西東京市の池澤市長、減給50%3ヵ月 介護保険料の特別徴収誤りなどで条例可決
西東京市議会は第3回定例会最終日の9月27日、池澤隆史市長の給料月額を10月から3ヵ月間、50%減額する条例案を全会一致で可決した。この条例案提出の理由について池澤市長は、昨年8月の介護保険料特別徴収の誤りなど一連の「不適切な事務執行」の責任を明らかにするためと説明した。誤りが起きたのは、池澤市長の副市長時代。昨年9月には当時の丸山浩一市長、木村俊二教育長とともに給料月額を5ヵ月間減額する条例が成立した。しかし減給途中の同年12月半ば、副市長を辞任して市長選挙出馬を表明。今年2月に当選したあと、残りの減給分の扱いも含めて、徴収誤りなどの責任問題が懸案となっていた。(減給条例を可決した西東京市議会)
介護保険料を年金から天引きする特別徴収の処理ミスによる影響は広範囲に及び、天引き対象者4万5000人のうち4万2000人、93%に誤った保険料を通知した。このうち追加納付が必要になったのは約3万1600人(計4600万円)、還付は約1万400人(計5700万円)に上ることが分かった。ほぼ同じころ、生活保護の住宅扶助の認定・支給漏れや、教育委員会による議会提出資料の誤記など「不適切な事務執行」が重なったこともあり、減額幅は市長60%、副市長50%、教育長30%となって、市始まって以来の厳しい内容となった。
池澤市長は「市民、議会のみなさまの市政に対する信頼感を損ねる結果となった。改めて市長の責任を明らかにする」と述べた。そのうえで「今年8月の特別徴収(年金からの天引き)などによって作業が進み、まだ残っている方々は12人になった。一定の目途がついたと考え、条例案を上程したが、最後の一人まで誠意を持って対応します」と説明。「昨年副市長を退職したあと(残り3ヵ月の減給分を)供託することも検討したが、選挙となると寄付扱いとなり、寄付は禁止されていて出来ないことが分かった」と付け加えて対応がこの時期になったことに触れた。
萩原直規健康福祉部長によると、9月27日現在で未処理の12人のうち、追加徴収対象の5人(計5万9500円)は全員、訪問・依頼済みで「9月中に完了予定」という。
還付対象は7人(計4万8500円)で、本人死亡が5人。このうち相続放棄が2人、受け取り選任待ちが3人のほか、転出1人、住所はあっても居住実態がない対象者1人などと説明した。
柴原洋総務部長によると、昨年度の条例による市長ら3人の減額総額は約940万円。池澤市長が12月に副市長を退職した影響額は約109万円。今回の50%3ヵ月の減額分は148万5000円となり、40万円ほど影響額を上回る。今回の新たな減額分を追加した減額総額はこのため、約980万円になるという。
市の対応経費は萩原部長によると、昨年8月に4万2000人全員に宛てた「お知らせ」発送分が303万2000円。これは予備費を充てた。9月の一般会計補正予算で580万5000円を計上。これは還付通知書と追加徴収納付書の発送経費など。8月と9月に担当以外の職員も処理作業に当たった人件費が38万円余。10月以降は、高齢者支援課職員の42人に兼務発令し、介護保険担当5人とともに処理作業に当たった。説明された数字を積み上げると、計921万7000円となる。
質問や意見が相次いだ。納田里織氏(無所属)は「池澤市長が『不適切な事務執行』で減給になるのは副市長時代を含めて今度で4回目。2度と繰り返してほしくない。風通しのいい職場環境を作ってほしい」と要望。田村広行氏(無所属)は「減額を3ヵ月50%にした理由はなぜか。お金の問題だけでなく、事務処理をこう変えていくいう考えを示してほしい」と質し、小峰和美氏(無所属)は「もっと早く対応すべきだった」と惜しんだ。
池澤市長は「(職員が)公務の自覚を持って仕事する組織を築きたい」と述べた上で、「職員には私のメッセージをメールで伝え、市民のみなさまには市報で特別徴収誤りの対応結果をお伝えしたい」と話した。
市長の給料月額は現在99万円。50%減となって今年10月~12月は毎月49万5000円が支給される。しかし今回の条例第2条に但し書きがあり、「期末手当や退職手当の支給についてはこの限りではない」として、減額対象から除外している。
(北嶋孝)
【関連情報】
・付議案件・結果(令和3年第3回定例会)(西東京市Web)
・西東京市議会インターネット中継(西東京市議会録画映像)
- 情報欄も4月以降の更新停止 - 2024年3月24日
- 『北多摩戦後クロニクル』3月19日発売 「ひばりタイムス」連載記事を書籍化 - 2024年3月8日
- 東京新聞が「ひばりタイムスの10年」紹介 メディアに掲載されたひばりタイムスの活動は… - 2024年2月27日