市長60%、副市長50%、教育長30%の減給5ヵ月 西東京市の特別職3人が「不適切な事務執行」で責任 「採決保留」の補正予算案は2件とも可決

投稿者: カテゴリー: 市政・選挙 オン 2020年9月19日

 介護保険料の天引き処理の誤りなどで2件の補正予算案が「採決保留」となっていた西東京市議会で9月18日、丸山浩一市長ら特別職3人の給料月額を5ヵ月間、60~30%減額する条例案が提出、可決された。西東京市始まって以来、最も重い市長らの減給となった。同条例案可決を受けて「採決保留」となっていた一般会計と介護保険特別会計の各補正予算案は、予算特別委員会とその後の本会議でともに可決、成立した。(写真は、頭を下げる丸山市長=前列右と池澤副市長)

 

 丸山市長は提案理由の説明や質疑の中で、介護保険料の天引き処理の誤りや生活保護の住宅扶助の認定・支給漏れなど「不適切な事務執行」を重ねたことに対し「多大なご迷惑をかけ、市民のみなさま、議会のみなさまとの信頼関係を損ねたことに対して責任を明らかにする」と述べた。

 

 減給総額は940万円

 今回可決された「西東京市長らの給料月額の特例に関する条例」は、丸山市長が給料月額60%、池澤隆史副市長50%、木村俊二教育長30%の減額5ヵ月とする内容。減給総額は5ヵ月間で計940万円になるという。池澤副市長は「西東京市では過去に例のない減給」と述べた。丸山市長らの減給は2017年3月(20%、3ヵ月)、2019年9月(10%、1ヵ月)に次いで3度目。

 

答弁する丸山市長(前列右)と池澤副市長(左)

答える木村教育長(前列左,)

 

 昨年9月、不適切な事務執行で市長らが問責決議を受け、減給となり、再発防止を約束したのに、1年経たないうちにまた不祥事が起きた。特に介護保険料の天引きミスは4万2000人に影響が及んだ。しかも市民へのお知らせや追加納付と還付の新たな事務処理費は計883万7000円と見込まれている。

 

 丸山市長らは、「事案の重大さ」に加え「事務執行の誤りから生じた新たな財政支出」「本来なら必要のない負担を市財政に強いる事態の責任の大きさは、過去に例がない」と繰り返しお詫びしてきた。この日も、追加納付が生じた市民に対してより丁寧な対応に努めたいとして「訪問対応など、市民と直接話すことも考える」とも述べた。

 

 減給条例案に賛成したのは自民(9)、公明(5)の計14人。共産(4)、立憲フォーラム(3)、生活者ネット(2)、無所属(4)の計13人は反対に回った。

 

 「教育長の減給は重すぎる」

 今回の減給は、特別職3人が協議して決めたと、当事者3人が交互に説明した。しかし副市長や教育長の人事は、議会の同意を前提としても、市長が選任、任命する。丸山市長も「最終的には私が判断した」と説明した。遣り取りが進むと、教育長の減給が重すぎるのではないかとの指摘が相次いだ。

 

 今回影響が大きかった介護保険料の天引き処理ミスは、市部局の管轄だった。教育委員会で起きたのは、議会や市民説明会に提出した資料2点の誤記、脱落など。昨年に続く不祥事としても、「減給30%、5ヵ月」はこれまでの事例と比べると「重い処分」であることは間違いない。

 

 質疑や討論はこの点に集中した。「市部局と教育委員会の問題を分けて考えるべきだ」「過重な責任を教育長に負わせている」「悪しき前例となり、禍根を残すことになる」「市部局の誤りの連帯責任を(教育委員会に)負わせている」「むしろ市長がすべての責任を負うべきではないか」…。反対意見が繰り返し述べられた。

 

 信頼回復の道

 今回の介護保険料天引きミスの処理のため「新たな費用負担」が生じた点もこれまでと違っている。そのため「不祥事の責任をとって減給するのは分かる。しかしそれと、新たな経費をどう負担するかは別個の問題ではないか」。田村広行氏(無所属)はペナルティーと経費負担を分けて考えるべきだと問題提起した。

 

 森輝雄氏(無所属)はその点を踏まえ、減給総額940万円と、新たに必要となった事務経費約883万円を対比しながら、「今回の減給は(不祥事で発生した)損害は(減給分で)補填すればいい、ということなのか。減給はあくまでペナルティー。883万円の損害はどう補填するのか」など、実例を紹介しながらさまざまな方法があると述べた。

 

 

 事務処理の誤りによって、過去に例のない市民への甚大な影響が生じた。ヒューマンエラーは起こりうるとの前提で、その発生を防ぐための手立てを考え実行するのはもちろん、市民の負担を少なくする努力が関係部署で続いている。しかし、問題の責任は免れない。影響の範囲、程度、費用負担などを考慮しながら、どのように果たすのか。納得できる事実と根拠を示すことが、これからも求められる。

 丸山市長は9月15日の予算特別委員会で「介護保険の事案解決のため先頭になり、汗をかいてまいります」と決意を示した。「不適切な事務執行」が起きても、その後の対応が逆に、なるほどと納得が得られ、市政への信頼を取り戻す機会になるかもしれない。トップの決意だけでなく、市職員や議会の対応も併せて、多くの市民が問題の行方を注視しているにちがいない。
(北嶋孝)

 

【関連情報】
・西東京市議会インターネット中継(西東京市Web
・令和2年8月分の介護保険料の特別徴収(年金からの天引き)処理の誤りについて(第3報)(西東京市Web

 

北嶋孝
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市長60%、副市長50%、教育長30%の減給5ヵ月 西東京市の特別職3人が「不適切な事務執行」で責任 「採決保留」の補正予算案は2件とも可決」への1件のフィードバック

  1. 地方議員
    1

    市長他三役の処分の他、担当した職員たちも厳罰処分にしなきゃダメだろ!
    担当部課長は停職3ヶ月!
    担当者職員は停職6ヶ月!

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