金木犀ときのこ帝国【Photo歳時記】
恥ずかしながら、つい最近まで金木犀の香りというのがわからなかった。70年代末、堀内孝雄が「君のひとみは10000ボルト」という曲を歌い、そこで「金木犀」が出てくるのだが、それが秋の花だということすら知らなかった(作詞は谷村新司、もっともこの曲は秋という感じがしないのだが、それはおくとして)。
沈丁花はああ春が始まる、という感じでずっと気になっていたが、秋の匂いは意識になかった。ところが自分の人生が秋というか、もはや冬かもしれないけれど、そういうところに差し掛かったせいなのか、やっと金木犀の香りを知った。というか意識するようになった。
そしてここ数年、女性シンガーがちょっとたよりない声で歌う「金木犀」の曲が、秋になるとラジオから流れることに気づいた。
今の時代はすぐに調べがつく。それは、きのこ帝国というグループの「金木犀の夜」だということがわかった。作詞・作曲はボーカルの佐藤千亜妃。2018年の作品。「感傷的」なんていう直截的な言葉はリリックとしてどうよ、と普通は思うのだが、この曲に限っては、みごとにはまっていると思う。金木犀の香りもこの曲も、微妙な切なさが良い。最近では、あいみょんの「マリーゴールド」とならぶ、花歌の名曲だと思った。
そんなこんなで、今年も自宅のすぐ近くにある金木犀が咲いた。ピークは過ぎたが、けっこう遠くまで香っている。
(杉山尚次)(写真は筆者撮影)
【関連情報】
・堀内孝雄「君のひとみは10000ボルト」(YouTube)
・きのこ帝国「金木犀の夜」(YouTube)
・あいみょん「 マリーゴールド」(YouTube)
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