした。
(※ことの性格上、匿名でのレポートとさせていただきます。地名も伏せます。)
(田無署管内の住民)

 

【関連情報】
・田無警察署(警視庁
・特殊詐欺とは(警視庁
・警視庁犯罪抑止対策本部(twitter

 

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