公園予定地

市民主導でユニークな公園づくり 小平市の合気道場跡地 整備費にクラファンを利用

投稿者: カテゴリー: 環境・災害 オン 2022年10月21日

 小平市にあった合気柔術の道場跡に土地の提供からデザインまで市民主導でつくるユニークな公園計画が進んでいる。整備費を調達するために市が実施したクラウドファンディングには全国の門人や武術ファンたちから目標を超える寄付金が集まった。地域住民や門人たちは来年度完成予定の公園を「合気の聖地」にしたいと準備を進めている。(写真は日本庭園の趣を残す公園予定地。筆者撮影)

 

伝説的な武術の達人

 

 公園がつくられるのは、東京学芸大学近くに位置する小平市上水南町2丁目の住宅地の一画。合気道の源流の一つとなった大東流合気柔術の創始者武田惣角の直弟子、佐川幸義氏(1902〜1998年)が1955年に宗家としてここに自宅と道場を構え、多い時は300人を超す門人を擁した。門人の一人だった歴史小説家津本陽さんの評伝『深淵の色は 佐川幸義伝』によると、佐川氏は武術の高段者を一瞬で弾き飛ばす伝説的な武術の達人だった。

 

佐川幸義氏

相手を一瞬で弾き飛ばしたという佐川幸義氏(木村達雄氏提供)

 

 佐川氏の死後、しばらくして道場は閉鎖する。遺族が「道場跡を公園に活用してほしい」という遺言とともに2016年、土地約1150平方メートルと約2900万円を小平市に寄付した。市は当初、土地の約3割を売却して整備費に充てる計画だった。これに対して近隣住民や門人、市議らが「旧佐川邸の公園化を考える会」を結成し、周辺住民にアンケート調査を実施。「なるべく土地を売らず、市民の意見を取り入れて公園整備を進めてほしい」との請願が昨年3月の市議会定例会で採択されたことを受けて市側は方針を転換し、道場の解体工事を終えた段階で事業を中断した。

 

公園予定地

公園予定地。かつては緑豊かで井戸もあった(筆者撮影)

 

「合気の聖地」に

 

 市は売却する土地の面積を減らすため、2021年11月からふるさと納税形式のクラウドファンディング(CF)に挑んだ。目的を定めた市民主導のCFは初めてで、今年3月までに全国から目標額を超える約1480万円の寄付が集まった。さらに第3期の寄付募集を10月末まで実施して一つの区切りとする。都の補助金2300万円も活用できる見込みで、現段階では土地の北側の1区画、全体の約1割を売却することになる。

 「考える会」は市側との話し合いや周辺住民との意見交換会、公園デザインワークショップを重ね、3年をかけて「合気公園」(仮称)のコンセプトやデザインを検討してきた。今年6月、市に提出した整備案では「ここちよく、しなやかさのある公園」をコンセプトとし、公園には遊具を置かずに敷地内に残る石灯籠など日本庭園の趣を生かした緑あふれる空間にして地域コミュニティーの拠点とする。佐川氏の功績を記した顕彰碑を設置して「合気の聖地」とする。防災用の井戸や倉庫を設けて災害時には地域住民の避難拠点として活用する――などとしている。

 市は現段階で多額の費用を要する井戸を設置する予定はないとしているが、整備案を基に今年度中に設計を終えて2023年度の着工、完成を目指す。24年春の完成後は地域住民と連携して公園の清掃や緑化活動を進めていく。

 

構想図

「旧佐川邸の公園化を考える会」が市に提出した整備計画案の平面図(同会HPより)

 

 小平市は「今回は市民からの土地の寄付から始まったという意味では特別な事例だが、市民との協働による公園づくりは今後に向けた良いケーススタディーになると思う」(水と緑と公園課)とする。

 「考える会」代表の岡江伸子さんは「佐川先生の足跡を小平の歴史として残したいという住民や門人の皆さんの熱意と努力が公園づくりに生かされました。これから50年、100年とみんなが憩えるような公園にしていきたいと思います」と話している。
(片岡義博)

 

【関連情報】
・旧佐川邸の公園化を考える会(HP
・クラウドファンディングで上水南町二丁目公園整備の寄附金を募集(小平市
・【第3期】大東流合気武術 佐川道場跡地に、地域に親しまれる公園をつくりたい(ふるさとチョイス

 

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