一般会計と介護保険特別会計の補正予算案が異例の「採決保留」 西東京市議会の予算特別委員会
西東京市議会の予算特別委員会(藤田美智子委員長)が9月16日開かれ、前日に続き一般会計補正予算案など6議案を審査した。同市国民健康保険など4件の特別会計補正予算案は全員の賛成で可決した。しかし一般会計と介護保険特別会計の二つの補正予算案は異例の「採決保留」となった。両予算案には介護保険料の天引き処理ミスなどの事務処理費約580万円が計上されているため、18日に明らかになる市長らの「責任のとり方」をみて態度を決めたいと各会派の意見がまとまった。
8月分の介護保険料の天引き処理ミスで、市内の約4万2000人に影響が及んだ。このため本来の徴収額より天引き額が多かった場合は本人に還付し(戻し)、少なかった場合は追加納付を求めることになる。予算特別委員会初日の9月15日、厚生労働省や日本年金機構側との協議、調整の経過が、冨永雄二氏(自民)らの相次ぐ質疑で明らかになった。
特に追加納付は、約3万1600人が金融機関の窓口などに出掛けることになるため、天引き徴収が出来ないかどうかが問題になった。西東京市の池澤隆史副市長のほか、萩原直規健康福祉部長、河野源介護保険担当課長、総務法規担当職員(弁護士)も同行して9月11日、厚生労働省老健局の介護保険計画課長を訪ねてこの問題を協議した。
その結果(1)介護保険法上の対応としては、今回の差額分は一度、普通徴収の方法をとる必要がある(2)普通徴収で納付してもらえない場合、来年度(2021年)8月の年金天引きによる特別徴収も検討できるのではないか(3)そうすると、納付期限から1年間支払いがない場合に生じる(介護サービスの)給付制限を避けられるのではないか(4)納付期限を過ぎると加算される延滞金は、市の判断で処理できるのではないか-などが確認できたという。
萩原部長、河野担当課長は9月14日に日本年金機構を訪ねて今年度中の天引き処理について協議したものの、「今年度中はシステム的に対応できない」との機構側の回答は変わらなかった。
丸山浩一市長は「多くの方々にご迷惑をかけた」と謝った上で、「今後は厚労省老健局、日本年金機構、それに(機構への指導監督権限がある)厚労省の年金局とも協議を進めたい」と述べた。池澤副市長は厚労省老健局と協議した内容を説明し、「市民のみなさまの負担を極力少なくするのが課題となります。より丁寧な対応に努め、精一杯努力する」などと話した。萩原部長も追加納付について「厚労省の理解も得て、最後の詰めの調整を図りたい」と続けた。
すでに約4万2000人にお詫びとお知らせの文書を発送した。これら当面の経費303万2000円は当初予算の予備費で賄う。その後の対応にかかる580万5000円が、今回提出された一般会計と介護保険特別会計の補正予算案に計上された。対策費は計883万7000円に上る。
18日に示される市の「責任の取り方」によって、各会派の意見が分かれるかもしれない。採決の行方はまだ見通せない。
(北嶋孝)
【関連情報】
・令和2年8月分の介護保険料の特別徴収(年金からの天引き)処理の誤りについて(第3報)(西東京市Web)
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