戦後70年の夏 非核・平和への取り組み続く

投稿者: カテゴリー: 市政・選挙暮らし オン 2015年8月11日

 戦後70年の暑い夏が続いている。70年前は戦火におびえ、被爆状況を強いられた夏でもあった。戦争と平和、被爆と非核をめぐる[2015年]8月前半の西東京市の動きを追ってみた。

 

原爆小文庫

「原爆小文庫」のミニコーナー(ひばりが丘図書館)

 西武新宿線田無駅前のアスタ・センターコートで8月3日から7日まで、「非核・平和パネル展」が開かれた。非核・平和をすすめる西東京市民の会と西東京市の共催。市内の空襲被害、戦時下の暮らし、今も残る戦争の跡、柳沢に落とされた長崎と同型の原爆模擬爆弾の資料などが展示され、買い物客の視線を引き止めていた。

 

非核・平和パネル展

戦災の惨禍を示す非核・平和パネル展(アスタ・センターコート)

 

 「広島・平和の旅」は、一泊二日。西東京市は毎年、平和事業の一つとして原爆犠牲者を慰霊する平和記念式典に市民を派遣する。担当の協働コミュニティ課によると、今年は小学生、中学生ら6人が参加。丸山浩一市長も8月6日、広島で開かれた平和記念式典に参加。現地で一行と懇談した。

 参加者は、平和の旅で学び、感じたことなどを8月22日(土)午後1時30分から西東京市民会館で報告する。その後、長崎の原爆投下を扱った映画「この子を残して」(木下惠介監督、加藤剛、十朱幸代ら出演)が上映される。

 

 西東京市職員労働組合や市民団体が6日昼、市役所保谷庁舎前で「反核座り込み」を行った。反戦・反核・平和の取り組みを進めている「三多摩平和運動センター」が毎月、原爆が投下された6日か9日に三多摩各地を持ち回りで実施している運動。437回目の今回は西東京市が会場となった。

 

反核座り込み

挨拶に立った市職労の後藤紀行委員長。後方に「非核・平和宣言都市」の看板。

 

 市職労の後藤紀行委員長は「戦後70年。最近の立憲主義に反する動きに危機感が募ります。公務員として、戦前の歴史を繰り返さないためにも平和を守りたい」などと挨拶。元保谷市長の都丸哲也さんは、保谷市が「憲法擁護・非核都市」だったと振り返り、「憲法99条で大臣や国会議員、公務員は『憲法を尊重し擁護する義務を負ふ』とあるのに、最近の安部首相たちは言葉と裏腹に逆のことをしている」と批判した。このほかSAVEザ・9条 SAVEザ・憲法 西東京市民の会、建設労働者らが集まる東京土建一般労組西東京支部、西東京・生活者ネットワークなどの代表が次々に、国会で審議中の安保関連法案に危惧の念を表明した。

 西東京市の図書館には広島・長崎などの原爆関連資料を集めた「原爆小文庫」がある。旧保谷市時代の1976年、「原爆体験を伝える会」などの活動に参加していた市内在住の長岡弘芳さんの働き掛けで、長岡さんの寄託図書などを基に旧下保谷図書館に開設され、その後ひばりが丘図書館に移った。長岡さんは「原爆文学史」「原爆文献を読む」などを著した評論家・詩人。中央図書館によると、当初280冊で始まった小文庫は市民の寄贈や購入などで関連資料が増えた。39年後のいまは図書や視聴覚資料など計3544タイトルに上り、日本の図書館でも著名な文庫の一つとなっている。

原爆小文庫

原爆小文庫の常設本棚(手前側)。書庫にも資料が保存されている(ひばりが丘図書館)

 

 ひばりが丘図書館は「小文庫」の常設本棚を設けているが、夏に特別展示して関連図書などを紹介してきた。今年も入り口正面の視聴覚資料棚の隣にミニコーナーが作られている(写真はトップに掲載)。

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 8月15日午前、市民団体が開く「ピースナウ」集会が東京都立東伏見公園で開かれる。市内在住の30人が発起人に名を連ねた。「70年目の敗戦記念日に、憲法9条と平和の意味をかみしめ、『変えるな戦争する国へ』の意思表示をしましょう! 今、1人ひとりが伝えたい思いをもつて、集まりましょう!」と呼び掛けている。

 西東京市は旧田無市と保谷市が合併して2001年に誕生した。保谷市は1982年に「憲法擁護・非核都市の宣言」、田無市は1984年に「非核・平和都市宣言」した経緯があり、合併と同時に、「西東京市平和推進に関する条例」を制定。翌年「非核・平和都市宣言」をまとめた。市内の空襲で多数の死者が出た4月12日を条例で「西東京市平和の日」と定め、「平和施策を市民の協力と参加のもとに推進する」として、毎年一連の平和事業を実施している。
(北嶋孝)

 

【関連情報】
・市の平和推進の取り組み(西東京市Web

 

 

北嶋孝
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